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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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エンシフェア

 アリカとの出会いと別れがあった2日後。 エンシフェアの国境を渡ったところで、ドーホース達が歩みを止めたのでキャンプ地を用意することとした。 そこでふと気になったことがあった。


「ドーホース達って、こんなにもバテるの早かったか?」


 隣でテントを一緒に張っているベルジアにそう聞いてみた。 ドーホースの事はこいつが一番知っているからな。


「ふむ。 確かに我々が走って大体半年近く経っているが、4体ともまだ若い。 まだまだ現役の走りを見せることだろう。」

「じゃあ荷物の問題か? 知らず知らずのうちに、ドーホース達の足に負担をかけているとか。」

「それも違うわね。 この空気が少なからずドーホース達に影響を与えているわ。 ちょっと息苦しい程度かもしれないけど、ドーホース達にはきつい筈よ。」


 謎を解明してくれたのはサヴィだった。


「俺達にはかからないのか?」

「少なからず影響はあるわ。 でもドーホース達のようなタイプにはきついだけ。 多分慣れればドーホース達もいつも通りに走ってくれるわよ。」


 それなら心配することは無いだろうが、ドーホースは俺達にとってのいわば足になるのだ。バテてもらっては困るとまでは言わないが、意志疎通の出来ない俺達にとっては彼らの変化には気が付きにくい。 いや、それよりも、だ。


「なんでそんな大気の乱れのような事が起きてるんだ? ここから中心街まではまだかなり距離がある筈だ。 結界やらなにやらを張るにしても、広範囲過ぎないか?」


 仮に魔法使いがいるとしても、ここまでの範囲を覆う理由が見当たらない。


「色々と考えられる理由はあるけれど、そもそもここまでの広範囲結界を長期的に展開できると言うことは、術者は相当の魔力量の持ち主よ。 セイジ君程じゃないにしても、相当の手練れね。」


 自分自身がかなりの手練れの魔法使いだと自負(?)しているサヴィが言うのだから本当にそうなのだろう。 とはいえサヴィは俺達が狩りをしている時はほとんど戦闘に参加しない。 完全に参加しないのではなく、攻撃魔法を扱わないだけだ。


 というのも元々魔法というものは撃退のために使うのが主流なので、調理される相手に魔法をぶっぱなしてしまうと味が落ちるのだそうだ。 実際に魔法で魔物を瞬殺して調理した料理は、いつもアリフレアが調理してくれている物と比べてかなり落ちていた。 この事でサヴィはアリフレアに平謝りするという、改めて考えれば凄く不思議な光景を目の当たりにしたのだ。 それだけアリフレアの調理の腕が上がっているとも言えるが。


 しかしそうなるとドーホース達が本調子でないということになるため中心街までの距離の速度を落とす必要があるな。


「その辺りは別にいいか。 急いでる訳じゃないのは最初からだし。」


 下手にドーホース達に無理をさせる意味はない。 この国の事もまだ分からないことだらけなので、ゆっくり行くに越したことはない。 そんな感じで今後の方針を決めたところで食事が出来たようなので、そのままみんなと合流する事にしたのだった。


『領域カード:信者遇礼霊殿 レアリティ 水色 コスト5

 自分の捨て場に自分フィールドにいるモンスターと同じ種族のモンスターが存在する時、捨て場のカードを1枚手札に加えることが出来る。 ただしそのカードを使用する場合、コストに2倍支払う。』


『モンスター:偽物の月 フェイクムーン レアリティ 紫 コスト 7

 種族 岩石族

 このカードは自分フィールドにモンスターが存在する時、攻撃を行えない。 このカードが効果で破壊された時、相手フィールドのモンスターに3のダメージを与える。

 ATK 10 HP 12』


『装備カード:薄膜重なるタワーシールド レアリティ 紫 コスト 7

 このカードを装備したモンスターへの攻撃を2回まで半減する。 2回使用後、このカードを捨て場に送ることで、攻撃を無効にすることが出来る。』


『モンスター:始まりの炎 フライア レアリティ 紫 コスト 6

 種族 エレメント

 自分フィールドにモンスターが存在しない時、手札を1枚捨て場に送ることで、コストを支払わず召喚できる。

 このカードが戦闘で破壊された時、このカードのコストで捨て場に送ったカードを手札に加えることが出来る。

 ATK 9 HP 4』


『モンスター:コンクリートラビット レアリティ 桃 コスト 10

 種族 獣族

 フィールドに存在するこのカードを捨て場に送ることで、相手フィールドのモンスターは次のコンバットタイム時、手札を捨て場に送らなければ戦闘を行えない。

 ATK 13 HP 9』


 朝のルーティングで引いたカードはかなり使いどころを選ぶカードばかりだった。 当然デッキの中に組み込めば強いカードも引けたのだが、その分別のカードと入れ換える可能性があるので、本当に必要がどうか、入れ換えるカードとの他のカードとの組み合わせなんかも考え直さなければいけなくなる。 なのでその辺りはかなり慎重になってしまう。


