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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
135/262

右も左も亜人だらけ

『勝者 セイジ ノムラ ファルケン・ライナーペア 勝者報酬として亜人の譲渡が行われます。』


 全ての戦いが終わり、AI領域の展開が解除される。 そして亜人達が見守るなかで、俺は緊張の息を解くのだった。


「師匠、勝ったっすね。」

「ああ。」


 俺とファルケンは互いに拳をぶつけ合う。 その光景は亜人にどう映っているのかは分からない。 周りの亜人達は足を止め、この光景を見ているにすぎないからだ。


「そ、そいつらを逃がすな!」

「ぐはっ!」


 そう思った瞬間に俺はとんがり頭にタックルをされ、地面に叩きつけられそのまま組み伏せられてしまう。


「みなさん! 気を付けて下さい! こいつらは私達から亜人の子供を()()()()()()! なんの罪の無いこの子達を連れ去ろうとしたのです!」

「なに!? お前達が犯行したのを止めようと私達が動いて・・・」

「そいつらもこいつの仲間です! 耳を貸してはいけません! その証拠に見てください! あの亜人に付けられている首輪を! あれは奴隷の首輪と言うもので、自分の所有物として、彼は亜人を捕まえようとしているのです!」


 おかっぱ頭もここぞとばかりにでまかせを言っている。 自分達の立場が危うくなるや否や、俺達が亜人を捕まえる悪人として仕立て上げるつもりのようだ。 しかし現状そう思われても仕方の無い完全アウェー状態。 「話せば分かる」なんていう状態に持ち込むだけでも大変だ。


「一体何事ですか? こんなに朝早くから。」


 その声に皆が振り返る。 俺は組み伏せられているため、誰が来たのか分からない。 若い女性の声だと言う事しか情報がない。


「おお、リーツェ様。」

「リーツェ様よ。」

「本日もお元気そうで。」


 リーツェ様と呼ばれる人物がこちらに向かってきている。 みんなのしたり具合からこの国の女王、或いはその位の地位にいる人の事を言うだろう。


「どなたか状況の説明を。 当事者ではなく、第三者からの目で聞きたいので。」

「リーツェ様。 なにやらあの人族の者達がいざこざを起こしているようなのです。 しかも子供まで持っていて。」

「・・・そうですか。」


 そう言ってカツカツとこちらに更に近寄ってくる。 もちろん俺は音だけなので本当の状況はさっぱりだが。


「そちらの者を離しなさい。」

「ですがリーツェ様? こいつは・・・」

「話を聞いてから、判断しても遅くは無いでしょう?」


 そう言われるととんがり頭は俺を解放した。 そしてリーツェ様の方を向く。 容姿としては20代前半位の顔立ちでおっとりとした目に柔らかそうな物腰をしていて、なによりストレートな黒髪に目を引かれた。 第一印象としては「綺麗」の一言に尽きる。 そしてなにより、彼女には亜人「らしさ」が無かった。 動物特有の角やしっぽ等が見当たらない。 あんまり主張の強くない亜人かも知れないが、見えている分には分からなかった。 俺が解放されたことで、みんなも寄り添ってきてくれた。


「それで、皆様はどのような・・・」

「恐れながらリーツェ様。 彼らは亜人を捕まているのを我々は目撃しておりました。 彼らは亜人を売り捌こうと考えているようなのです。」

「我々も止めようと必死になったのですが、彼らの巧妙な作戦にやられましたが、こうして直々に来ていただけるなら、感無量というものです。」

「・・・そうですか。」


 リーツェ様は男達を見た後に俺達の方を見る。


「そちらの方の主張はどうでしょうか?」

「自分達は元々亜人の国との同盟交渉の使者としてマーキュリーから派遣されたものです。 そしてそちらの2人組が亜人の子供を拐おうとしていたので、それを止めさせる為に、こうして立ちはだかったのです。」

「・・・なるほど。」


 リーツェ様が両者の主張をどう捉えるか。 それが亜人達が人族に対する見方にも関わってくる。


「・・・丁度警邏隊が来てくれました。 亜人の子供を拐おうとしたその罪は亜人にとっても重罪とされています。 故に捕えなければ同じことを繰り返す事となるでしょう。」


 男2人はしてやったりと言った表情をしている。 これは言ったもの勝ちになる。 そうなれば確かに後者の場合の主張はかなり不利となる。 どうすれば納得してもらえる・・・どうすれば・・・ そうこう考えている間にも警邏隊が来てしまった。


