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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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異変とこの世界に来た人間

「随分と簡単に来てしまわれましたね。 あまり神の領域には入ってきてほしくはないのですが、こうなっている以上は仕方ない事ですね。」


 目を瞑ったままの俺の耳に聞こえてくる声は、まるで母親が子を寝かすような、安らかな声が届く。 だが俺はここで眠るわけにはいかない。 彼女には話したいことがあるから。


「そっちが作ったんでしょ? 俺がここに来るための道を。」

「精神状態でこの世界に連れてくることは可能ですが、自ら来れるようにするのは、間違いですからね?」

「分かってますって。 それじゃ、こちらも手短に話さないといけないですね。」


 目を開けて女神様と神様に挨拶をし、俺は話を始めた。


「ハーキュリーに戻ってきて、二人の王子から聞いた話。 あれは本当ですか?」

「ふぅむ。 ムサロの方はそちらの世界の話だが、メスリの方は事実じゃ。 何人か転生、もしくは転移があったようじゃ。」

「・・・あった?」


 おかしいぞ? 俺を送ったのは神様なのは知っている。 話を聞いた限りでは、アリカも神様からあの世界に飛ばされたのだろう。 だが念のため聞いてみよう。


「俺はハーキュリーに戻る前に、アリカという者に会っています。 彼女はかなり混乱をしていて、記憶が曖昧だと言っていましたが、確かに神様とは会話をしたと言っていました。」

「私達も見ていましたが、確かにアリカという少女も、私達があの世界へと送りました。」

「最も、彼女の性格を考えた上であの場所に送ったつもりが、意に反してしまっていたようじゃ。 まだまだ甘いの。」


 アリカ自体の話はこれで終わりだ。 となれば、神様の言った言葉だ。


「「あった」ということは、神様が送った人間を覚えていないと言うことですか?」

「そういうわけではない。 わし以外にも、転生を行える神は確かにおる。 じゃが、今回ばかりはお遊びと気まぐれが過ぎているようじゃな。 たまにおるんじゃよ。 転生の行為に触発されて、面白半分で送る神が。」


 神にとっては重要なことなのかもしれない。 だがそれを面白半分で転生させられる身としては、かなり複雑な気分になる。 転生の良し悪しではない。 神に弄ばれてる気がしてならない。 そんな感じだ。


「・・・本来同じ転生者や転移者なら、会って話して仲良しこよしってところでしょうけど、話を聞く限りそうではない、と。」

「うむ。 転生者の何人かは人格に少々問題があってな。 元々はお主と同じ世界に転生するべきではない人間もいたのじゃ。 つまり送る世界を間違えておったのじゃ。」


 なんともまあはた迷惑な話なこって。 しかし問題点としてはまだある。


「それで、その転生者を実際にどうすればいいんです?」

「本来ならわしらのところに強制送還されるのが常であるが、今回ばかりは対処が遅れたせいで少なからず世界に影響を与えてしまった。」


 上の人間が下の人間を完全に把握できないのと同じだな。 全知全能なんてこの世には存在しないのだ。 それは神ですら同じなのだと。


「ってことは、簡単に強制送還出来ないというわけですよね? どうするんです?」

「強制送還出来ないのならば、もう一度転生させられる状態にすればいい。 だが、それもおかしな話だが出来ない。 何故ならその者がもう一度死ななければ、転生の儀は行えないからじゃ。 しかも勘違いを起こす輩も出てくるやも知れん。 おる場所が悪ければ贄を捧げて召喚し直す、なんてこともありえるからの。」


 つまり無理矢理は駄目だと言う事だ。 でもそれじゃあどうしようもないんじゃね?


