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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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別荘

今回短めです

「・・・なぁベルジア。」

「なんだ?」

「俺達、別荘に向かってるんだよな?」

「そう指示したのは貴殿だろう?」


 俺は馬車の荷車から本の少しだけカーテンを開けて外を見ていた。 俺が見た景色はいつの間にか小さくなっていたトズナの街並み。 明らかに標高が違うのが伺えた。


「こんな丘の上に別荘を建てるのか?」

「避暑地とも言っていたので、出来ないことも無いだろうな。」


 つまり道は間違っていないのか。 舗装されているので、何となくそんな気はしていたが。


「こんなところ避暑地にしたら、敵国にバレないか?」

「その辺りはあたいが阻害魔法やら結界やらを張るから、心配しなくていいわ。」


 その辺りまで最初からあったら、あの国はどんだけ用意周到なんだと疑ってしまう。


 そしてドーホース達が止まったようで、外に出ることにした。 そして前にあるであろう別荘を確認しに行くと・・・


 白を基調とした2階建ての建物。 1階はほとんどガラス貼りで外から中が見える。 奥にキッチンが見えるので、小綺麗なイメージだ。 そして2階よりも更に上にテラスのようなものが見えるので、あそこもその一画なのだろう。 いや、それはいい。 それはいいんだが・・・


「俺達には綺麗すぎるぞ・・・」


 そう、まさしく新品ですよと言わんばかりに白が輝いていたのだ。 太陽に当てられて乱反射しているようにも見えなくはない。


「凄い・・・です!」

「へぇ。 とんでもなくお洒落ですね。 ボク達で本当に使っていいのでしょうかね?」

「おー。 景色滅茶苦茶いいっすよここ。 丘の上なんで風も気持ちいいっす。」


 みんなも目の前の建物を見るなり、思い思いの感想を述べていた。 そんなみんなに俺は苦笑をするしかなかった。


「深く考えるだけ無駄、ってやつか?」

「目の前の情報に思考が追い付いていないので御座ろう。 拙者もこのような立派な建物の前にいるなど、この世界に来てすぐの頃は、夢にも思ってなかったで御座るよ。」


 その辺りに関しては俺も思っていた。 ただの旅芸人になるかと思いきや、使者を任され、別国に歩き渡った所に、拠点を設置したのである。 カードゲームで物事が決まる世界で、なんだかんだで生きていく感じの予定が、まさかこんなことになろうとは、想像がついただろうか?


「とりあえず中に入るか。 というか、もう他のみんなは入っちまった様だしな。」


 そう言いながら外で取り残されていたベルジアと零斗さんを引き連れて、別荘に入るのだった。


「はぁ、しかし凄いよな。 玄関以外1階はみんなガラス張りだ。 オープンテラスってやつか?」


 中に入ってみると、玄関からすぐ近くにトイレのドアがあるくらいで、リビングに入れば、右も左もガラス張り。 日光が眩しい位だ。 キッチンもダイニングキッチンとなっていて、そのまま料理を手渡し出来るようになっている。 ガスコンロは勿論、オーブンやグリル、冷蔵庫まで完備されていた。 かなり手が込んでいる。


「これだけ広いけどほとんどなにもないな。 と言うことは寝室は2階か。」


 そう言いながら階段を見つけて2階に登る。 2階は個室が多いようでドアが沢山あった。 その内の1つを開けると、ベットに机と椅子、クローゼットとかなりシンプルな部屋となったいた。


「まぁ、だだっ広すぎるよりは、こっちの方がしっくり来るな。 馬車生活が多いから、変な広さだと寝れないんだよな。」


 そんな野宿あるあるのような言い訳をしながらもう1つ上の階段を登る。 そしてドアを開けた先にはトズナの国を一望できる程の景色が広がっていた。 その景色を見て俺は深く深く、空気を吸って吐き出した。


「こんなのを見たら、全部が馬鹿馬鹿しくなりそうだ。」

「なにがどう馬鹿馬鹿しくなるって?」


 そうフェンス越しで呟くと空から女の子、サヴィが舞い降りてきた。 俺と同じくらいの年齢に見えるが、本当はその10倍は生きている魔法使い族の女性(?)である。 少女と呼ぶには年齢だけで言えば相応しくない


「なにか失礼なことを考えてそうだから言っておくけれど、魔法使い族からしてみたら、あたいなんてまだまだ若造も若造なんだからね。 あとこれも先に言っておくけど、若作りもしてないから。」


 うーむ、鋭い。 そしてめざとい。 女性として気になる部分ではあるからしょうがないか。


「それで、なにをして来たんだ?」

「結界と認識阻害魔法を展開してきたのよ。 これでこの丘の上に家があるなんて一定距離からじゃ分からないし、あたいの魔法だから破壊も用意じゃないわ。 そう言うわけだからこの家にいる限りは比較的安全だと自負させてもらうわ。」


 ふむ。 そこまでしてくれるとは。 確かにこの家にいるのに外からの脅威にまで気を配るなんて、心の休まらない事はしたくない。 妥当と言えば妥当だろうな。


「それで、これからはどうするのかしら?」

「どうってのは?」

「セイジ君の事だから、どうせここに留まる気は無いんでしょ? だからどうするのかしら? って聞いたのだけれど。」


 考えはお見通し、いや、みんなも言わないだけで、俺がここに残らないのは察しているだろう。 俺はそういう人間だからな。


「次の国に行くまでに、ざっと目視で4日程掛かると踏んで、1つ町外れの所に村があるのを地図で確認できた。 受け入れの云々は無しにしても、そこを経由して次の国に入ろうと考えてる。」

「経由する理由は聞いてもいい?」

「食糧の問題、ドーホース達の安息、トズナの行政に対する町以外の風景の確認。 ま、最後のは関係ないにしても、地図で見る限りかなり長期的な移動になる。 戦争時代の国土が国間の行き来をしにくくしてるんだ。 検問が無いのも、広いトズナでいちいち報告のために戻らなきゃいけないのが面倒だからじゃないか?」


 要はただの国情視察だ。 深い意味はない。


「ふーん。 他のみんなには説明するの?」

「経由する理由だけは言うさ。 深い意味までは必要ない。 どっちみち俺達は先に行かないといけないからな。」


 そう、俺は後に戻る事は出来ないのだ。 いや、正確には帰る世界が無いだけだ。 ならば前に進んでいく他無いと思っているのだ。 こんな別荘に住ませて貰えることになったのは嬉しい事だが、次の町に行く時に、何故か胸騒ぎがして仕方がない。 勘からか前に魔法使いの隠れ里で占われた結果か。 とにかくこの先に何が待ち構えているか分からないのだ。 気は引き締めるつもりだ。


「そうね。 あたい達は一心同体みたいなもの。 でも何があったとしても、立ち向かう事は出来る。」

「サヴィ・・・」

「余計な推測は、外れた時が一番キツいのよ。 出発は明日でしょ? 貰ったんだから、今はゆっくり休みましょ?」


 そう言って中に入っていくサヴィ。


「・・・帰る場所があるだけ、十分か。」


 そう頭を切り替えて、この別荘で時間を過ごすのだった。

突っ込みたいことは色々とあると思いますが、まあ、そう言う設定を背負ってるというのを付けたかったんです。 忘れそうな設定だなとは思いますが

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