終わらせぬ悪夢
セイジのクリエイトドローのターンです。
「俺はコストを11支払い「ヴァンパイアクイーン ルティーナ」を召喚!」
下からマントを羽織った美しい女性が現れる。 その妖艶な笑いの中から見えたのは牙の犬歯。 まさしくヴァンパイアの象徴だ。
「そして俺は! コストを18支払い領域カード「眠らない悪夢」を発動!」
『領域カード:眠らない悪夢 レアリティ ミラージュ コスト 18
全モンスターが攻撃をし終わった後に自分は山札を1枚引く。 引いたカードを確認し、種類によって効果が変化する。
モンスター:選択したモンスターはもう一度攻撃が行える。
魔法カード:自分のライフコアを5回復させる。
装備カード:カード効果をモンスターに付与する。
領域カード:このカードを破棄し、引いた領域カードを展開する。
確認が取れた後に引いたカードはデッキに戻し、シャッフルする。
ライフコアが減少した時、このカードの効果は再度使用できる。』
「くっ! なんですか、 この世界は!?」
俺が領域カードを展開した途端に、辺りは摩訶不思議な空間になる。 自分が立っている場所は果たして地面なのか床なのか。 柔らかいのか固いのか、はたまた浮いているのではないか。 周りも落書きとも言える空から、トリックアートのような世界観の空、宇宙空間。 様々なものが入り交じった世界に入り込んでいた。
「攻撃が出来ないのは前のターンで俺のフィールドに存在していたモンスター。 ならばさっき出したルティーナは攻撃が可能だよな。 コンバットタイム! 俺はルティーナでエクトロシに攻撃!」
ルティーナは実態の無いエクトロシに攻撃をする。 体力は向こうの方が上なので倒されることはない。
「眠らない悪夢の効果により、俺はデッキを引く。 引いたのはモンスターカード。 よって俺はルティーナをもう一度攻撃出来るようにする。 さっき引いたカードはデッキに戻す。 再度ルティーナでエクトロシに攻撃。」
今度はしっかりと倒される事が出来たようで、そのままライフコアにダメージが入る。
「うっ!」
「眠らない悪夢の効果。 俺はデッキを引く。 今度は魔法カード。 俺のライフコアが5つ回復する。 そしてデッキに戻す。」
「ふぅ。 恐ろしい効果ですが、攻撃が出来なければ普通の領域カード。 これであなたは攻撃は終わり・・・」
「誰がコンバットタイムを終えるって言った?」
「え? いや、前のターンで他のモンスターは攻撃できないし、ルティーナの攻撃も終わった。 これで・・・」
「俺はルティーナの効果で、自分のライフコアを1支払う。」
そう言うとルティーナは俺のライフコアに思い切り牙を立てて噛んだ。
「そしてルティーナの効果は攻撃力の上昇にしておこう。 これでルティーナの攻撃力は8になる。」
「なにをしているのですか? そんなことをしても攻撃はもう出来ない・・・」
「眠らない悪夢の効果にある「ライフコアが減少した時」って奴な。 あれって対象を表記していないんだよ。」
「なにが言いたいのですか?」
「そしてこのルティーナも、今使った効果に対して、ターン制限を設けていない。」
「・・・?」
相手は完全に頭に「?」があることだろう。 それもそうだろうな。 だってこんなのは一般的な戦いをしてる奴じゃまず分かり得ない事なのだからな。 ま、そんなのは分かりきっていたこと。 ならば分かるまでやってやるまでだ。 この試合、簡単には終わらせん。
「眠らない悪夢な効果により、俺はデッキを引く。 引いたのはモンスターカード。 俺はルティーナを選択し、再度攻撃を可能にする。 そしてデッキに戻して、シャッフルする。」
「・・・え?」
「ルティーナでハイポーションマジシャンに攻撃。」
そう言うとルティーナはハイポーションマジシャンに爪の引っ掻き攻撃を行う。
「ルティーナの効果により、俺のライフコアを1支払う事により、攻撃力を上昇させる。 そして眠らない悪夢の効果発動。 引いたのはモンスターカード、そしてデッキに戻す。」
「・・・はっ!」
「相手、気が付いたみたいね。」
サヴィが俺に言ってくる。 そう、これは攻撃できるモンスターがルティーナだからこそ行えるのだ。
