邪魔の入らない再戦
そして、アリカの町からの脱出作戦(制約内容)を考えた2日後。
「またお前達か! ええい! アリカ様にあのような卑劣な戦いをしておいて、なおも懲りずに現れるか!」
「アリカ様のお慈悲を無下にするとはなんとも愚かしい! やはり悪の使いには人の心など無いようだな!」
門番達も前回よりも威嚇が強くなっていた。 まあ帰ったと思ったらそこにいるなんて状況になったらそうもなるだろうな。 というか卑劣な戦いってなんだ。 無理矢理止めたのはそっちだろうが。 記憶まで改ざんするのはさすがによくないだろ。 宗教家としても、崇拝する身にしても。
「刃をしまいなさい。」
そうやり取りしていると俺達の目的の人物がやってくる。 最初から待ち構えれないとはいえ、このやりとりはしたくなかった。 戦いの前に消耗するのは意味の無いことだからな。
「アリカ様!」
「あなた達はこの場に町の者を出来るだけ多くお呼びになってください。」
「しょ、承知しました!」
なんの疑問もなく門番の1人がその場を離れる。 なんというか言われるがままって感じがするな。 前世の俺も似たようなものだから、気持ちは分かるが。
「アリカ様。 いったいなにをなさるつもりで? いえ、アリカ様な命令とあらば、民衆の前でこの悪の使いを罰せよと言われれば、喜んでこの刃を奴の胸へと刺して見せましょう。」
やっぱり狂ってやがるな。 というか抵抗するってことを分かって言ってるのか? まあ、そういう事じゃないのはアリカ自身が証明するがな。
「落ち着きなさい。 私は彼と争うつもりなどありません。 これは私自身のけじめでもあるのです。」
「アリカ様。 町の者を連れて参りました。」
そう言って後ろからぞろぞろと民衆が見えるのが分かった。 こっちの内心としては「そんなに要らなかったんだが」とも取れるが、観客は多い方がいいか。 起きることはないイカサマ対策にもなるし。
「それじゃあ人が集まったところでアリカ、あんたに再戦をさせて貰おうと思うんだが・・・」
「また懲りずにやられにきたか! アリカ様の慈悲を・・・」
「但し、今回は制約を結んで貰うぞ。 内容は「自分の正体を明かす」ってのはどうだ?」
アリカは俺の言った制約内容に対して、驚きを隠せないようだ。 意図は別に汲み取ってくれなくても構わない。 だからこの申し出を受け取るんだ。 アリカ。
「正体だと? はん、なにを馴れ馴れしい事を。 だがこれでアリカ様が勝てば、お前達は自分の首を絞めることになる。 自ら火種に突っ込んだようだな。」
言ってることは間違ってないが、それは逆を言えば嘘偽り無く言えると言うことになる。 俺達が悪の使いじゃない証明も可能な訳だ。
「分かりました。 その申し出を受けましょう。」
「じゃ、交渉成立だな。」
『対戦者の正体の開示』
うん、制約にもなってくれた。 これなら問題ないだろう。
「ディスクを構えな。 前回と同じ要領で入れる。」
「分かりました、では、」
「「さあ、劇場の始まりだ!」」
そうしてAI領域が展開される瞬間にファルケン、ベルジア、零斗さん、サヴィが四方を囲う形で前に出た。 そしてAI領域が完全に展開される。
「あの人達はなにを?」
「この領域って対戦者と近ければ近い程声が届くんでな。 今回は見るだけにして貰うために、領域が展開されるまではあいつらに妨害して貰った。 これで「こっちの声は聞こえるが、向こうからの声は聞こえない」状態になったわけだ。 さぁ、思う存分戦おうか。」
そう言って俺達はダイスロールを行う。 俺が「21」、アリカが「41」となり先攻はアリカになる。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを7つ支払って、「オーケスト・トランペリタ」を召喚します。」
トランペットが地面から召喚陣で召喚された。 ここまでは前回と同じ。 前回は領域カード「オーケストコンサートホール」が出てきたが、今回も同じ展開か、それとも変化があるか。
「私はコストを8支払って、魔法カード「ハイローデュオ」を発動します。」
『魔法カード:ハイローデュオ レアリティ 紫 コスト 8
自分フィールドに「オーケスト・トランペリタ」が存在する時、自分のデッキからコストが10以下の「オーケスト」モンスターを、コストを支払わず召喚する。 ただしこの効果で召喚したモンスターの効果は無効化され、ステータスも半分になる。』
「私はデッキにいる「オーケスト・チューバロー」を召喚します。」
『モンスター:オーケスト・チューバロー レアリティ 銅 コスト12
種族 機械族
