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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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本音

さあ、誰の本音でしょうか

「古くからの言い伝えの中に「突如として現れる者、それは平穏を守る者なり、またそれを脅かす悪の使いが訪れることもある。 町民はその者を救世主として称え、守り続けることで、町の安栄を気付けることだろう。」というのがあるらしいのですが・・・」

「色々と不鮮明が目立つな。 突如として現れる者なら、俺や零斗さんも当てはまるし、なにより悪の使いっていうのが、抽象的過ぎる。」

「その辺りは言い伝えであるゆえの不鮮明さと見ても良いで御座ろう。 そもそもこの文面には具体的に言われている部分が1つもない。 町民も深くは考えぬよう信じ込まされたのでは無かろうか?」


 零斗さんの言葉に、あり得るなと感じた。 まだ「予言に従えば」みたいな風じゃないだけ、助かっている部分も多いかもしれないが。


「それで躍起になってあんたを守ってるって考えたら、ここで幻想をぶち壊せば、あんたの身にも危険が及びそうだな。」


 簡単に言えば反乱が起きる。 「良くも騙してくれたな」的になってしまえば、アリカもただでは済まないだろう。


「私自身もこんなことになるなんて思っても見ませんでした。 優しくしてくれたことには嬉しい限りなのですが、あれやこれやとするせいで、なんだか箱入り娘気分になって、逆に申し訳が立たないのですよ。」


 この辺りに関しては俺の思った通りの反応だ。 おそらくこの世界の理をほとんど知らなかったのではないだろうか? 前世で音楽関係をしていた。 その程度だろうな。


「説明は・・・その様子だとしてないな?」

「しようと思ったんだけど、完全に圧しきられた、というかもう半強制的と言わんばかりに押し寄せてきてパニック状態のまま、今までズルズルと引きずってる。 そんな感じ。」


 話を聞かない強引さもあっただろうからなぁ。 仕方ないと割り切ることは簡単だが、あまりいい気分ではないかもしれないな。


「それで、汝は今後もこのまま続けるので御座るか?」


 零斗さんがそう問い質す。 それに関しては気になる部分ではある。 彼女自身は、どう思っているのかは何よりも大切なことなのだ。


「私は・・・この町を出ていきたいと、思っています。」


 アリカはそう答えた。 ここで「町の人が可哀想だから離れたくない」なんて言われたら、それはそれでアリカの第2の人生だ。 俺達が言うつもりはない。 が、アリカは町を出たいと言うのだ。


「理由を聞いても?」

「先程も言いましたが、私は箱入り娘状態。 でも外の世界の事をなにも知らないまま、この狭い中で生きるのは嫌なんです。 前世の自分をまた体験するのは、前世だけで沢山なんです。」


 自分の新たな可能性を見てみたい。 そう思うのは、俺や零斗さんにもあった。 やはりアリカは、自分の殻を打ち破りたかったんだ。


「セイジ殿。 どうするで御座る? このまま今なら連れていくことも可能で御座るが・・・」


 零斗さんからそんな提案が言われる。 確かにアリカは今は1人だし、このまま連れていくことは容易だろう。 だが俺はその提案に首を横に振った。


「それじゃあアリカの意見を尊重できていないし、今ここでアリカを連れていったら、あまりいい顔はされないだろう。」


 実際ファルケンはまだアリカに悪いイメージを持っていることだろう。 そんな中で仲良しこよしなど出来っこない。


「あの、私もなるべくなら最初は自分だけで行ってみたいんです。 色々と危険かも知れませんが、それも経験だと思うので。」


 そう言うアリカ。 根は強そうだ。 しかしそうなってくると、問題は彼女を「町の人間から反感を買わずに町を出るか」だ。 そのまま「町を出ます」と言ったところで全力で止めにかかるだろうし、かといって零斗さんの言うようにこのまま連れていくことになった時は逆効果であろう。 無理な要求を求められているな今回は。


「やっぱり制約的に町を出させるしかないか? でもそれをしてもどこまでも付いてきてしまえばそれまでだし、内容によってはアリカの方が生きづらくなるもんな。」

「あの、その制約的に、とはなんなのですか?」


 アリカは俺の独り言に反応するが、その反応を見る限り本当になにも知らないんだなと言うことが伺えた。 そもそも町の奴もなにも教えずにただただ崇拝対象としてアリカを使っていたのだとしたら、やはり狂っているとしか思えない。