「どう? なにかいいカードでも引けたかい?」


 後ろからサヴィに声をかけられる。 彼女は俺達と出会う前まではデッキの調整を行ってこなかったらしい。


 というのも彼女の環境が代わり映えしなかったがゆえに、目新しいカードが引けなかったんだとか。 しかし俺達と旅をしていて、ふと興味本位でカードを開封したら、今まで見てきたカードよりも数段強いカードが引けたらしいので、改めてデッキを構築し直したのだそうだ。


「いや、今日引いたカードじゃ、多分入れ換えてもどこかで詰まる。 今回も入れ換えは無しだな。」

「そっか。 もうそろそろ朝ごはん出来るって。」

「あぁ、今行く。」


 そう言いながら俺はバイザーとデッキを戻し、テントから朝日を浴びて出ていくのだった。


 朝食も食べ終わったところで片付けをしてすぐに出発と本来ならば行くのだが、昨日の夜のサヴィの言葉を聞いて、会議をすることとなった。 その話の中枢の当人達(当馬?)も喋れはしないが参加はして貰っている。


「さて、今回はドーホース達が本調子でないということを先に説明した上で、今後の中心街までの道のりについて考えていこうと思う。 と言っても道を変えるだとかそう言ったことではなく、ペースを落とそうと思う。」

「昨日言っていた結界がどうのという理由か?」

「ここの国がなんのためにやっているのかが分からない以上はこちらの消耗は軽減しておきたい。 ゼルダ、ファルケン。 身体になにか変化はないか? 些細なものでも構わないから。」

「ボクはこれといってなにもないですよ。」

「俺っちもッス。」


 と言うことは動物系全体ではないのか。 俺の仮説だったら亜人である彼らにも影響があると思っていたのだが、どうやら当てが外れたようだ。


「とにかく中心街に着くまで、もしくはこの結界が解ける要因がない限りは、ドーホース達の体調を優先的に歩を進めていく。 その辺りは反対意見は無いか?」


 そう聞いてみると、自分達の事を言われているのが分かっているのか、ドーホース達の方がなにか言いたそうにしていた。 だが俺はお前達の言葉は分からん。 心も読めないしな。


「駄目だよ。 君達が無理をして走れなくなる方がボク達にとって大変なんだから。 ・・・うん。 君達が頑張っているのはここにいるみんなは知ってるから、だからこそ無理をして欲しくないんだってセージは言ってるんだよ。 ・・・まぁまぁ。 ここは騙されたと思ってさ。」


 こう言った時に通訳(ゼルダ)がいてくれるのは本当にありがたい。 後々なんかしらで覚えるか? 動物と話せるまでとはいかなくてもテレパシー位なら・・・っとと、そんな話はまた後だ。 どうやらドーホース達がとりあえずは納得してくれたようで、引き下がってくれていた。


「それでどうするで御座る? 前回のように敵対心剥き出しで迫られようなら、今度こそ多勢に無勢で、こちらがやられるで御座る。」


 零斗さんの言う通り、これだけの結界を張り巡らしているとなると、相手は俺達よりも遥かに強い。 相手の気分を損ねた時点で、ジ・エンドもあり得る。


「・・・とにかくこちらからなにかをする時は、向こう側がこちらに警戒心を解いてくれた時にしよう。 「郷に入れば郷に従え」向こうの習わしに従おう。」


 その意見でみんな同意して、俺達はゆっくりとだが、ドーホース達を走らせた。



 そんなペースで進むこと更に2日。 目的の中心街に大分近付いてきた。 魔物が出ても適当に相手をしながら進んでいたが、逆に盗賊などには今回は見舞われる事はなかった。 森から草原へ出たので見晴らしが良くなったと言えばいいのだろうか。 そのお陰で中心街の街壁が遠くに見えるようになっていた。


「さてさて、エンシフェアはどんな国なのやら。」


 期待と不安を募りつつ、俺達はドーホース達を走らせていた。

 そして中心街に入るであろう門の橋の前に、家族のような人達が数名立っていたのだ。 まるで俺達を待っているかのように。 ドーホース達はそのまま止まり、俺達は荷馬車から降りることにした。 するとこちらがなにかを言う前に、向こう側から行動をした。 一番前に立っている空色のゆるふわなセミロングヘアの少女が、お嬢様のようにスカートの裾を少しつまんで、足を半歩下げてお辞儀をしてくる。


「初めまして皆さま。 私はエンシフェアの王女、ミルレ・フェアラティスと申します。」


 なんと。 本当の王女様だったとは。 しかもそう考えたら後ろの男女2人は王と王妃になると言う事だ。 国のお偉いさんがわざわざ出迎えてくれるとは。

 ん? でもなんで来ることを知っていたんだ? そっち側にはなにもしてないのに。


「ここで立ち話もなんですから、お城にご案内致します。 さぁ行きましょう、()()()()()()()()()()()。」

ここまで来て、ようやく頭の中で出来ていた仲間のプロットが回収出来ました。


なんだかんだ長かったです。 本当に。


まだ終わりませんよ?

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