このカードが存在する時、自分フィールドの「オーケスト」は攻撃が出来なくなる。
ATK 20 HP 20』
そして召喚陣からチューバが召喚された。 あの時とはやっぱり違うようだな。
「先攻でコンバットタイムは行えません。 クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます。」
「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
どうやら前回とは一味変わったのは間違いない。 なら俺も前回みたいな戦い方は出来ないか。 手札が変わってるからどのみち同じ戦法は使えないがな。
「俺はコストを3支払うことで、魔法カード「スタートダッシュ」を発動! このカードは最初のプラポレーションタイム時に手札に存在する時、コストを3にして発動でき、更にこのターンでの俺の支払うコストは半分となる。 そして俺はコストが6となった「インファイトラミア」とコストが4となった「スリーピースブロック」を召喚する。」
これでこちらも2体。 しかし攻撃力は互いに足りないので、少し苦しいが攻撃しないわけにもいかない。 幸い相手のチューバローは、魔法による召喚のデメリットでステータスが半分になっている。 本当はトランペリタの方が厄介だが、ステータスの都合で片方しか倒せない。 ならばステータスが少しでも高い方を潰すのが先決だろう。
「コンバットタイム! スリーピースブロックでチューバローに攻撃!」
スリーピースブロックは三方向に分かれ、チューバローを攻撃しようとする。 前回ならそのまま流していた。 なら今回はどうだ?
「私はコストを4支払って、インタラプトカード「fine」。 これによりコンバットタイムを終了します。」
強制終了のインタラプトカード。 よく物語の終わりに使われる「Fin」をもじったもの・・・いや、あれは音楽用語だろう。 前世は余程音楽に精通していたに違いない。
「強制終了されたらなにも出来ないな。 クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
音楽については俺はにわかもいいところ。 実際に効果やらなにやらを予測するのは俺でも難しいぞ。 しかし1つの決意でここまでの成長を見せるとは、やはりこんな町で崇拝され続けるには惜しい人材だと思う。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを9つ支払い「オーケスト・トロイボーン」を召喚します。」
『モンスター:オーケスト・トロイボーン レアリティ 桃 コスト 9
種族 機械族
自分フィールドの「オーケスト」モンスターが対象に戦闘、効果になった時、このカードにその対象を移す。
ATK 14 HP 7』
今度はトロンボーンが召喚される。 しかも自らを犠牲に戦うモンスターのようだ。 これで「オーケスト」モンスターは3体。 ステータス自体は全体的に低いまま。 数で責める戦法を取るか。 はたまたなにか仕掛けてくるか。
「コンバットタイム! トロイボーンでインファイトラミアを攻撃! 更に私はコストを6つ支払いインタラプトカード「アッチェレランド」を発動!」
『魔法カード(インタラプト):アッチェレランド レアリティ 紫 コスト 6
このコンバットタイム時に、相手はインタラプトカードを使用できない。』
む、インタラプト封じまで備えてきたか。 そう考えるとアリカはいままで余程カードを見てこなかったのかもな。 それだけ強力なカードがあれば、普通に戦えるぞ。
さて、そんな心象に浸っている場合でもない。 インタラプトカードが使えないのであれば、相手の妨害が出来ない。 インファイトラミアは攻撃を受けるしかない。 インファイトラミアはよろけるが、まだ倒れない。
「続いてチューバローでインファイトラミアに攻撃!」
チューバローの攻撃(突進)がインファイトラミアに当たり、倒れてしまう。 ダメージは低いものの、あまりいい状況ではない。
「トランペリタは他の「オーケスト」がいる時、2回攻撃できる。 スリーピースブロックに攻撃して!」
トランペリタの攻撃が入るが、スリーピースブロックはまだ分解されない。 それホッとする。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます。」
現状
アリカ ライフコア 90
オーケスト・トランペリタ
オーケスト・チューバロー
オーケスト・トロイボーン
セイジ ライフコア 95
スリーピースブロック