「それでは・・・捕まえなさい。 そちらのお二方を。」


 その言葉に俺達も男二人も唖然として咄嗟に反応できなかった。 だから男達のほうが組み伏せられた事に、男達もようやく気が付いた。


「・・・はっ! な、何故です! 何故我々を拘束するのです!? 悪いのはあちらで・・・」

「申し遅れたことをお詫び致します。」


 そう言ってリーツェ様は組み伏せられている男達に目線を合わせ、


「私、リーツェ・アイルメイは「()()()()()」亜人なんですよ。 貴方達が嘘を付いていることを見破る事などわけないのですよ。」

「なっ・・・! そんな亜人が・・・!」


 俺はその言葉に、いないとは言い切れない。 何故なら俺はその動物を知っている。 いや、正確には動物ではない。 その()()


「・・・覚妖怪・・・ですか。」


 俺が思った事がすぐに言い当てられる。 俺は確信した。 彼女は覚妖怪の亜人だと言うことが。


「・・・あなた、何か知っていそうですね。 あなたが話が本当なのは知っています。 いえ、読んだ、と言ったほうが良いでしょうね。 その二人を連行しなさい。 そちらの方々。 ここでは少々場が悪いので、私の教会で話しましょう。」


 そう言って俺は暴れている二人を横目に俺はリーツェ様に付いていこうとするが、みんなの足が止まっていた。


「ご主人様・・・」


 アリフレアはあまり乗り気ではないようだ。 どちらかと言えばまだ警戒しているようだ。


「心配せずとも取って食べたりなどはしませんよ。」


 そのリーツェ様の言葉にアリフレアは「ビクッ」としてしまう。


「あーっと、そのナチュラルに心を声に出すのがちょっと駄目みたいなので、お手柔らかに出来ますかね?」

「・・・すみません。 今の私は目を守るものを持っていないもので・・・教会に行けば問題はないのでしばしの辛抱を。」


 とりあえず警戒している理由も分かったので、俺達は改めて付いていくことにしたのだった。


「ではこちらにお座り下さい。 ここはよく使われますので手入れは行き届いています。」


 そうして俺達は座り、リーツェ様も教壇の前に立つ。 振り返ったリーツェ様の目元にはバイザーが付けられていた。



「このような対面で申し訳ありません。 ですが、これも能力故と思って貰いたい。」

「構いませんよ。 能力の片鱗は見たので。 それに常に人の考えが見えるって言うのも、疲れるでしょうし。」

「あなたの言葉は本当に透き通るような想いが込められていますね。 表現するのは難しいですが、一言で表すならば「惜し気もなく」と言う言葉が似合うでしょう。」


 褒め言葉なのだろうと素直に受け止めておこう。 さて何から話したものか・・・


「亜人の国との同盟交渉。 あわよくば亜人と人族の和平交渉、と言った具合でしょうか?」


 なんと、俺達が思っていることだけじゃなくて、本来の目的すら分かってしまうのか。 心を読む、強いて言えば脳波を感じ取るような能力。 実感するのは決して敵に回すのだけは御免被りたいところだ。


「それは私も同じです。 あなたのような清く正しい道を進むものとなら、出来るなら歩んでいきたい。 でもそれは叶わない。 なぜなら・・・」

「さっきみたいな誘拐犯が人族の中にごまんといるから。 人族を無下に信用できない、と言った具合でしょうか?」

「その通りです。」


 それはあの行動でなんとなく分かっていたことだ。 人族を信じていなかったら、そもそも俺達も入れさせて貰えてない。 ある意味見極める為に人族をいれているのだろう。


「同盟は結ぶ事を誓いますが、私からもあなたに色々と訪ねたい事があるのです。 心ではなく、直接聞きたいことが。」

「隠し立てしても意味はなさそうですね。 なんなりと。」

「ではまずはあなたの事から。 貴方はこの世界の人ではない。 違いますか?」

「ええ、俺は転生してこの世界に来ました。 こちらの零斗さんも、形は違えど、自分と同じ世界から来ました。」


「なるほど、では次に。 私の事を「覚妖怪」と定義していたようですが、その生物は具体的には?」

「覚妖怪は心を読む妖怪として、俺達の前にいた国では、解釈は違えど一応恐れられていた存在です。 生物と言ったのは架空上、もしくは実際に見たか見てないかはっきりとしていないからです。 解釈は違えどモチーフにもなったりしていますから。」

「そうですか。」


「その事で質問を挟んでも?」

「質問責めと言うのも良くないですから、どうぞ。」

「亜人は亜人の元となる動物から傷、もしくは接触によって細胞が突然変異して産まれたと聞いていたのですが、先程も言ったように、覚妖怪の亜人だとしても、元々架空の存在。 どうやって亜人になったんです?」

「・・・これから同盟を組む方に隠すことも無いですね。 理由としてはシンプルなのですが、少々複雑な事情があるのです。」

亜人らしさのない生物が出てきましたが、今回ばかりは許してください。 心を読む動物など知らないので

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