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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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セイジの未来について

「そう言うわけで、サヴィ様の旅立ちを祝して・・・乾杯!」

『乾杯!』


あの一戦の後に、魔法使いの皆さんは宴の準備に取りかかっていて、あっちゃこっちゃで料理やら余興やらで喜ばれていた。 魔法使いなだけあってパフォーマンスも人間離れしているし、料理やら飾りつけやらも魔法1つで「ポンッ」と出てくる。 その辺りは流石だと感銘を受けざるを得なかった。


俺達もその宴に参加しているのだが、正直なことを言えば経緯が分からない。 カードゲームでは負かせてしまったし、何よりサヴィがいなくなったら困るのではないか? そんな不安をよぎるのも無理は無かった。


「浮かない顔をしちゃって。 宴なんだからもっと楽しみましょ?」

「宴の主役本人に言われてもなぁ・・・ 本当に良かったのか? あんなことを言っちゃってよ。」


料理の乗った皿とコップを、溢さないようにフヨフヨと浮かせながら俺に近付いてくる当人。 つうかいいのかよ、ここにいて。


「あなたが気にすることじゃないし、あたいもここから出れるなら問題は無いわよ。」

「そんなに窮屈か? ここは。」

「窮屈なんじゃなくて、見飽きたのよ。 魔法使いは人族の10倍はあるからね。 代わり映えのしないものを見せられても面白味がないわ。」


人族の10倍の寿命。 それは確かに苦しくなるかもな。 しかし10倍となると・・・


「今余計なことを考えているのかしら?」

「ん。 まあな。 前の風習、というかデリカシーの問題になるんでな。」

「歳の話なら気にしないでいいわ。 その辺りは今更だもの。 あたいだけじゃなくて、魔法使いはみんな見た目は若く見えるけど、本当の年齢は100歳なんてとっくの昔に超えてるわ。 あたいも180歳だもの。 なんの不思議もないわ。」


その年齢だということにこっちがビックリなんだが。 とはいえ寿命が10倍だというのなら今の年齢としては相応かちょっと大人びている程度だろう。


「フェッフェッフェッ。 お主らにとっても魔法使いがいることは悪いことではないと思いますじゃ。 公には易々と出せはしないが、魔法の存在は無いことはないというのが世界の見解。 魔法を使える人物は貴重ですからの。」


そう言うものかとも思ったが、確かに魔法がどこまで認知されているか分からない。 そんなにおいそれとは使えないわけだ。


「それで、俺はサヴィをどうすればいいんだ? 監視でもしてろって言うのか?」

「そこまで不自由をさせる必要はありませんじゃ。 ただ外の常識はあまり知らないゆえ、その辺りのご教授をしてもらいたいだけですじゃ。」

「外の常識か・・・ なあサヴィ。 露点に物がある時はどうする?」

「そこにおいてあるんだから貰っていいんでしょ?」


うん。 買い物自体は出来そうだが、外の知識は別の所から来てるみたいだ。 これは流石にまずい。 まあ一度言えば覚えそうだから楽ではあるが。


「話はついたのか?」


そう言っているとベルジア達が戻ってくる。 それぞれの料理を持って来ていた。


「ご主人様。 どうぞ。」

「ありがとうアリフレア。」


アリフレアから料理の乗った皿をもらうと、不思議そうにみていたサヴィが口を開いた。


「給仕っぽい格好をしてないのに給仕っぽい事をするのね。」

「元々奴隷みたいに扱われていたから、まだ名残が抜けてないんだよ。 まあ今となっては逆に慣れたがな。」

「フェッフェッフェッ。 みなが揃ったところで、わしゃから飲み物を出そう。 ほれ、全員分あるじょい。」


そう言って渡してくれたコップの中を見ると、なにやら透明な液体が入っていた。


「アーリーさん。 俺達全員未成年・・・というか酒は飲めませんよ?」

「安心せい。 酒ではない。 ある果実を搾ったものじゃ。 アルコールも入っておらん。」


あまり変なものは飲みたくないが、毒なら最悪サヴィに取り除いてもらおう。

そう思いながら一口つける。 最初に来るのはちょっとした苦味。 だが決してイヤな苦味ではない。 そしてその後に来る甘さ。 鼻にも甘さが突き抜ける。 そしてこの味は・・・チョコレートか? まさかこの世界に来てチョコレートを飲むことになるとは。


「うん。 甘くて上手い。 色が透明だから味の想像がしにくかったがこれなら・・・」


「とても、甘くて、美味しい、です。 ()()()()の、ような、甘さが、口に、広がります。」


「なんて()()()()味。 喉ごしもスッキリしてて飲みやすい。 ボク好みだよ。」


「爽快感が素晴らしい。 ()()も程よくていくらでも飲めそうだ。」


「口も鼻も()()()()()()()()爽快感がたまらないっす! 風を全身に受けてるみたいっすよ。」


「拙者のは酸味が強いが、後から追いかけてくる()()()()()甘味が広がってくる。」


・・・? みんな同時に飲んだ筈なのに感想がバラバラだ。 同じ果実から搾られたものじゃないのか?


