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悪女様は中二病発症中!  作者: 皇冃皐月
プロローグ
3/4

お嬢様とご対面

 メイド長に着いていく。とても広く、未だに覚えていない屋敷の廊下を歩く。

 一際目立つ扉の前でメイド長は足を止めた。


 「リディア。覚えてくださいね。ここがエリザベートお嬢様のお部屋になります」

 「はい……」

 「返事が聞こえません」

 「はっ、はいっ!」


 酷い圧を感じて、わたしは精一杯返事をする。

 それから、メイド長は扉をノックする。


 「どうぞ」


 部屋の中から聞こえてくる声は酷く冷たいものであった。

 わたしはその瞬間に、ずきんと胸が痛む。激しく緊張していることに気づく。わたしの心情など知る由もないメイド長は、躊躇することなく扉を開く。


 部屋に一歩入って、メイド長は頭を下げる。わたしは真似をするように頭を下げた。ガチガチに固まりながら。


 「失礼いたします。エリザベートお嬢様。本日よりお嬢様に新たな専属メイドをお付けいたします」


 メイド長の向かいには女の子がいた。金髪縦ロールに青い瞳、白い肌。わたしと同い年らしいが、わたしよりも身長は小さめだった。そんな見た目も相まって、黙っていれば気品のあるお嬢様に見える。可愛らしいお人形さんのようだった。油断したら頭を撫でて、愛でたくなってしまう。

 だけれど、口を開けばそんな印象は一瞬で吹き飛んでしまう。欲望も溶けるように消える。


 「あら、また連れてきましたのね。どうせその者もすぐに辞めることになるのでしょう? アリシアメイド長。あなたがわたくしの専属メイドになればよろしくて? そうすれば解決ではありませんこと?」

 「お嬢様。お言葉ですが、わたくしが専属になってしまったら、グランツ家の家事が回らなくなってしまいます」

 「知りませんわ、そんなことは。そのメイドがすぐに辞めて、わたしが困るのが目に見えますわ。そちらの方が大切ではなくて?」

 「その通りでございます。ですが、安心してください。彼女……リディアは気骨があります」

 「それ前の奴の時にもお聞きましたわ」

 「今回はわたくしのお墨付きです」

 「……それも前に聞きましたわ」

 「とにかくそういうわけですので、お嬢様どうぞお手柔らかにお願いします」

 「…………」

 「それでは、わたくしはお仕事がありますのでこの辺りで失礼します」


 メイド長は逃げるようにこの部屋から去っていった。

 なんとなくわかる。ああ、わたしは面倒事を押し付けられたのだと。明らかにメイド長は逃げた。に、逃げるな!

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