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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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魔法の素質

作者恒例の脱線話です。

「そうだ。 どうせ俺達は数日間動けないんだ。 俺達に魔法を扱える素質があるなら、なにか教えてくれよ。 サヴィ。」


 これに関してはサヴィを隠れ里から出すのを条件にしたもので、俺の魔素量が多かったことで魅せられて、サヴィがついてきた次第なのだ。


「そうだったわね。 でも教えるに当たって、いくつか知っておいて欲しいことがあるの。」


 そう言うとどこかからホワイトボードを取り出したサヴィ。 取り出したと言うよりは出現させたと言った方がいいだろう。


「まず魔法には「攻撃用」と「防御用」があるの。 そしてそれは役目によって全然違う性質を持つわ。」

「回復魔法などは存在しないのか?」

「もちろん存在するけど、それは「防御用」側に当たるわ。 回復魔法が攻撃に転ずるなんて事、聞いたことは無いからね。」

「それって亜人でも魔法って使えるんすか?」

「魔法使いの隠れ里の時に見たと思うけれど、亜人でも出来るわ。 下手をすれば亜人の方が魔素量はあるかもね。」


 そう考えるとやはり人族が亜人の人を下に視るのは、むしろ自分達よりも優れた部分が露呈しないようにするためなのだろうか? 相変わらず他人を見下さなければ自分を保てないんだな、人って言うのは。


「というわけで、魔素について分かったところで、次は種類ね。」

「属性っていう表現ではないんだな。」

「そんな言葉で片付けたら魔法に失礼だもの。 それに属性なんて表現は固定観念に囚われている証拠。 魔法って組み合わせ次第で可能性は広がっていくのよ。」


 サヴィの好奇心の根底は可能性の視野を広げたいんだ。 まさしくそれは大人というレンズのフィルターを外した子供のように輝いていた。 目の前の常識などその一辺でしかない。 そう言っているかのように。


「じゃ、話をするわね。 魔法というのは当然その人の中にある魔素と自分の体の循環体勢によってもたらされるの。 この場合だとファルケンが一番分かりやすいわね。 正に「風」って感じがあるし。」

「俺っちもそれ以外考えられないっすよ。」

「でもあなた達の言う「属性」っていうのは意外と複雑でね。 今思い当たるのでいくつ頭に浮かんできてる?」


 そう言われてふと考えてみる。 最低限の属性だけで4、5個は出てきている。


「大抵は頭に浮かんでる属性数だろうけれど、本当はもっと複雑に分類されるの。 水属性と氷属性は別物、とかね。」


 なんと。 大体ラノベなんかだと、水と氷はそれぞれの派生系になることが多いが、この世界では別物扱いなのか。


「だからこそ、しっかりとした性質を理解する必要があるってことよ。 とりあえず分かりやすいファルケンの魔素量と種類について視てみるわ。」


 そうして俺達の魔法適正検査が開始された。 そして分かった結果が


 (セイジ):攻撃用 氷属性 闇属性


 アリフレア:防御用 光属性


 ベルシア:攻撃用 火属性


 ゼルダ:攻撃用 風属性 土属性


 ファルケン:攻撃用 風属性


 零斗:無し


 となった。 零斗さんの「無し」についても想定内ではあった。 別に絶対的に必要になる場面ではなかったし、元々興味は無かったようだからである。


「アリフレア以外は全員攻撃用だな。」

「あたいもどっちかと言えば「防御用」よ。 あたいは両方使えるの。 元からね。」

「それは熟練すれば俺達でも覚えられるのか?」

「基本はどっちかだからそれは無理よ。 それに両方使えるのも覚えることが多いから結構大変よ? 一長一短ではあるわね。」


 確かにどっちかの方が集中出来ることだろう。それならば何も文句は言わない。


「それで実際に魔法ってどういう風に使うのがいいんですか? 詠唱とかは必要ですか?」

「詠唱はそんなにいらないわ。 というよりも本来の詠唱は長いのよ。 実際にやるから見てて。」


 そう言って手をかざすサヴィ。 そして目を閉じて、詠唱を始める。


『我に流れし魔力よ。 我が身から水となりて排出し、その水を壁に変えよ。 水圧なる壁 アクアウォール!』


 そう詠唱をし終えると目の前には水の壁が出来上がった。 水圧がかかっているので、滝のようになっているのだろう。


「これが魔力の入った本に載っている詠唱呪文。 だけどこれくらいのを作り出すのに、ここまで長い詠唱って意味ないのよね。」

「それは文章自体にって事?」

「ええ。 これからやるのは文章を減らすやり方だけど、あたいは文章を増やしたり、文字数を増やしたり、文章の位置を変えたりと色々やってみたけれど、使えるか使えないかハッキリしない、不安定な呪文になっちゃってさ。 で、文章を削った位じゃ、効果の減少には至らないって気が付いたら、今までのが無駄って言うことになったの。」


