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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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元傭兵と新国王

 掛け声と共にダイスロールが行われた。 零斗さんが「74」、ナーフが「88」となり、ナーフが先攻となった。


「セイジ君。 レイトはこの戦いに勝てると思う?」


 隣のサヴィが俺に疑問を投げ掛けてくる。 俺は少し考えた後にこう答える。


「多分五分五分、あるいは零斗さんの勝率は3割って所かな。」

「随分と弱気な数字ね。 根拠はあるの?」

「さっきナーフは、何回か戦った事があるって言ってただろ? それは相手のデッキを知っているって事に等しい。 ぶっちゃけカードの種類が変わったところで、元々のコンセプトは一切合切変わることはない。」

「対策がされやすいって事ね。」


 そのとおりと言わんばかりに俺は指を指す。 全体的な対策は出来なくとも、1つを崩す事だって可能なのだ。


「僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 僕はコストを5つ支払い、魔法カード「臨時雇用」を発動。」


『魔法カード:臨時雇用 レアリティ 水色 コスト 5

 相手は1枚カードをドローする。 次の自分のモンスター召喚コストは半分になる。』


「うん? あの魔法カード、こんな初手に使ったら、相手の有利を誘うことにならない?」

「あぁそっか。 サヴィは零斗さんのデッキの特性を知らなかったな。」


 そう考え直すと、俺はサヴィに説明をする。


「零斗さんのデッキコンセプトは「ハンドレスコンボ」なんだ。」

「ハンドレス?」

「手札を1枚も持たない戦い方って言えば分かりやすいか?」

「言ってる意味は分かったけど、そんなことしたら手数が少なくならない? インタラプトカードは手札からしか出せないんだから、相手にブラフも張れないわよ?」


 やはりこの世界では浸透はしていないか。 前の世界でも一時期は水面下で話題にはなっていたものの、すぐにその話題は風化していった。 それにこの世界のカードゲームはコスト制。 手札が無くなると言うことも無いのかもしれない。


「それじゃあ逆に聞くが、なんでカードは手札から()()出せないって思う?」

「え? それはコストを支払う過程の問題よ。 効果を発動するにはコストがかかるし、なにより手札からフィールドに出すのよ? それ以外から出すなら条件がいるわ。 捨て場からの召喚だって、それなりのコストと条件が揃ってこそ出せるもの。」

「その条件っていうのが、()()()()だとしたら?」

「・・・・・・あ! そういうこと?」

「条件は必ずしも目に見えるものだけじゃないし、条件ならいくらでも作り出せる。」


 サヴィもとりあえずは納得できたようなので、試合に戻る。


「僕はコストを4つ支払い、「機械番兵」を召喚。」


『モンスター:機械番兵 レアリティ 紫 コスト 8

 種族 機械族

 このカードが攻撃を行う場合、攻撃力を6上昇させる代わりに、相手は1枚ドローする。

 ATK 8 HP 15』


 戦闘力が上がる代わりに相手に手札を増やさせるモンスターか。 メリットとデメリットの差がそこそこ出ているが、零斗さんと戦うに当たってはそうとも限らないかもしれない。


「クールタイムに入って、僕はエンディングを迎えるよ。 さあレイト。 あなたが成長したところを見せてくれないかい?」

「承知したで御座る。 拙者の開戦、札を引く、準備期間。 拙者は代償を6つ支払い、「幻影兵士 深影」を召喚するで御座る。」


『モンスター:幻影兵士 深影 レアリティ 紫 コスト6

 種族 衛兵

 手札を1枚捨てなければ、攻撃宣言を行えない。

 ATK 15 HP 4』


 なるほど。 一気に捨てられなくなったなら、無理やり捨てればいいと考えたのか。 捨て場で発揮するカードも零斗さんのデッキにはそれなりにあった筈。 そのモンスターなら担ってくれるだろう。


「更に拙者は代償を6つ支払い、装備札「独特な絵巻物」を発動するで御座る。」


『装備カード:独特な絵巻物 レアリティ 紫 コスト 6

 手札を1枚互いに確認して捨て場に送る。 捨て場に送られたカードはこの装備カードの効果となり、装備モンスターに効果を付与する。 装備モンスター及びこのカードがフィールドから離れた時、付与された効果は消滅する。』


