このゲームの目的を考えました
見たことのない名前の料理ばかりで何を注文しようか迷ったけれど、シュパーゲルという白いアスパラガスを使った料理とグラーシュというパプリカとセロリと牛肉の入ったシチューを食べた。
お酒を勧められたけれど、飲み物は果実ジュースにした。
とても美味しかった。
冒険者用の食事のため量が多くていつも以上に食べちゃったけど、ゲームの中だから太らないよね?
そして、部屋を借りる。
ベッドしかない部屋でトイレもお風呂もない簡素な部屋。
あ、VR世界はそもそもトイレがないんだっけ?
んー、できればお風呂に入りたかったな。
身体は全然汚れていないけど。
「久しぶりに思いっきり身体を動かして楽しかったなぁ」
大きく腕を上に伸ばして言った。
そして私はベッドに横になり目を閉じたら――
「え? もう朝?」
朝になっていた。
たしかに寝たという感覚はあるけれど、寝起きのぼんやりした感じはない。
むしろ死んだあと教会に飛ばされたときのほうが寝ぼけていた気がする。
そういえば寝るときも寝ようと目を閉じたら一瞬で寝ることができた。
これもゲームだからだろうか?
考えてみれば、現実だとまだ数分しか経過していないんだよね?
本当は寝る必要もないのかもしれないな。
「えっと、いまの所持金と……昨日使った宿泊費と食事代を考えると……あれ? 一ヶ月間働かなくても生活できる?」
てっきり、冒険者ギルドで一生懸命働いて、そのお金で生活をしてみせろって話だと思ったんだけど。
じゃあ、ゲームってなにをするの?
※ ※ ※
「ゲームで何をするか? それはまた根本的な質問だな」
リーフさんにメッセージを送って私が何をしたらいいか尋ねたら、時間を用意して会ってくれることになった。
近所のカフェで待ち合わせをして、そこでフルーツジュースを飲みながら話をした。
「結論から言えば自由だ」
「自由?」
「強くなって世界一の剣士になるもいい。冒険者ギルドで依頼を受けてAAAランクを目指すのもいい。商売をして世界一の大富豪を目指すのもいい。牧場を経営して様々な魔物をテイムするもいい」
何をしてもいい……か。
何をすればいいんだろ?
うーん、うーん、うーーーーーん。
「深く考える必要はないが、とりあえず冒険者ギルドで依頼を受けてお金を稼ぎつつ、魔物を倒してレベルを上げるくらいはしたほうがいい。何をするにしてもお金と強さは必要になる」
「なるほど! 力とお金が全てですね!」
「そう言われるとかなり俗物的な感じがするな」
リーフさんが苦笑した。
そして、強くなるための方法も教えてもらった。
強くなるにはレベルアップでステータスを上げるだけじゃなく、スキル書を手に入れたり武器や防具を買い替えたりする必要があるらしい。
普通に生活するより大変だな。
ゲームって娯楽だよね?
なんで娯楽でそんな面倒なことをするんだろう?
でも、やりたいことも見つからないし、強くなるのは嫌いじゃない。
やってみようかな?
「とりあえず仕事をしてみます!」
「わかった。そういえばコトネはまだレベル1だったな? 金と経験値を稼ぐならいい場所があるぞ」
「いい場所……ですか?」
「初心者ダンジョンだ」
※ ※ ※
「初心者ダンジョンね。はい、これが鍵よ」
テルミナさんが銀色の鍵を渡してくれた。
リーフさんに教えてもらった通りだ。
ダンジョンという場所は、ゲームの中にある遺跡とか洞窟のような場所らしい。
その中には魔物がいたり罠があったり宝箱があったりする。
この世界のダンジョンの入り口は扉の形をしていて、そこに鍵穴を差し込むことで入る事ができるんだけど、鍵の種類によってダンジョンの種類が異なる。
初心者ダンジョンはレベル10未満の人しか単独でしか入る事ができないダンジョンだと教えてもらった。
「コトネちゃんは初めてのダンジョンの利用ね。準備はできている?」
「はい。ちゃんとおやつも買ってきました!」
「そうそう、おやつは300エリルまで――ってそうじゃなくて、戦いの準備よ。中に入ったら簡単に出られないわよ」
「そっちも大丈夫です」
リーフさんのお勧めの回復ポーションと脱出アイテムを買ってきた。
問題はない。
「じゃあ行ってきます!」
私の初めてのダンジョン探索が始まる。
ところで、ダンジョンって観光名所みたいな場所はあるのかなー?




