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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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策を見破れ!

「この世界はもう少し相手を疑う事を覚えた方がいいかもしれないんじゃないか・・・?」


 昨日まで考えていた「正面突破が無理ならサヴィの魔法で裏から入ろう」という別のプランの方を重点的にするように頭の中に入れていたのに、いざ城門前で門番のような人に説明をしたところ、確認を取りに行ってそのまま入れることになった。 あまりの簡単さに落胆すらしていた。


「なにをそんなに落ち込んでいるのだ。 入れさせて貰えたのだからよかったのではないか。」

「ベルジア君。 多分セイジ君はそういうことで落ち込んでるんじゃないと思うわよ?」


 ベルジアが分からないことをサヴィは察してくれているようで、またため息が出てしまう。


 目の前に座っているのが「ボラッタ・トズーナ」。 見た目年齢は40代前後と言ったところか。 アゴヒゲを生やし、少し生え際が薄くなった髪の男性だ。


「さて、今回はどのような件で会いに来たのだろうか?」


 うん? 説明はされている筈なのだが・・・まあいいや。 改めて説明するのは苦じゃないからな。


「自分達はハーキュリーという国からやってきた使者でございます。 今回はトズナと同盟を結びたく思い、時間はかかってしまいましたが、訪問した次第でございます。 突然の訪問の無礼をお許しいただきたい。」


 手紙などを送っていないのでこうなるのは必然。 今までもそうだ。 交渉の上でアウェーなのはこっちなのだから、自分達が下に来るのは当然だ。 そしてその言葉を聞いて、ボラッタ様は腕組みをして考えている。


「それは、我々の国にとっての利点はあるのだろうか?」

「既に数ヵ国との同盟の加入を行っております。 同盟を組んだ時、他国との不祥事については問うことは出来なくなりますが、その分隠し事などは無しの条約になり、また他国の飢饉には、加入国からの支援も約束されます。」


 細かい条約なんかは後でいくらでも付けられるから、とりあえず目下の利点だけでも説明しておく。 というか実際の同盟の事なんて知らないから「多分こうだろうな」みたいな感覚でしかない。


「ふむ・・・」


 そしてまた悩む。 利点は伝えたが、早々すぐには「はい」とは頷かないか。 一応この国を担っている訳だし、時間をくれと言われればそれでよし。 駄目なら駄目で諦めて・・・


「その同盟加入。 私にとってどのように働くか・・・」


 ん? 自分の利点? 国の利点じゃないのか?


「来て貰っている皆が皆、悪い顔をしておらん。 しかしそれはあくまでも表の顔。 本質を見抜くことは私には出来ない。」


 なんの話をしているんだ? なにか真剣に悩んでいる様なので、口を挟むことは出来ないが、俺達の前で考えるような事じゃないんだが・・・


「私は君達に、制約カードバトルを申し込む。 君達の誰か1人でも私に勝つことが出来れば、同盟に加入しよう。」


 ・・・なに? なんでそう言う話になるんだ? いや、確かにこれまでにも同盟加入なんかの理由で国のトップと戦ったことは多々あった。 だが今回はまた別だ。 自分の決断のために俺達に勝負を挑んできたのだ。 ここまで責任が路頭するような事もあるのだろうか?


「そう言うことなら話は速いっす。 師匠、俺っちが行かせて貰うっすよ。」


 後ろで同じ様に頭を垂れていたファルケンが、俺の前に立ち、ディスクを構えた。

「っ。 やるということになったならしょうがないか。 だが忘れるな。 あの噂が本当だった場合の事も頭には入れておけよ。」

「了解っす師匠。 さぁ、俺っちの速さで勝利をいただくっすよ!」


 そう言ってから、ボラッタ様も立ち上がり、ディスクを構える。


『制約 同盟加入の申請』


 そしてAI領域が展開されていく。 口を挟むのも悪いと思い、俺達は半径2mよりも離れた位置に移動する。


「「さぁ、劇場の始まりだ(っす!)」」



 試合が始まり、互いに実力を出しあっていく試合展開となっていき、優劣を繰り返しつつ、5ターンが経過したところのファルケンのターンになる。


「俺っちのオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイムっす。 俺っちはコストを8支払って、魔法カード「修羅場の一発」を発動するっす。」


 修羅場の一発。 相手の手札を選択し、魔法カードならばそのカードをコストを支払わずに使用できるが、それ以外のカードだった場合コンバットタイムが行えないというギャンブル要素のあるカード。 状況としてはまだ劣勢にまで陥ってはないものの、決め手となる一手がないのだろう。 そしてこのカードを使用したということは。


