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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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増えず減らず

 攻防戦としてはまだ零斗さんの方が不利ではある。 まだ零斗さんの手札が残っているから本来の力を発揮できずにいる。 それは相手も分かっていることである。 だからこそ零斗さんはこの辺りで手札を減らしておかないといけない。


「拙者は代償を9つ支払い、「死角傭兵 暗清」を召喚するで御座る。」


『モンスター:死角傭兵 暗清 レアリティ 桃 コスト 9

 種族 衛兵

 このカードバトル中に1度だけ、手札が0枚でこのカードが捨て場にある時、攻撃を行った相手モンスター1体を破壊する。

 ATK 5 HP 6』


 零斗さんはここで出すような場面でないモンスターを出してきた。


「ここで戦略ミス?」

「いや、恐らくさっきの「予測変化」で捨てた内の1枚だろうな。 つまりあれをなんとかして捨て場に送るんだろう。」

「でもあのままにしておいたらナロークの攻撃で一気にライフコアは削られる。 さっきと状況は変わってないわよ?」


 サヴィの言う事も最もだが、このまま終わるとは俺も思っていない。 策はあるだろう。 でなければわざわざ場に出した意味はない。


「更に拙者は代償を9つ支払い、魔法札「陣形交代」を発動するで御座る。」


『魔法カード:陣形交代 レアリティ 桃 コスト 9

 自分フィールドに存在するモンスターと捨て場に存在するモンスター1体を入れ替える。 ただしこのカードを使用したこのターン、コンバットタイムは行えない。』


「拙者は先程場に出した暗清と、捨て場に存在する「重装備傭兵 十三」と入れ替えるで御座る。」

「そうか! その為の暗清だったのね!」


 そうサヴィが納得している間に暗清は影の中に沈んでいき、その影から物凄く大きな鎧を纏った男がフィールドに現れた。


『モンスター:重装備傭兵 十三 レアリティ 銅 コスト 15

 種族 衛兵

 このカードはコンバットタイム時、一度だけ攻撃力と体力のステータスを任意に動かすことが出来る。 ただし1以下には出来ない。

 ATK 25 HP 35』


 そして交換したカードもかなり強力な物だった。 ステータス変動がない限りは今のステータスの合計を思い通りに動かせる上に、相手のコンバットタイムの時でも出来る。 戦闘では活躍する事間違いないだろう。


「レイト。 随分と様変わりしたように見えますよ。 今までならそのようなカードは入れていなかった。 いや、入れても強みにはならないだろうとあえて外していた時もあった。 貴方の戦い方には似合っていないから。」

「時代、もとい考え方が変化したので御座るよ。 戦い方を固執していては、その固執に囚われてしまう。 様々な分野を取り入れてこそ、真の決闘者になれる。 傭兵としてしか取り柄のなかった拙者の新たな戦いで御座る。 休息に入り、拙者は休戦するで御座る。」


 考えの変化はゲーマーにおいては必須だ。 戦い方を変えるという意味では特に重要になってくるだろう。


「でも根底は変わらない。 それはこの戦いで分かる筈だよ。 僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 僕はコストを7つ支払う事で「分身機械兵 ダブリー」を召喚。」


『モンスター:分身機械兵 ダブリー レアリティ 紫 コスト 7

 種族 機械族

 このカードが召喚に成功した時、自分のデッキにある「分身機械兵 ダブリー」1体を召喚する。 この効果は相手がドローすることで無効にする事が出来る。

 ATK 12 HP 5』


「さあどうするレイト? このままモンスターの召喚を許すかい?」


 ナーフが揺さぶりをかけるが、零斗さんのフィールドには十三がいる。 暗清を攻撃しても十三の効果にかかればそんなものは無にも等しくなるかもしれない。 しかし相手の手札があまり増えていない。 にも関わらずナーフは乱れない。 よほど自身があると見て間違いないだろう。


「・・・手札は捨てないで御座る。」

「じゃあもう1体召喚するね。」


 ナーフのフィールドにモンスターが更に召喚される。 零斗さんの手札は2枚。 元々のデッキコンセプトなら、いち早く手札を消費しておきたい場面ではあるが、今回零斗さんはそうはしなかった。 どうするつもりなのだろうか?


