アンチスキル
ダイスロールが行われ、俺が「55」、ボラッタ様が「68」となり、ボラッタ様が先攻になった。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを8支払い「ベットアルフ R」を召喚。」
『モンスター:ベットアルフ R レアリティ 紫 コスト 8
種族 無形物
「ベットアルフ R」はフィールドに1体しか存在できない。 自分フィールドに他の「ベットアルフ」がいる時、効果を発揮する。
ATK 8 HP 8』
「ベットアルフ」文字がそのままモンスターとなっているテーマで、文字の並びによって効果が愕然と変わる。 しかし当然ながらその文字を完成させなければならないので、簡単には並べられない。 しかもベットアルフは前世でのアルファベットになるので、大体どの辺りのカードが来るかは前の2人の試合で予測はつく。
「さらにコストを7支払い「ベットアルフ D」を召喚。」
『モンスター:ベットアルフ D レアリティ 紫 コスト 7
種族 無形物
「ベットアルフ D」はフィールドに1体しか存在できない。 自分フィールドに他の「ベットアルフ」がいる時、効果を発揮する。
ATK 7 HP 7』
RとD、そしてこのアルファベットで次に来るのはEもしくはOの母音になる。 しかし母音はレアリティが高いのかそう簡単には出してこないようだ。 付け入る隙はあるが、まだ早い。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。 君も彼らと同じ様にスキルを使ってくるかい?」
おそらくは挑発のつもりだろうが、そんなもの俺には効かない。 こちとらもっと、およそ人が吐くことの無いような挑発だって受けたことがあるんだ。 その程度で怒りを誘おうなど愚の骨頂。 こちらを舐めすぎだ。
「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
とはいえこちらもやられてばかりではない。 この人の真意の事もあるので、対話を始めることにする。
「自分のスキルは条件がかなり厳しいもので、出そうとするだけでも一苦労なんですよ。 使いたいのは山々なんですがね。」
「ほぅ。 スキルとは必ず使えるものだと思っていたのだがね。 そう言うわけでもないのかね。」
「さっき戦ったベルジアも本来のスキル発動条件はそこそこ難しいんですよ。」
「しかし発動出来なかった。 つまり条件が揃っていなかったというわけではないのかね?」
む。 それなりに言葉巧みに話してくるな。 スキルに対して話を逸らそうとしてるのかそれともそう言う性分か。 どっちみち俺はもう相手のスキルについては正体を知っている。 まだ明かさなくても大丈夫だな。
「このカードは相手フィールドのみモンスターが存在する時、コストを半分にして召喚を行える。 俺はコストを4つ支払い、「影に潜む魔法使い」を召喚。 さらにコストを10支払い「歴戦の狩人」を召喚。 コンバットタイム! 俺は影に潜む魔法使いでベットアルフ Rを攻撃!」
文字を揃われると厄介だが、その反面か単体の攻撃力、体力は低い。 どっちの単語で来ようが、ここは叩かせて貰う。
「私はコストを6つ支払い、インタラプトカード「頑丈な心持ち」を発動。」
『魔法カード(インタラプト):頑丈な心持ち レアリティ 紫 コスト 6
自分フィールドのモンスターはこのターン戦闘では破壊されない。』
そのインタラプトカードを使用すると、「R」と「D」の文字達が漆塗りになった。 何気に厄介なカードを持ってくるんだな。
「だけど戦闘ダメージは受けて貰う!」
魔法使いの放った魔法は「R」の文字に当たるが、壊れるものではなかった。 ただしその欠片はライフコアに当たる。 ダメージは「2」。 しかし破壊できないというのは厄介なものであるが、まだ俺には「歴戦の狩人」がいる。
「歴戦の戦士でベットアルフ Dを攻撃!」
それ以上は向こうもなにもしてこないようで、ダメージを浴びていく。 そこそこのライフコアが削れていった。 確かに単体としては強くないわけだが、単語を作られた場合が厄介になる。 そしておそらくは相手も俺の戦法が分かってきた事だろう。 しかし俺はこれ以上なにもすることはない。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 ・・・君はスキルを使わなくても私に五分の勝負、いや君の方が分があるだろう。 それほどに強い。」
