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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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みんなにとっての悪夢 2

前回に引き続き、麻痺記憶のみんなの記憶です

「お、お前達! 一体どうしたんすか!?」


 信じたくなかった。 そんなことはあり得ないと思っていた。 俺っちがやってきたことは確かに罪深いことかもしれない。 けど、こんなことが起こるなんて信じたくなかった。


「大将・・・大将がいたせいで、俺達の生活が滅茶苦茶になっちゃったんだよ。 名残って、どれだけ時間が経っても、残るから、名残なんだよね。」


 そう語る俺っちが面倒を見てきた子供は、俺っちに向けてナイフの刃を向けてくる。


「俺っちの事を忘れたっすか!? 確かにお前達に色んな事を教えたっす。 だけどこんなことをするために教えた訳じゃないんすよ!?」

「大将。 俺達も世界から見たら、異常なんだって思われるんだって。 亜人に育てられた子供なんて他から見たらおかしいって。」

「なにを・・・言って・・・」

「大将。 俺達は普通の子供に戻るためにも、大将を倒さなきゃいけないんだよ。 俺達を育ててくれた事は感謝してるよ。 だけど・・・」


 そう言ってジリジリと俺っちに近付いてくる子供達。 俺っちは後退りするも、背中が見えない壁で止められる。 つまり逃げ場が無いのだ。


「や、やめるっす! なんでこんな・・・」

「今度は俺達の為に死んでくれないかな? 大将。」


 そして手に持っていたナイフで俺っちのお腹を刺した。


「あ・・・うぐ・・・」


 それを皮切りに俺っちが住んでいた故郷の子供達が俺っちに襲いかかってくる。


「みんな、止め・・・」


 そこで俺っちは言葉を紡ぐのを止めた。 これが世界としての正しい認識なら、俺っちが止める道理はない。 俺っちが散々間違った事をやらせていた。 ならば正しい事の中にいることの、なにがおかしいと言うのだろう。


 それに他の見ず知らずの人間に殺されるよりも、こいつらに殺されるなら悪くないかなって思ってる自分もいる。 いや、むしろこれでいいんだとも思えれる。


「師匠・・・俺っちは・・・こいつらのために・・・屍になるっすよ。」

「止めるんだ君達。 ファルケンから貰った恩を、仇で返そうなんて、君達だって望んでないだろ?」


 その言葉は暖かい光と共に虚像だった子供達をかき消していく。 そして、さっき聞いた声の主である師匠の顔があった。


「大丈夫かファルケン? まだ視界がボヤけるか?」

「師匠・・・」


 その師匠の言葉に、俺っちはどうやら変なものを見せられてたみたいだと気付かされたっす。


「師匠。 故郷のあいつらが、俺っちを殺しに来る、なんてこと、あるっすかね?」

「お前はあの子達が信用できないのか? 心配かもしれないが、あの子達が最も信頼をおいているお前がそんな風なら、あの子達が不安がるだろ? 今見たものは、心の隅にでもしまっておけ。 そうならないようにな。」


 俺っちの質問に師匠から即答で返された。 その師匠の言葉に、俺っちは本当に馬鹿だなと思ってしまった。 自分を信じない相手に他人がついてくる訳がない。 そう言うことっすね。


「変なことを聞いてすいませんっした。」

「後は零斗さんだけだから、少し休んでろ。」


 そう言われて俺っちは、とにかく頭からあの映像を切り離そうと思った。


 ―――――――――


 ここは何処で御座ろう? 謎の闇に包み込まれ、そして目を開けても全く周りが見えない。


「・・・で・・・」


 そこに不意に聞こえていた声。 それが1つ2つと増えていく。 そしてその声の主が現れた時、声も言葉もハッキリしてくる。


「お前のせいで・・・俺達が死ぬ羽目になったんだ。 お前のせいだ・・・」


 それは血濡れになっている戦火を共に潜り抜けてきた仲間・・・だった者達。 拙者にも分かる程、その者達はこの世にはいないことを示唆している存在であった。 しかし拙者が無力だった故に、彼等は戦場の血に濡れた。 拙者にもっと力があれば、今いる者達の半数は助かったとも言えるで御座ろう。


「・・・汝達に責められても、拙者は言い訳や否定などはせぬ。 それもまた、事実として受け入れなければならぬ運命に拙者はいる。」


 これだけ責められても拙者は自分でも驚く程に冷静であった。 何故冷静なのかは・・・拙者にも分からぬ。 ただなんとなく、冷静さを欠かすような物ではないと思っているだけで御座ろう。


「なるほど、それがあなたの処世術という訳ですか。」


 その声の主は最近聞き覚えのある者だった。 そしてその姿、ナーフ殿が現れる。


「な、何故汝が・・・?」


 拙者は冷静でいられなくなった。 何故ならここにいる者達は皆この世にはいないことを知っている。 だがナーフ殿の場合は()()()、生きていることを知っている。 故にこの場にいるのはおかしいと思っているのだ。