「フェッフェッフェッ。 不思議がるのも無理はない。 その果実は食べたり飲んだりしたものの本質を見極める、この魔法使いの隠れ里にしかない「スクトの実」の果汁じゃ。」

「スクトの実の特徴は段階的に味が分かれていて、罪があればあるほど、それは食べたり飲んだりすることの出来ない味になっていくの。 まあこの世に生きるものはみな罪人って考えたら、どこまでもいけるんだけどね。」


そんなものを飲まされたのか俺達は。 しかしみんななんだかんだで飲めているということは俺達は少なくとも悪人ではないことは認知されたというわけだ。


「それで? 味の違いって言ったけど、今のがそうなのか?」

「そうよ。 特にそこの給仕の子、アリフレア、だったかしら? その子の飲んだのが一番害がない状態。 悪事なんて働かない純粋な気持ちね。 そこからどんどん味覚的に厳しくなってくるの。」

「私達は酸味があったが、それが原因なのか?」

「そんなところ。 でも勘違いしないでほしいけれど、もっと悪い人ならその酸味すら受け付けないからね。 それに酸味程度ならまだ悪い心の持ち主とはならないわ。 本当の悪い心の持ち主なら飲みきれないほど酸味が強まるし、もっと苦くなるから。」


まだ大丈夫・・・か。 とはいえ罪を拭えるわけでは無いと言うことか。 今は俺達がいるから、そんなことも起きないか。 しかしそれで俺は疑問に思う。


「なら俺はなんだったんだ? 最初は苦いと思ったら、今度は甘さが来たんだ。 この場合ってどういう扱いになるんだ?」


そもそもこの世界に「チョコレート」なんて概念があるのか? その辺りが分からない。 どんなのだったかと言われても説明が出来る感じがしない。


「ほほう。 それはこれと同じ味かの?」


そう言ってアーリーさんがどこからともなく取り出したのは1つの黒い板状のものだった。 真ん中あたりで「パキン」と割れて、その半分を俺にくれる。 ここまでくれば俺も分かる。 少しだけ齧ってみる。


「・・・うん。 これです。 この味です。 これをどこで?」

「これはチェルコの実を砕き、溶かして型を流した物じゃ。 もっともあまり知られてはいないのじゃがの。」

「それでそのチェルコの実がなんだって言うのよ?」

「食べてみればいいさ。 味は俺が保証する。 で、苦くて甘いって実際のスクトの実ではどうなんです?」

「そうじゃの。 確かその意味は・・・「自分のことは言われても構わないが、自分の認めた者に対する侮辱は容赦をしない」じゃったかの。」


凄い具体的な意味だな。 しかし意味合いとしては合っているかもしれない。 今までにも俺はいろんな所でカードバトルを行ったが、スキルを使ったときと言うのは、大体が誰かが傷付いた時だと思った。 ぶっちゃけ自分のためにスキルを使ったことは確かに記憶に無い。 性格を表しているというのなら、ここまで的確なのはビックリだ。


「このような結果はわしゃが生きていた中でもお主で2人目じゃ。 面白いものを見せてもらったお礼じゃ。 お主の今後起こる未来を見てやろう。」


そう言ってアーリーさんは水晶を取り出して俺を水晶越しに見る。


「・・・お主には良き未来が待っておるようじゃ。 そう遠くない未来、少なくとも半年以内に、ある国の王族に気に入られ、別荘や後ろ盾が出来ておる。 その後には別の国で王女を娶ると出ておる。 ここまでの境遇、お主は前世では余程善行を行ったと思われるじゃ。」


その言葉にこっちがビックリしている。 善行、確かに死ぬ間際に子供の命は救ったけれど、それだけでそこまでの報酬が・・・? 神様、もしかして運命操作しました?


「信じるも信じぬもお主次第ではあるが、これはどのような形であれ実現なされる事じゃ。」

「その水晶に俺以外の人物って映ってるんですか?」

「残念じゃがそこまでは出来んぞい。 他人の未来への干渉は限度を守らねば禁忌と同じになってしまうからのぉ。 サヴィ様と共に歩んでゆくのがお主で良かったと心底思っておる。 サヴィ様はこんなところで埋もれるようなお方ではない。 是非とも世界の素晴らしさを伝えてやっておくれ。」


年寄りの助言だろうか? 目を離すとほっとけないなら見るしかないよな。 みんなに囲まれながら話をしているサヴィを見ながら、また騒がしくなりそうな予感もしていた。

セ「ところでこのチェルコの実の味の最初の人物って誰なんです?」

ア「この世界のかの有名な騎士様じゃ。 確かその者も普通ではなかったがの。 もしかしてその者の血を受け継ぐ・・・」

セ「ナイナイ それはない。」


セイジの未来の事を書いたので、近いうちに過去の事にも少し触れる予定です。

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