「俺っちはスキル「千里眼(クレヤボヤンス)」を発動するっす!」


 ファルケンのスキル宣言が入った・・・が、スキルを発動した時に発生する目の光の変化が見られなかった。


「う、あ、あれ? スキルの発動を言ったのに、手札が見えないっす!?」

「どうかしたのかね? まだカードの効果を使用していないであろう?」

「う、うっす。 ええっと、じゃあその真ん中の手札でお願いするっす。」

「残念だが、これは魔法カードではない。 効果は不発に終わったかな。」


 悔しそうに目を伏せるファルケン。 しかしファルケンのお陰で1つだけハッキリした。


「どうやら噂は本物のようだな。」

「あぁ。 だがまだ謎はあるな。 けどそれを抜きにしたとしても、あの人は純粋に強い。 ファルケンには厳しいぞ。」


 その言葉通り、ファルケンは終盤に差し掛かった辺りでペースが上がらなくなり、そのまま流れを持っていかれてしまったのだった。


『勝者 ボラッタ・トズーナ 同盟加入の申請を拒否致します。』


 AI領域が消えていき、ファルケンはとぼとぼといった様子で帰ってきた。


「すいませんっす師匠。 勝つことが出来なかったっす。」

「ま、あれは仕方ないさ。 とりあえず噂は本物だったって分かっただけでも今は儲けもんだ。」

「でも噂が本当だったとして、どうやってあの人を納得させるのです? ボクやアリフレアちゃんじゃ戦力にならないよ?」

「いや、おそらく総力戦をせずとも、こちらが「不可能だ」と思えれば向こうはそれでよいので御座る。」


 まあこっちの心が折れりゃ向こうだってやりやすいだろうよ。


「セイジ。 今度は私が行ってもいいか?」

「え? でもお前もスキルを使おうとすれば無効化されるだけだぜ?」

「少々試したいことが出来たのでな。 ボラッタ様。 次は私と勝負をしていただけないでしょうか? 制約内容は先程と同じで構いません。」

「次はそなたが挑むか。 何人来ようとも同じこと。 しかし受けない私ではない。」


『制約 同盟加入の申請』


 先程と同じ様にAI領域が展開されていく。 ボラッタ様も先程とは少々身構えが違うようだ。


「ベルジア、一体何をする気なんすかね?」

「さあな。 だがあいつのやりたいようにやらせてやろう。 思い当たる事があるんだろ。」

「「さぁ、劇場の始まりだ!」」



 ベルジアの戦いが始まった。 ファルケンの数で責める戦い方と違い、ベルジアはパワーバーンデッキ。 純粋な力比べと言った具合だろうか。 だが、ボラッタ様も先程のファルケンとの戦いと違った戦いを見せていた。 ファルケンの時は力で圧すような戦い方だったが、今度は逆にベルジアの圧倒的力をいなしているような戦い方に変わっている。 同じデッキの筈なのに、戦い方に変化をもたらしているのだ。 そのせいか思ったようにボラッタ様のライフコアが減っていかない。


 そんな調子で試合も中盤。 先にライフコアが減ったのはベルジアだ。 かなり戦況としては拮抗しているが、それでもベルジアの方が劣勢だ。


「くっ。 だがここでまだ負けんぞ! スキル「我が身を力に(ライフトランスパワー)」!」


 そうスキルを叫ぶが、やはりスキルが発動しなかった。


「なにやってるっすかベルジア! それはさっき俺っちが出来なかった事じゃないっすか!」

「・・・いや、そうか。 それも駄目なのか・・・」

「師匠? 一体なんの話っすか?」


 ファルケンが俺に対して疑問を寄せているが、俺はベルジアの試合を観ていた。 そしてパワーも上げられず、バーンダメージもほとんど与えられず、圧される形でベルジアは敗北してしまった。


『勝者 ボラッタ・トズーナ 同盟加入の申請を拒否致します。』


 そして、AI領域が解除されて、ベルジアが俺達の所に戻ってくる。


「済まないセイジ。 負けてしまった。」

「気にするな。 それに今のでボラッタ様のスキルが()()()()()。」

「ほ、本当っすか!?」

「ああ、だから今度は俺が行く。 もしそれでも負けたら、零斗さん、お願いしますね。」

「あまり期待を寄せないで貰いたいが、やるだけやってみよう。」


 そうして俺はボラッタ様に声をかける。


「今度は俺が行ってもいいですか?」

「・・・人海戦術など私には無意味だぞ?」

「まあまあそう言わずに。 制約は同じで。」


『制約 同盟加入の申請』


 そしてAI領域が展開され、改めてディスクを構えた。


「「さぁ、劇場の始まりだ!」」

前の二人を噛ませ役にしてすみません。


彼らの試合状況まで細かく書くと、この話だけで10話近くになる可能性があったので、さすがにそこまで作者は考えられなかったので、このような形となりました。


試合を期待されてた方、すみませんでした

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