「あなたは共に戦った戦友に対する配慮が足りないのではないのですか? それとも旅の中で忘れてしまったのですか?」


 ナーフ殿からそんな言葉を言われる。 しかし拙者はそのようなことをした覚えなど無く、ましてやナーフ殿に言われるとは思わなかった。 故に拙者の脈拍が上がっていく。


「違う。 拙者は共に戦った者の事を片時も忘れたことなどないで御座る。 拙者の為に死地に飛び込む戦友の姿を、忘れなど出来ぬで御座る!」

「そうだ。 あなたは背負っている命を重んじられる人だ。 偽りの言葉なんかに、負けるあなたじゃない!」


 そこに一筋の光が放たれ、その眩しさに目を覆い、次に見たのは、セイジ殿の顔で御座った。


「セイジ殿・・・やはりあれは夢で御座ったか。」

「流石は零斗さんだ。 あんな目にあった筈なのに、やけに冷静だ。」

「自分のせいで亡くなった戦友を見るなど、夢以外ではあり得ぬで御座る。 冷徹と言われても笑ってしまうで御座る。」

「それで言いと思いますよ。 あなたは。」


 セイジ殿は拙者に安心したような顔を見せる。 拙者が年長者として、彼等を支えなければ、いくらか崩れてしまう。 彼等の土台となれと言われれば喜んでなろう。 それが今の拙者の生き様で御座る。


 ――――――――――――――


「みんな、とりあえずは元に戻れたな。」

「まさかみんなのところにまで影響を及ぼすとは思ってもみなかったから、反省しているわ。」


 俺とサヴィはみんなの催眠状態を治した後、まずは謝罪をする。 こっちとしてもかなり試合の方に集中してしまっていたし、相手の放った魔法が全体に当たるなんて思いもしなかった。 ましてやあのAI領域は許可したものしか受け付けない絶対領域だと思っていただけに色々と予測が超えてしまっていた。 だからこその謝罪だった。


「それはいいのだが・・・あの者達はどうするつもりだ?」


 ベルジアが指差すのは、俺が麻痺記憶(パラライズヴィジョン)をやり返した2人組だ。 彼等は魔法使いで無いことは証明されたし、これ以上公言する事も出来ない。 そして今はその魔法を受けて、頭を抱えている。 俺達と同じ様に恐怖を見ているからだ。


「特になにもしないさ。 とりあえず道の邪魔だから街の人に退かせるし、俺がかけたと言っても、多分1日だけだ。 自分達が魔法使いからあの魔法は自然としか解けない。 その上で終わった後どうするか見物だな。」


 慈悲はないとはいえ死なせるのもどうかと思う。 だから同じ苦しみを味わわせるだけで、今回は十分だ。 もし俺以外の誰かの命を取ったとするならば、本気で殺しているかもだがな。



「俺っち達が掛かってたってことは、師匠達も魔法の影響はあったんすよね?」


 あの後俺達は宿を手配し(さっきの事もあるので、今回は大部屋を借りた)夜になりそろそろ寝るかと考えていた時に、ファルケンからそんな疑問が飛んできた。 言われてみれば俺はみんなのトラウマは察してはいるが、俺はみんなに知らせてたりはいない。 過去の事と言えば過去の事なのだが・・・


「俺はみんなと違った魔法の影響があったんだ。 だが、みんなに分かるかどうか・・・」

「だったらあたいから話そうか?」

「いいのか? サヴィも辛いんじゃないか?」

「あたいの心配はいいわ。 そんなに対したものじゃないし。 あたいの見せられた者は好奇心が失われていくものだったわ。 あたい自身についても。 だから魔法をかけられたのはすぐに分かったから解除魔法を使えたんだけどね。」

「それは済まなかったな。 俺・・・か。」


 俺が言おうとしている時にみんなの視線が集まる。 俺の過去、というよりも前世の記憶だ。 いや、ここまで来てなにを躊躇っているんだ。 もう終わったことだ。


「俺は、前世の記憶だった。 ただ、俺が、死ぬ前の記憶だったから、少し・・・な。」


 感覚が無いだけに余計に実感が湧かない。 だがあれが実際の出来事だとするならば、俺にとっての一番のトラウマとも言えるだろうな。


「ご主人様・・・」


 そんな俺にアリフレアが密着してくる。 気が付けば自分で自分の腕を抱いていた。 おそらく無意識でやっていたのだろう。 体の震えがあったようだ。


「過去の記憶の再現、か。 興味はあるけど、使い方を間違えれば、取り返しがつかないものかもしれないわね。 やるにしても、みんなの前じゃないわね。」

「今日はもう寝よう。 次の国に行く前に英気を養うんだ。 少しでも。」


 そう言うや否やみな床についたようだ。 人のトラウマになるようなものを視させられた後だったので精神負荷がスゴかったのだろう。 俺自身もそうだからだ。 だが俺には確認しなければいけない場所がある。 そのためにもあの場所へ()()()繋げなければ。

今回のテーマは

ファルケンは「意趣返し」

零斗は「国の反映の礎」です

ちなみにサヴィに関しては好奇心が薄れていくという内容でしたが、ただただ離れるだけの映像を見せられていたので、今回は省略しました。

他のみんなの方が重要な話だと思ったので

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