「別にスキルを使って必ず勝てるとも思ってないんで。 制約カードバトルは何度かしてきましたけど、必ずしもスキルを使ったわけではないですし。」
その言葉は含みのない、本当に心から思っている言葉だった。
「故に私も手を抜くのは君にとって失礼に値するものだ。」
「あいつらの時は手を抜いていたと?」
「そう言うわけではないが、君の場合は油断出来ないという事だよ。 私はコストを14支払い「ベットアルフ E」を召喚!」
『モンスター:ベットアルフ E レアリティ 銀 コスト 14
種族 無物
「ベットアルフ E」はフィールドに1体しか存在できない。 自分のフィールドに他の「ベットアルフ」が存在する時、効果を発揮する。
ATK 14 HP 14』
「そしてこの瞬間、ベットアルフ達の効果が発動する。 効果は「R E D」!」
『特殊効果:ベットアルフ R E D
1ターンに一度、相手のライフコアに 「ベットアルフ R」 「ベットアルフ E」 「ベットアルフ D」の攻撃力の合計の効果ダメージを相手のライフコアに与える。』
効果ダメージか。 ターン1制限があるとはいえ、更に攻撃まで出来ると考えると、かなり面倒だ。団体力とは末恐ろしいものだ。
「ベットアルフ R E Dの効果により合計29の効果ダメージを与える!」
そう言うや否や、ベットアルフ達が光だし、俺のライフコアに浴びせられる。 一気に1/4のライフコアを削られた! 長居はさせられないぞ!
「ベットアルフ Eで歴戦の狩人を攻撃。」
同じ体力ならば攻撃力の高い方を選んできたか。 その選択は正しいな。 だがまだ歴戦の狩人を倒させるのはさすがにまずいがな。
「俺はコストを12支払い、インタラプトカード「嘘判定」を発動! 対象を歴戦の狩人に!」
これによって歴戦の狩人は破壊されることはなくなった。 さてここはどうする?
「くっ。 ならばベットアルフ Rで影に潜む魔法使いを攻撃。」
ダメージを増やしては来ないか。 だが破壊できないモンスターは体力以上の攻撃力を受けた場合、体力が元に戻るルールがある。 ダメージを与えて、相手の場を万全にするよりは、別のモンスターの破壊に努めた方がいいだろう。 与えるダメージも半減するしな。 Rの攻撃を受けた魔法使いはまだ立てている。
「続けてベットアルフ Dで影に潜む魔法使いを攻撃。」
これで魔法使いは倒されてしまう。 しかし魔法使いもただではやられない。
「影に潜む魔法使いの効果。 ライフコアを4つ支払うことで、俺はベットアルフ Eの効果を貰う。 同じベットアルフはフィールドに1体しか存在できない。 この場合、どうなるのかな?」
俺のフィールドにもEの文字が現れる。 すると互いのEが震え上がり、そして爆発した。
「なるほど、同じ文字があると互いに破壊されるのか。」
「くっ、やってくれますね。 クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。」
「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
これで効果ダメージを受けることは今のところなくなった。 だがまだ油断は出来ない。
「ひとつ、聞いてもいいかな?」
「なんでしょうか?」
「君はおそらくスキルを使わない。 だが前の2人の戦いから、なぜ私がスキルを使っていないのか分かるかね?」
「いや、あんたのその表現は正確じゃないな。 あんたはスキルを使ってるんだ この制約カードバトルが始まってからな。」
「私が既にスキル発動宣言をしていたと?」
「それも違う。 あんたのスキルは無意識によるものだ。 発動宣言をしなくても発動してしまう、ね。」
つまりボラッタ様は、常にスキルを発動している状態にあるということだ。 そしてそのスキルというのは
「あんたのスキルは、相手のスキル発動を妨げる、いや、使用不可能にするスキルなんだ。 アンチスキルと言えばいいのかな?」
そうはっきりと明記すると、ボラッタ様は「フッ」と笑った。
「お見事だ。 そこまで見破るとは。」
現状
ボラッタ・トズーナ ライフコア 76
ベットアルフ R
ベットアルフ D
セイジ ライフコア 57
歴戦の狩人




