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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第二の章 世界を回る
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アイルメーヌ

「ベルジア。 お前は自分の国、ハーキュリー以外の国についての情報は把握してたりするのか?」

「愚問だな。 ちゃんと調べてはある。」


 流石だな。 それで中心街に着くまでに情報共有をすることとしよう。


「アイルメーヌは先程から言われているように亜人の国として有名な国だ。」

「有名ってことは、亜人の国はここ1つだけじゃないんだな。」

「そうだ。 あくまでも亜人が住みやすい国の代表のような場所だ。 経済的にも亜人の国の中ではトップクラスだ。」

「あそこまで厳重体制なのも頷けるっすね。」


 そんな中でも俺達は通過できたのだから余程信頼できると見えたのだろう。 2人の亜人を連れてなお下に見ない姿勢が向こうに項を賞したのだろうな。


「だが逆を言えば、ここでの不審な動きはご法度と言うことにも繋がる。」

「そうでござるな。 警戒心の強い地域では、互いになにをするかを監視している所まで来ている。 その鋭さは人間では捉えられない程の視野と素早さを誇るであろう。」


 ハーレーストラの時とはまた違う緊迫感か。 本当に気が休まらないな。 この旅は。


「我々の目的としては、ハーキュリーとの同盟を結んで貰うこと。 しかし間接的とはいえ、ハーキュリーに密輸させてしまっていることもあって、こちらはアウェーになる。 当然喋らなければいいだけだが、その分探りも入れてくることだろう。 だから私も、そのような話にならぬようには心掛けるが」

「向こうの話の内容次第では避けられない話題になるって事か。」


 しかしそれはこちらにとっても信じて貰えるための賭けの話だ。 それが出来なければ、今後同じ様な事が起きることへの予行演習にはなるだろう。


「今回は俺っち達が頑張る時みたいっすね。 ゼルダ。」

「うん。 ボクたちがようやく表舞台で恩を返せる時だね。」

「恩って・・・」


 俺はそこまでの事をしていた記憶は無かったんだがなぁ。 亜人なら亜人同士で、みたいな考えを無くすように今やってる筈なんだけど、少しずつ進めるならば、その繋ぎ目として担ってもらうのも、悪くはないか。


 街に着くまでに全員のデッキ調整をすることにした。 と言ってもみんな全面的にはそれぞれにテーマや戦術が固まっている。 なのでここは経験の浅いアリフレアのデッキを改良するのが目的だ。 教えているのはファルケンだ。 このメンバーの中では唯一テーマデッキとして運用しているので、パックから出てくるカードもWs(ウィンドシューター)関連がほとんどらしく、気分や前回の試合の反省を生かしてデッキの内容を組み立てているらしい。


「このカードならどうすっか? コンボとしては十分に役に立つと思うっすよ?」

「本当、ですか?」

「どれどれ? ・・・ふーむ、確かにコストの事を考えると強いとは思うが、序盤だけだろう。 あんまり相手に対しての驚異にはならないかもな。」

「厳しいっすね。 師匠。 アリフレアちゃんのデッキはパワー型じゃないんすよ? もう少し優しくしてもいいじゃないっすか。」

「俺が言ってるのはコンボとして繋げるカードの幅が狭いってことだ。 効果を使える幅をそのカードのみにするのではなく、もっと効果的に使えそうなカードを集めるんだ。 そうすれば・・・高コストカードともコンボを繋げられる。」


 ファルケンはアリフレアが使おうと思っているカードに対しての有効札を出したが、俺はファルケンが使えると思ったカードの有用性を示した。 カードの見方は1つじゃない。 それを思ってもらいたいが為に、少しだけ強めに言ってしまった。


「アリフレアが使いたいカードを尊重したのは悪くない見解だが、それだけに囚われていると、カードの多様性を見失う。 それに俺だってこれだけ提示したが、その分カードを入れ替えなければいけなくなる。 その辺りも考えて、「勝てるようになるデッキ」じゃなく、「どんな盤面でも返せるデッキ」にした方が、自分のしたいことが出来なくなった時の被害は少なくなる。」

