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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
177/262

冤罪を解くため

「ったく、しばらくはこの国に残るっていうのは事実だったが、その日のうちに来るか? ま、それだけ焦ってたって考えれば、当然といえば、当然かも?」


 月明かりは俺の方にしか向いていないので、相手が何者かは分からない。 だが何者でも普通に入ってきていない時点で、明らかになにかを隠している風にしか感じ取れなかった。


 そもそもなぜ俺が王の部屋にいるのかというのは、みんなが眠りにつく2時間程前の事だ。



 サヴィが王様の様子を観察しに行ってる間、俺()はミルレ様の部屋へと招かれていた。 え? そこは1人で行くもんじゃないのかって? 馬鹿を言ってはいけない。 知り合って数時間の人間同士が一夜を過ごすなんて、倫理観に欠けている。 他のみんなの寝床の確保のためにも部屋に呼んだのだ。 文句はないだろ?


 閑話休題(そうじゃなくて)


 そこで1つ思い当たる事があるので、ミルレ様には聞こえないように、俺、ファルケン、ゼルダ辺りで話をすることにした。


「師匠、本当によかったんスか? 俺っち達まで入れちゃって。」

「むしろそこはお前達も居てくれ。 こちらとしても年端もいかない少女と寝るのは憚れるんだよ。」


 本心である。


「それで相談って?」

「ああ、俺はとりあえずサヴィが戻ってきて、ミルレ様が眠りについたら、王様の部屋に入る。」

「なんでそんなことを?」

「相手は王様を毒殺しようとしていた。 しかし予定が狂って、直接狙いにくるかもしれない。 だからそれの牽制だよ。」

「なら俺っち達が行った方がよくないッスか?」

「俺はミルレ様に気に入られた人物だ。 お前達じゃ時間稼ぎも出来ない可能性がある。 だから俺が行くんだ。 それとこの事を残りのみんなにそれとなく伝えておいてくれ。 この状況を知らないのは王様とミルレ様だけにしたい。」


 ―――――――――


 そんなわけで、こうして身を潜めていた訳だが、情報の速さが矢のごとしだったのだ。


「さて、これからあんたを拘束しておきたい。 別に逃げても構わないけど、外の警備隊が不審に思うぜ?」


 ここで暴れようが、外に逃げようが、結局は同じだということだ。 さあ、どうするかな?


「フッフッフッ。 ただのガキにしては頭が回るな。 だが、別にそんなことをしなくても、ここから逃げる方法はある。」


 そう言って犯人は俺の元へ走りだし、ナイフの()の部分を持ち、そして俺の掌に乗せて、握らせるように俺の手を閉ざした。


 なにをしているのかと呆気に取られた次の瞬間、俺はそのナイフを持っていた腕ごと後ろに回されて、床に組み伏せられてしまった。


「ガッ!」

「衛兵! 衛兵はいないか! この際誰でもいい! 来てくれないか!」


 そう大声で叫ぶと、ドタドタと複数人の足音が聞こえてきて、そして王様の部屋の灯りが付けられる。


「どうかなされたのですか。 マヤコン大臣。」

「姫様! この者がこの手に持っているナイフで、王が寝ているところへ向かい、殺そうとしたのです!」


 ぐっ! そう言うことか! この上に乗っているマヤコン大臣と呼ばれた人物は、俺を「暗殺者」として罪を擦り付ける気なのか。 しかもこの事に関しては、ミルレ様に被害が及ぶかもと思って俺は話してない。 その事が仇となったか。


「・・・そう、なのですか。」

「待ってくれ、ミルレ様、俺にも言い分を・・・」

「やかましいこの悪党が! 姫様を名前呼びなど! 図々しいにも程があるぞ!」


 ちっ! こっちに話をさせないつもりか! しかし無実を証明出来ないのもまた事実。 その証拠に手に持ってるナイフには俺の指紋がついている。 おそらく相手は手袋をしているはずだから、奴の指紋は残ってないはずだ。


「マヤコン大臣。 あなたに問うことがいくつかあります。」

「そんなことよりも、この者の処遇を、いや、国家反逆罪で死刑に・・・」

「あなたはこの部屋に()()()()()入られたのですか?」


 ミルレ様の問いにマヤコン大臣は言葉を詰まらせる。 そう、このマヤコン大臣は俺がこの部屋にいた時には確かに近くにいなかった。 そして入ってきたのは通気孔からだった。 つまり、ここにいる人には誰にもあっていない事になるのだ。