「昼間にやったカードゲームな。 あれには普通に遊ぶ以外にも、勝った方が制約を結んだ内容を使用することが出来るんだよ。 さすがになんでもって訳にはいかないが、それでもある程度は絶対命令権が発動するんだ。」


 そう説明してアリカは「ハッ」という表情をするが、考えている事が分かるので最初に釘を刺しておくことにしておこう。


「制約のルールとして「互いの了承」というのがあって、対戦する2人が「その条件なら制約してもいいですよ。」という理由がなければ、制約的にならないんだ。」

「あ・・・そ、そうなのですね。」

「うん。 その反応で分かったよ。 あんた今「私が負けたら町を出るって言う制約にすればいいじゃないか」って思っただろう? でもそれだと俺の負けた時の理由がない。 矛盾しない条件を提示しないといけないから、その場の感情で結ばせれるような制約じゃないんだよ。」

「なかなか難儀な制約条件なのですね。」


 実際俺も相手の同意を得るまではこちらが納得するものならそれでいいと思っていたが、零斗さんとナーフのやり取りを見て、一方的な押し付けに意味など無いと思ったのだ。


「ではどのようにすれば、あの町から解放されるのでしょうか?」


 しかしそう考えると言うことは余程あの町での崇拝に嫌気が差しているようだ。 こういった展開の場合、普通なら称えられているのだから、有頂天になり、色々とやらかすのがお約束な気がする。 最初からある栄光は、後は落ちるのみなのだから。 だが今回の場合はおそらくその言い伝えが悪い方向に進んでしまったのだろう。 でなければアリカのような、正体の知れない人物にここまでの崇拝力は存在しない。 つまり彼女の意思ではないところで働いた効力なのだ。宗教とは恐ろしいものだ。


「制約内容はこっちが考える。 最低でも2日あれば考えられる。 その場合もう一度町に訪れることになるが、別に構わないだろ?」

「それなら問題はありません。」

「それと今回の制約カードバトルに関してはギャラリーを多く用意しておいて欲しい。」

「それはなぜ?」

「証明できる人間は多ければ多いほど信憑性が生まれるで御座る。 我々だけでやったところで、周りの誰かにいたところでホラ吹きと言われるだけで御座るからな。」


 その辺りは零斗さんも分かってくれているようだ。 この制約カードバトルに必要なのは俺達の試合の行方を知る人間が欲しいのだ。 まああの町の人間はアリカを異常なまでに崇拝している。 余程無茶な事をやれと言わなければやり遂げてしまうだろう。


「それと、一応もう一度訪ねるのは明後日にする。」

「それはなぜ?」

「あんたのデッキ調整のためだよ。 ・・・まさか今の自分のデッキで本当に俺と戦えると思ってるなら、かなりの思い上がりだぞ?」


 これも釘を刺しておく。 そのまま行けばおそらくデッキの中身を一切変えずに俺に挑み直そうとするだろうと判断したからだ。 そんなので勝っても俺は嬉しくないからな。


「・・・改めてしっかりと見ておくわ。」

「そう言うわけだ。 会うのは2日後だ。 しっかりと考えておけよ。」

「ええ。 今日はありがとう。」

「ところで今あんたここにいることは誰か知ってるのか? いや、知っていたら護衛がつくか。 どうやってここに来たんだ?」

「簡単な話です。 「今夜は誰も外に出ず、窓も閉めて外を確認できないようにしておいてください。」と言ったのですよ。」


 本当にそれだけで信じて行動するのだから、狂気染みているよな。


「それでは。 よろしくお願いします。」


 そう言ってアリカは夜の森から姿を消した。


「拙者らも戻るで御座るよ。」


 そう言ってキャンプに帰ると、他のみんなは食事を取っていた。


「お待たせみんな。 随分と長いこと話し込んでしまって。」

「ボクは構わないよ。 ちゃんと貰えるものは貰ったしね。」


 そう言ってゼルダが出したのはバケットだった。 どうやら食料を持ってきたくれたようだ。 とにかくどうするか考えないとな。 アリカの為にも、あの町の為にも。

次回は囚われ? の箱入り? 娘を助ける? お話です

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