「カードは、私達に、答えてくれる、でしょうか?」

「ちゃんと答えてもらうためにも、しっかりと向き合ってあげるんだ。 アリフレアはアリフレアらしいカードを選ぶのも大事だからな。 そうすればきっと答えてくれるさ。 邪魔して悪かったな。 ドーホース達はまだ走ってるから、もう少し掛かりそうだ。」

「了解っす。 それじゃあ改めてカードを見てみるっすよ。」


 そう言いながら馬車の中で目的の場所に着くまで、ただのんびりと走らせているのだった。


「ご主人様。 あれが、街で、しょうか?」


 走らせること数時間、終わりの見えない馬車旅に、休息が迎えられたようで、俺は外を見るのだった。 見てみれば先程まで走っていた森とは既におさらばしており、周りは花畑。 道はある程度舗装されているのかドーホース達の走りも滑らか。 そしてその先に見える不釣り合いとも見える建物の数々。 どうやら目的地はあそこのようだ。


「ベルジア、アイルメーヌは他に町や村なんかは存在しないのか?」

「拠点のような場所ならポツポツとあるようだが、大体はあの街に集約しているようだ。 もっともそれが一番安全ではあるがな。」

「なんでっすか?」

「亜人は珍しい。 故に高値で売り飛ばす事もある。 セイジならこの意味は分かるな?」

「今朝零斗さんが言ってたように、亜人同士警戒心が強い。 つまりそれだけ互いを見張れる人数が多いと言うことだ。 少しでも不審な動きがあったり、その人物が行方不明になったりしたら分かるようにな。」


 閑静な住宅街のご近所付き合いみたいなものだ。 互いを見張り、街を見張る。 そうすれば、不審な動きは察知できる。 それが亜人なら増えれば増える程、不審な動きは更に出来なくなるという結論になる。 だから下手に散らばっているよりはその方が安心なのは間違いないだろう。


 そんなわけで俺達は検問のところと同じ様にドーホース達が止まるのを待ってから降りる事にした。 今度の検問の亜人は分かりやすい程に狐の顔(比喩ではない)とカメレオンの顔をした亜人だった。 どちらも武器を携帯していないが、大丈夫なのだろうか?


「旅人か。 滞在目的はなに用か?」


 カメレオン顔の方から質問してくる。 目がどこに焦点が合っているのか分からないくらいにギョロギョロしているので、少々不気味に思えてしまうが、それ以外はなんら変わらない人物だと言うのは分かった。


「俺達一行は我が国ハーキュリーからの使者。 ハーキュリーとの同盟の相談を、アイルメーヌ国王様とお話ししたく思い、出向かせて参りました。 突然の訪問だということは深くお詫び致します。」

「ハーキュリー・・・確か発展途上になりつつある、あの島国の事だな。」

「それに同盟を組む話は出ていたのはあったようだ。 本気にするつもりは無かったから聞き流していたが・・・」

「同盟の話は出ていたのですか?」

「我々の国では無かったが、確かに聞いたことがあるのでな。 しかし使者が直接出向いてくるとは思わなかった。 しかも一行と言っていたな。」

「今は馬車の中で待機させています。」


 俺はみんなを馬車から出るように指示した。 もちろんゼルダとファルケンはフードを取っている。


「・・・なるほど。 その指輪をした上で、亜人と共にこのアイルメーヌに入国したのか。 よし、話はつけてみよう。 ただ話をするまでに時間は掛かるから、何日か滞在してもらうことになるが、構わないか?」

「大丈夫です。 元々そこまで急いではいないので。」

「では中に入ることを許可しよう。 出る時はまたここを通ると良い。」

「ありがとうございます。」


 こうして俺達は、アイルメーヌの国王と話をするべく、中心街の中へと入るのだった。

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