「わしらとてこんなことはしたくなかったんじゃがのぉ。」

「・・・あれ? もしかして俺、神様からなにか重い使命を背負わされる?」

「お主はこの世界に随分と馴染んだ。 そしてカードバトルにおいてはほぼ負け無しという事も見ている。」


 ここで無敗と言わない辺りしっかり見ていることが分かる。 俺は遊びでやっているのを含めなくても、ミカラ様だけには負けているからな。


「そこでお主には、我々が見落とした転生者と制約カードバトルに勝利し、その者をこちらに送還させる力を与えようと思う。」

「・・・それって、絶対に送還させる力ですか?」

「ふっふっふっ。 お主ならそう聞いてくると思ったわい。 安心せい、力を使うかはお主次第じゃ。 わしらは「転生者」を見極めさせてはやるが、送還するかはお主に託す。 もし出会った転生者が「送還しなくても良い」とお主の目で判断するのじゃ。」

「投げ槍だと思ってもいいでしょうか? その行為に関して。」

「それだけお主を信頼しとるという訳じゃ。 それじゃ、力を渡すぞい。」


 神様が手をかざすと、僅か数分でそのかざした手を引っ込めてしまった。


「・・・あの、本当に力を授けたんですか?」

「別に神の力だと言って壮大なものではないぞ? ちゃんと君の中に力は入っておる。 わしらの仕事の片棒を担ぐ事をさせておるが、どうか協力をしてくれると嬉しい。」

「私からもお願い致します。 今回の件は私達がだけでは対処がしきれなくなってしまったのです。」


 いや、そうなる前に何とかするのが神様・・・って言ったところで無理なものは無理か。 あ、でも1人でやるのも、なんか違うな。


「やるのは構わないですけど、せめてもう一人位同じ力を与えてもいいんじゃないですかね?」

「確かに1人よりは2人の方が負担は少なくなるか。 では転移者である零斗にも渡しておくとするかの?」

「そうしてもらえると助かります。 説明はこちらでしておきますか?」

「我々が言っても良いのだが、おそらくは信じてもらえぬだろう。 君やアリカと違って、彼は巻き込まれた形であの世界に来た。 神だどうだというのは、癪に触るやも知れぬ。」


 そんなことは流石に思ってないと思うけどなぁ。 なんにせよ、今までのように一人で背負うことが無くなっただけでも収穫ものだ。


「でも別に、今すぐに、というわけではないですよね?」

「今はそれ以上に動きは見られぬが、なるべく早急には頼みたい。 お主はあの国の最高権力者に信頼を得ておる。 わしらとしても、ホッとしているのだよ。」

「カードゲーム一つでここまでになります?」

「余程適合したのだと思って間違いないと思いますよ。 いい判断をなされたと思います。」


 転生先に適合不適合があるってどうなんだろ? まあ俺は別に最初から最強の肩書きなんかいらなかったし、楽しくやれてるからいいんだけどさ。


「・・・ん、神様達が透明になってるってことは、もう目が覚める時間ですか?」


 まだもう少し話したい気持ちもあったが、時間切れならしょうがない。 また日を改める事にするか。 同じことがあるのか知らないけど。


「ではすまないが頼んだぞ。 また危険ななにかがあれば、わしらからも声をかけるからの。」

「あまり気負いせずに頑張ってください。」


 そうして視界が暗くなり、次に目を覚ました時には、宮殿の天井が見えた。

 身体を起こすとベットで寝ていたようで、他のみんなも近くでそれぞれのベットで寝ていた。


「はてさて、どこから始めていきましょうかねぇ。」


 そんなことを呟きながら、俺は朝のルーティングとして、サンバイザーを手に取り、AI領域に入るのだった。

皆さんに少し報告を。


次回から新しい章に入る予定なのですが、次の投稿に関して、1ヶ月ほど休載します。


理由としましては、ネタが完全に纏まりきって無いことが大きいのですが、他の兼ねてる小説の方も力を入れたくなったからです。


あれやこれやと手を出してみているものの、PV数が伸び悩む上に、ネタがほとんどアイデアとして浮かんでこないとなると、自分の中で根を詰めすぎているのかとも考えてしまい、頭を整理したいと思ったからです。


ここまで書いてきてハイペースだとは思っていないですし、何より見てくれている人がいるのは分かっています。 なので準備期間だと思って少しの間待って貰えると嬉しい限りでございます。

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