「このままコンバットタイムに入るよ。 ナロークで深影に攻撃。」

「今のその状態で攻撃するとは。 それならば深影を捧げ・・・」

「僕はここでコストを10つ支払い、インタラプトカード「然るべき処置」を発動。」


『魔法カード(インタラプト):然るべき処置 レアリティ 桃 コスト 10

 今行われている戦闘を終了する。 その後自分フィールドのモンスター2体を捨て場に送る事で、戦闘を終了させたモンスターと捨て場に送ったモンスターの攻撃力の合計を、ライフコアにダメージを与える。』


「え!? わざわざ攻撃を止めて効果を発動させるの!? というかそう言うのって相手のコンバットタイムにやるものじゃないの!?」


 サヴィはそれはもうお手本かのような驚き方をしているが、俺は動じない。 いや、少しは驚いた。 だけどサヴィと驚く内容が違う。 俺の場合は「その戦術は使われていたのか」ということである。


「慕うために出した兵を、自らの糧とするので御座るか? 汝らしくないで御座るよ。 昔のような慈悲あるお姿とは思えぬで御座る。」

「レイトも言ったじゃないか。 考え方の変化だよ。 僕も少しばかり非道に足をかけてしまっているんだ。 彼らの血筋故に、逆らえないようでね。 そう言うわけだから、僕は君が止めなかったダブリー2体を捨て場に送るよ。そしてその総合攻撃力は「42」! さぁ、手札が0枚じゃない今のレイトに止めることは出来るかな?」


 確かにこの状況は零斗さんにとっては非常に不利だ。 もちろん先程の戦い方の変化こそあれど、状況がよくなったわけではない。 正直こっちまで手に汗を握るような思いだ。 どうするんですか? 零斗さん。


「・・・拙者もあの時止めなくて本当に良かったと思ってるで御座るよ。」


 そう言うと零斗さんは手札のカードを使用する事を選んだ。


「拙者は代償を5つ支払い、妨害札「半身削り」を発動するで御座る!」


『魔法カード(インタラプト):半身削り レアリティ 紫 コスト 5

 自分の手札を1枚捨て場に送る事でこのターン、相手から受ける効果ダメージを半分にする。』


「拙者は手札を1枚捨て場に送るで御座る。 これで汝から受ける損傷は半分になるで御座るよ。」


 それでも21ダメージを食らいつつ、零斗さんは立っていた。 元々から零斗さんは不屈の想いが宿っていた。 こうして立って見せている姿は正に「大人の漢」の貫禄そのままである。 ああいう大人に憧れたのは果たしていつの時期だったやら。


「まさかここまで読まれているなんて。 やっぱりレイトは未来でも見える人なのかな?」

「拙者がこの場にいた時にいつも言っていたで御座ろう? 「相手と戦う時は、相手がどう動くかを考える。 自分を相手と思うこと。 先を読むのは二の次ぞ」と。 汝が兵を2体出した時に思ったで御座るよ。 わざわざ強みを殺してまで出すようなものではないと。 ならば別の方法で拙者に損傷を与えてくるだろうと。 故に拙者は手札を残したので御座る。」

「それが当たるなんて思ってはなかった、って?」

「あくまでも予測で御座る。 本当に当たるかは拙者も分からなかったで御座る。」

「凄いなぁ。 レイトらしいよ。 クールタイムに入って、僕はエンディングを迎えるよ。」

「拙者の開戦、そして山札から引く。 準備期間。 手札が0枚の時、山札を引く時間でこの札を引いた時、代償を支払わずに召喚できる。 行くのだ、「旧騎士王 ハイラース」。」


 そう言ってハイラースが現れる。 俺もあいつには驚かされたなぁ。 まあ零斗さんのデッキコンセプトが分からなかった時だったから余計に驚いていたんだよなぁ。


「ハイラースの効果を発動。 拙者は捨て場にある札を手札に戻すで御座る。」


 なにかを手札に加えた後にナーフをみやる零斗さん。


「ナーフよ。 拙者のいなかった1年間。 汝と家族の間でなにがあったで御座るか? 汝がそこまでになる理由が、拙者には分からないで御座るよ。 なに、試合に支障は出させん程度で話してくれるだけでいいで御座る。」


 そういうとナーフは少し空気を吸うと、話し始めるのだった

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