「そ、それならばこの男も同じことです! いくら城の中にいたとはいえ、王の部屋にいるなど無礼ではありませんか?」

「彼は本来あなたと同じ部外者です。 ですが城の中にいた、というのはあなたは知らないはずですよね? どこからそのような情報を入手したのですか?」


 俺はミルレ様の言葉に、組み伏せられながらも、こうなることは分かっていたな? と考えていた。 結局のところ、俺を組み伏せているこの男は、自ら墓穴を掘ったことに変わり無いと言うわけだ。 憐れな奴だ。


「自分は断じてやっていない! 現にナイフを手にしているのはこいつです! 貴様! このナイフを使って、王になにをしようとした!」

「そこまでくると、なんかあんたがどうすることも出来なくなった道化師に見えるんだけど? いや、タネが割れてるから、道化師にもなってすらいないや。」


 ため息混じりにそう言うと、少しだけ力が強まる感覚があった。 このままって言うのも、ちょっとあれだな。


「だけどこっちも冤罪を掛けられているのなら、その誤解は解かないといけないんだよなぁ。 でも互いに普通に受け入れてくれるとは思えない。 ならさ、制約カードバトルで裁いて貰えばいいんじゃないか? その為にあるんだろ? あれって。」

「無罪の証明か。 いいだろう。 こちらの方が正しいことを証明してくれるわ!」


『制約 冤罪証明』


「制約は成立した。 これじゃカードゲーム出来ないなら、離してくれない?」


 さすがにこんな羽交い締め状態でやれるわけがないのだから、そこはどうにかして欲しい。 そう思っていると、急に相手の力が抜けたので、すぐに脱出した。 なんだろう、相手が緩めたとは思えなかった。


「ちっ。 制約が成立すると、対面しなければいけないから、それ以外の体術は使えないのか。」


 その辺りは対策済みなのね神様。 対面してみると顔を見られないようにか、ニットを被り、サングラスをして、スカーフを口に巻いている。 全身も黒い服で覆っていて、体格的には少し腹が出ていた。 本当に大臣の姿かと疑問に思うくらいだった。


「そんな格好をしてて怪しまれないと思っていたのか?」

「うるさい! さっさとダイスを振れ!」


 そこに触れて欲しくなかったのか、相手は苛立つようにダイスを投げた。 俺が「76」、相手が「13」となり、俺の先攻となる。


「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 俺はコストを7支払い、「サーカス団のピエロ」を召喚。 更にコストを8支払い、「ウエスタンヒーロー」を召喚。 クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」

「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 姫様の前で無様な姿は見せられん! コストを10支払い、「消音のアルタチャールズ」を召喚する!」


『モンスター:消音のアルタチャールズ レアリティ 桃 コスト 10

 種族 アンチマン

 このカードが攻撃を行うとき、手札の魔法カードを1枚相手に見せることで、ライフコアに直接攻撃が行える。 但しこの効果を使用した次のコンバットタイム時、攻撃を行えない。

 ATK 8 HP 9』


「アルタチャールズの効果。 手札にある魔法カード「技量向上」を見せることで、アルタチャールズはライフコアに直接攻撃が出来る。 さらに先程見せた技量向上をコストを5つ支払って発動する。」


『魔法カード:技量向上 レアリティ 水色 コスト 5

 自分フィールドのモンスター1体を選択する。 そのモンスターはこのコンバットタイム時、攻撃力を4上げ、相手モンスター1体に3のダメージを与える。 このカードを使用した次のコンバットタイム時まで、選択したモンスターは元々の攻撃力の半分になる。』


「これで目の前のモンスターを気にせずに攻撃できる。 コンバットタイム。 アルタチャールズでライフコアに攻撃!」


 これを防ぐカードは手札はない。 ダメージは受けるしかないな。 ライフコアは12減った。 最初だしまだ大丈夫だ。


「どうだ悪党! クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。」


 どうだと言われても、最序盤でイキられてもなぁ。 この勝負、調子を掴んだ方が勝利を取れる。 簡単には譲らないぞ。

冤罪をするためのカードゲームって、なんか制約の裏をかいているように感じるのは、気のせいでしょうか


現状

マヤコン大臣 ライフコア 98

消音のアルタチャールズ


セイジ ライフコア 85

サーカス団のピエロ

ウエスタンヒーロー

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