「眠らない悪夢」の効果で俺がモンスターカードを引けば、ルティーナが攻撃を行う。 相手のライフコアが減ろうが減らまいが、ルティーナの効果で俺のライフコアを削れば、眠らない悪夢の効果は使用できる。 それは俺がモンスターカード以外を引いても同じこと。 そして魔法カードだった場合、更に俺のライフコアは増える。 これはライフコアを削れるルティーナ、再度攻撃を行える眠らない悪夢、そしてそれを可能にしたデッキ戻しによる「無限ループコンボ」なのだ。 唯一止められるのは領域カードを引くことだが、俺のデッキには領域カードは「染み渡った晴天」しかないし、そのカードは今捨て場にある。 つまり、もう相手にこのループを止める手段はないのだ。
「そ、そんな・・・そんなことって・・・」
「このカードは最初から入っていたカードじゃない。 だからお前達はこのループを止められない。」
「な、何故・・・何故そんなことを・・・!?」
「それはこっちの台詞だ。 なんで俺達に幻術をかけた? なんで他の人にまで影響を及ぼした? この戦いは俺たちだけの問題だろ? 負けるのが怖くなったからって、精神を逆撫でするような事を交えんじゃねぇ! 正々堂々と、自分をさらけ出して戦いやがれ!」
「わ、悪かった! 我々の負けでいい! だから・・・」
「助けて欲しいと乞うか? 仲間まで巻き添えにしておいて、許すと思ったら大間違いだぞ!」
こいつらにこれ以上の情けはいらない。 もうこちらとしては既に勝敗は決しているも同然。 だが、自分の身に刻ませておかなければまた同じことを繰り返す。 だから俺はこの戦いを終わらせる気はない。
「さぁ、覚悟してもらおうか。 お前達のライフコアが尽きるその瞬間まで!」
そして俺は相手のライフコアが尽きるまでとことん繰り返した。 もちろん二人ともだ。 そしてそれを確認した上で、最後の言葉を言う。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。 二度と脱出出来ぬ悪夢を彷徨え。」
『勝者 セイジ、サブミリノペア。 これにより、敗者二人の「魔法使い」の公言を禁止する。』
そしてAI領域が解除され、目の前のローブの二人は腰を抜かしつつも、ジリジリと後退りをしていた。 だが俺はそんな行為をさせまいと、二人の頭を鷲掴みする。
「ひっ! な、なんですか!? もう魔法使いだなんて名乗りません! そう制約で決まったことでしょう!? だから別にこれ以上は・・・」
「これ以上は・・・なんだ?」
言い訳をしようとしたローブ男の頭を鷲掴んでいる手に力を入れながら、心の底からの声を俺は上げる。 普通ならそれで確かに終わっていた。 だが今回はそうはさせない。 俺はまだ怒りが消えていないのだから。
「お前達がやったのは迷惑行為だと分かった上で言わせて貰う。 よくも俺の仲間に、間接的とは言え手を出しやがったな? それ相応の覚悟は出来てるんだろうな?」
「か、覚悟って・・・! さっきの試合で散々・・・」
「俺の国の言葉に「因果応報」や「身から出た錆」、「自分で蒔いた種」って言葉があってな。 悪いことをすると結局は自分自身に返ってくるって言う意味合いなんだ。 ま、分かりやすく言うとあれだ。 「やったからには自分もやられる覚悟がある」って事だよな?」
「な、なにをする気なのですか!?」
「お前らにも俺達が受けた苦しみを味わって貰うってことだよ。 ただし俺の魔素量が多いから、最低でも1日は苦しみ続けて貰う事になるがな。」
「ま、待ってくれ! それは・・・」
懇願すればやらないと思っているようだが、俺はそこまでの慈悲はない。 ましてや俺だけじゃなく、関係無い仲間にまで余波が飛んでいって苦しませているんだ。 同じ痛みを味わって貰わなければ、俺の気が済まない。
「自分達のやったことを後悔しながら悪夢に溺れろ! 心を砕け! 麻痺記憶!」
俺の魔法を直に食らったローブの二人は、俺の手が離れた後、顔を恐怖に歪めて、絶叫をしていた。
「あれでしばらくは動けないだろうし、夢から醒めれば、もう二度とこんなことはしないだろうぜ。」
「えげつない行為をしていると思うけど、あたいもあの二人の弁護はしないわ。 それよりも、早く治してあげないと。 治癒魔法が得意なアリフレアちゃんを優先するわ。」
「すまないサヴィ。 頼んだ。」
そうしてサヴィの治療魔法が放たれた。
「身体は元通りに! 「全てをかき消す」!」
とりあえずこの無限ループコンボですが、おそらくは30回以上は繰り返していると解釈してください。
うーん、処刑用BGMが欲しくなりますね。
次回はみんなの事を治していきます。