「拙者は手札の魔法札「有への渇望」を捨て場に送り、この装備を深影に装備するで御座る。」


『魔法カード:有への渇望 レアリティ 銅 コスト12

 このカードを発動したカードバトル中、自分の手札が0の時、1ターンに一度、自分はカードをドローする。 そしてそのカードが魔法カードだった場合、コストを半分支払う事で、使用できる。』


 上手い! これなら深影が倒れない限りは「有への渇望」の効果は使用できるし、今ので手札を3枚捨て場に送り、更に深影の効果で更に手札は捨てられる。 ハンドレスコンボへの下準備も怠っていない。


「戦闘開始! 深影で機械番兵を攻撃! 深影の効果により、手札を捨て場に送るで御座る。」


 深影の名前なだけあって、その姿はまさに影に溶け込んでいた。 そして未だに捉えられていない番兵の後ろに回り、一気に切り捨てた。 体力と攻撃力は同じなのでダメージは通らないが、しっかりとした先制攻撃が出来たようだ。


「流石ですねレイト。 自分の弱点を理解している。」

「これもセイジ殿達との旅で学んだことで御座る。 拙者の戦法は強力故に弱点もある。 完全無欠などどこにも存在しないので御座るよ。 休息に入り拙者は休戦に入るで御座る。」

「そうかもね。 だからこそ貴方を欲している自分がいるのかもしれない。 僕にはない、貴方の強さを。 僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」


 自分にはない強さ、か。


「他人の強さを欲することはどの生物においても同じこと。 恥じることでも変に思うことでもない。」

「だけどそれは「他人の中」にあるものであって、自分の物にはなりはしない。 だから足掻く。 自分になるために。」

「僕はコストを14支払い、「機動傭兵 ナローク」を召喚。」


『モンスター:機動傭兵 ナローク レアリティ 銀 コスト 14

 種族 機械族

 このカードの召喚に成功した時、自分はデッキトップを3枚確認する。 その中からカードを1枚手札に加え、残りはデッキに戻し、シャッフルする。

 自分フィールドにモンスターがこのカードのみの時、相手モンスターを破壊した時の戦闘ダメージは2倍となる。

 ATK 18 HP 25』


「それでは僕はデッキを上から3枚確認します。 ・・・僕はこのカードを手札に加えて、デッキに戻します。」


 そしてシャッフルし終わったのを確認し、改めて向き直る。


「札を確認できないのは少々酷で御座るな。」

「そういう効果なので。 それではコンバットタイムに入ります。 僕はナロークで深影を攻撃。」


 この攻撃が通れば大ダメージは必然的。 となると取るべき行動は、


「拙者はコストを7つ支払い、手札の妨害札「予測変化」を発動するで御座る。」


『魔法カード(インタラプト):予測変化 レアリティ 桃 コスト 7

 手札を2枚捨て場に送る事で、相手の攻撃を無効にする。 相手のエンディング時、捨て場に送ったカードを相手に見せ、相手が選択した1枚を手札に加える。』

「拙者は手札を2枚捨て場に送るで御座る。」


 その2枚が、零斗さんの前に盾として変化した。 これによりナロークの攻撃は通らない。


「レイトも人が悪いな。 手札から出せるカードを持っているなんて。」

「この札を手に入れたのは、セイジ殿と仲間になってからで御座る。 しかし自分の戦い方から外れるかもと思った札ゆえ、山札の中に入るのは少々考えたで御座る。」


 その言葉でナーフは考える。 心は読めないが言おうとしていることはなんとなく分かる。 ここまでの成長ぶりを見るに、果たして本当に彼を永住させることを望んでいるのかと。 ナーフの中で議論になっていると思った。


「クールタイムに入って、僕はエンディングを迎えるよ。」

「ではその時に「予測変化」の効果を受けるで御座る。 さあ、どちらを取るで御座るか?」


 零斗さんが捨て場に送ったカードをナーフは確認する。 そしてその後に零斗さんから見て左のカードを指差した。 そして零斗さんにターンが回ってくる。


「拙者の開戦、そして札を引く。 準備期間に入るで御座る。」

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