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魔王と蒼の王太子

なんかサブタイトルの最初に『魔』ばかり続いてしまっているwww

すみません、どうもサブタイトル付けるの苦手です・・・。

リカルドが少し大きめの鏡を持ってきて私達の座るテーブルの上に置いた。


「これは?」

「我が作った魔具『魔鏡』だ。この城の周囲にある森の中までなら我が魔力が届くゆえ、どんな所でも映し出す事が出来る」


そう言ってゼクスは鏡に手をかざす。するとそこに映像が映し出されてきたのだ。

そこに映っていたのは森の中を馬に乗って駆ける一群の姿。

その馬に乗っている人々の姿を見て驚いた。


「みんな・・・」


先頭を走るのはジークフリード様、次にユリウス殿下、アラン様、それにヒューイまでいる。そして沢山の騎士も後に続く。

私はジークフリード様の無事な姿を見てホッとした。


「・・・なるほど。だからこの場所が分かったか」

「え?」

「後方を走る騎士共の中に我が同族が捕まっている」


私は言われた方を見てみると、凄い傷だらけの見るからに魔族だと分かる容姿をした者が馬に括り付けられていた。


「この者先の戦いで帰還していなかったか。恐らく我等が国を落とさず帰ったのが気に食わなかったのだろう。自分で王太子に復讐しに行って返り討ちにあった様だ」

「・・・王太子に復讐?」

「ああ、この者が彼の国を攻撃する様懇願してきた者だ」


・・・あれマリアンヌ嬢か。


「しかしせっかく来たのだ、我自ら相手をしてやろう・・・リカルド準備を」

「御意」

「ちょと待って!何するつもりなの!?」

「ふっ、サラにも見せてやろう・・・」


ゼクスは私に近付き腰に手を回して抱き寄せた。そして突然視界が歪む。私は思わず目を瞑り次に目を開けるとそこはさっきまで居たゼクスの私室では無く、玉座がある広い王の間に移動していたのだ。


「一瞬でここに?」

「この魔法は最上級魔族のみが使える転移魔法だ」


瞬間移動の魔法あったのか!・・・しかし魔族のみなのか、羨ましい・・・。


ゼクスは目の前の玉座に座り入口の扉をじっと見つめる。


「ここで何を?」

「王に謁見しに来た者を王の間で迎える為だ」


その顔は何処か愉しそうである。


「やはりそなたと出会ってから退屈しなくて良い」

「・・・私は何もしてないんだけど」

「だが我は今愉しいぞ」

「・・・ゼクス様これを」

「うむ」


その時突然近くにリカルドが現れ、ゼクスに一本の美しい装飾がされた剣を差し出した。

ゼクスは剣を受け取り地面に立て柄の上に両手を乗せている。

リカルドは剣を渡した後そのままゼクスの後ろに控えて立つ。

私はゼクスの近くに立ちながらこれから起こる事を考え不安で一杯になる。


「・・・来たか」


そうゼクスが呟くと同時に扉が勢い良く開き、そこからバタバタと騎士たちを引き連れたジークフリード様達が入ってきたのだ。


「サラ!!」

「ジークフリード様!」


私の名前を叫んで走り寄ってくるジークフリード様が見え私も近くに駆け寄ろうと動き出す。しかし隣に座っていたゼクスが手を上げる。すると何処からともなく鎖が延びてきて私の足にある魔具と繋がった。


「なっ!ちょっとこれ外して!」

「囚われの姫は大人しく囚われていろ」


そう言ってゼクスは徐に玉座から立ち上り、ジークフリード様の前に歩いて行った。

この鎖は玉座までの長さしか無くこれ以上近付けない。

ユリウス殿下達がジークフリード様に近付くのが見える。しかしその行く手を塞ぐようにリカルドが転移魔法で現れた。


「ゼクス様の邪魔はさせません」


その時後ろにいた騎士達の所から暴れ出る者が。マリアンヌ嬢だった。マリアンヌ嬢は縛られた姿のまま駆け出しゼクスの近くに寄る。


「ゼクス様!こいつらを皆殺しにして下さい!」

「・・・お前は自分の仕出かした事を分かっているのか?」

「え?」


ゼクスはまるで虫けらでもを見る様に冷たい眼差しでマリアンヌ嬢を見る。


「お前の身勝手な行動に依ってこの城の場所が人間側に知れ、城や森に住む同族が危険に晒されているのだぞ?」

「あ!・・・お、お許し下さい!」

「魔族の罪は王たる我が裁かねばならぬ」


そう言ってゼクスは掌に闇の炎を出しマリアンヌ嬢に向ける。


「い、嫌!死にたくない!」

「・・・愚かな」


その場から逃げ出したマリアンヌ嬢だがゼクスから放たれた闇の炎に当たりその身が燃え出す。


「ギャァーーーーーー!」


マリアンヌ嬢は断末魔の声を上げそして炭となった。



「さて、我が同族が邪魔をしてすまなかったな」

「・・・・」

「そなたはサラがひどく気にしていた男ゆえ、我が直々に相手をしてやる。ただし今回は人間に合わせて翼も魔法も使わず剣のみで戦ってやろう」

「くっ、人間に合わせた事を後で後悔するなよ!」


お互い剣を鞘から引抜き構えた。


「サラは必ず返してもらう!」

「ふん、面白いやってみろ」


そうして二人は一気に間合いを詰め刃と刃をぶつけ合ったのだ。

その後ろではユリウス殿下達もリカルドと戦っていた。

こちらは大勢の人間が相手だったので、リカルドは容赦なく魔法を使っている。

殿下達はなんとか魔法を避けつつリカルドと応戦していく。

私はもう一度ジークフリード様達の方を見ると、余裕のゼクスに対して荒い呼吸をしているジークフリード様。

さすがに最上級魔族なだけあって剣のみであってもゼクスは強い。だけどそれに負けない様必死に戦うジークフリード様も十分に強い。

そんな二人の様子をハラハラし、そして何も出来ない自分に腹が立ちつつ見ている。



その時私は二人の戦いに気を取られていた事で、後ろから近付いてきていた存在に気が付かなかったのだった。

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