 なんかの魔法を題材にしたラノベのようにはならないのね。 魔法の知識は世界で違うからしょうがないのかも。 やってくれてただけありがたいか。


「じゃあとりあえず一人ずつ行くから。 ファルケン。 あなたから始めるわよ。 あなたの場合は感覚さえ掴めばすぐにものに出来る魔法だから。」

「よろしくお願いするっす。 サヴィの姉さん。」


 そうして俺達の魔法修行が始まった。


 俺達は中心街から相当離れた森で、魔法の練習が始まった。 始まったと言っても、なにも魔素を練るところから始めるとか、魔素を感じろとか、そんなことは一切しない。 もうほとんど実践形式で魔法を出すのみだった。 精神統一的な修行はいらないのかと聞くとサヴィは


「戦闘なんてものはその瞬間で起きるもの。 そんな命取りな状況下で精神統一何てしてたら真っ先に潰される。 そもそもそんなことをしないとまともに魔法が撃てないとかあり得ない。」


 なんだそう。 そう言ったものは、要は混乱しなければ大抵は安定して魔法は撃てるらしい。 でもそれ死にかけでも言えることなのか?と思ったが、その時はその時なんだろうなと、深く考えるのは止めた。


「そう。 そしてそこで唱えるの!」

「はぁ・・・はぁ・・・「表層よ動け、サンドスライド」・・・っ! はぁ!」


 前に移動すると共に引っ掻き攻撃を放つゼルダ。 しかしそのあとはもう立てなくなったのか、その場で潰れてしまう。


「あなたの場合は動きながらの方が発揮する魔法の方が多いから、魔素量と相談しながらの運用になるわね。 補助として使ってもいいかも。」

「そう・・・ボクは・・・レートと同じように・・・前線で・・・戦った方が・・・いいようですね・・・ふぅ・・・」


 かなり息が途絶え途絶えになっているゼルダ。 ちなみにこの場で立っているのは、俺に加え、魔法を教えているサヴィと魔法を使えない零斗さんに、防御用魔法なのでほとんど魔法を使っていないアリフレアとなっている。 残りの3人は今の自分の魔素量を知るために必要なことだと言うことで、こうしてぶっ倒れるまでサヴィに魔法を叩き込まれていた。 サヴィ曰く、ここまで立てなくなって初めて「魔素を使いきった」という状態なんだそうだ。 それでもみんなそこそこの量の魔法を撃っている。 サヴィの魔素の使い方の教えが上手いだとかを抜きにしても、だ。


「でもみんなあれだけ撃てるのは正直予想外だったわ。 特にベルシアなんて、魔素量と威力が比例してないもの。 あなた将来魔法使いになってみる気はない?」

「・・・考えておこう・・・」


 当の本人はそれどころじゃないくらいに疲れていた。 もう身体が動かないと言わんばかりに。


「いやぁ、みんなタフだから結構時間かかっちゃったけど、アリフレアちゃん。 出番だよ。」

「は、はい!」


 唐突に名前を呼ばれて反応がやや遅れたアリフレアは、サヴィの近くに近付いていった。


「いいアリフレアちゃん。 あなたの魔法は防御用魔法でも超貴重な「回復」特化の魔法なの。 光属性は補助として運用するのが多いんだけど、それでも身体や精神回復の魔法は初級はよく使えても、それ以上の使い手が多くないの。 あなたの場合はあたいでも覚えられなかった回復魔法が使えるかもしれない。 そういう素質があるのよ。」

「私に、そんな、力が・・・ご主人様の、お役に、立てる・・・」

「その為にも、まずは初級魔法から順番にやっていきましょう。 呪文はこう。 「共に戦う同志よ。 その渇ききった魔の無い身体に、我が力の欠片を与えんとする。 我が魔力よ届け。 「トランスファー」」よ。」

「え、ええっと・・・と、共に戦う・・・」

「別にいいのよ。 今のは全文だから、丁寧に言う必要はないの。 この部分だけでいいわ。 「我が魔力よ届け。 トランスファー」って。 全く、歳をくった魔法使いは向上心を忘れやすくってしょうがないわ。 こんな全文を子供に覚えさせようと必死なのは分かるけど、それで魔法使いとしての質が落ちたら意味ないじゃないの。」

「ええっと・・・?」


 サヴィの突然の愚痴にアリフレアは困惑している。 魔法使いでも人間と似たような境遇に陥るんだな。 いや、長生きな分それが最も誠実に現れてるかもしれない。


「なんでもないわ。 さ、やってみて。」

「は、はい。 「我が魔力よ届け。 トランスファー」。」


 そう言うと倒れていたみんなの血色が戻っていく。 どうやら全員に同じ効果が現れているようだ。


「おお。 なんだか元気になったっすよ。 ありがとうっす。」

「どういたし、まして。 です。」


 これはアリフレアは本当に、なにがなんでも守らないとな。 アリフレアの魔法を見て、そう感じたのだった。

本当は魔法云々の話は別に話さなくても良いのですが、まああるよという印象だけ残しておきたかったので。


ちなみに呪文に関しては今後は略称から正式名を書いていきます。 ややこしいんでね。


次回にも続きます

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