47話
畑で小麦のように、米は育てられるのだろうか? もし畑でも実るのなら、ラテの緑の手と魔法で育てることができるかもしれない。
神様、畑でも米って育てられますか?
〈はい、育てれます。畑で育てる米は、水田のような管理が不要なため、家庭菜園などでも簡単に栽培できます〉
おぉ家庭菜園⁉︎ 畑でも米が育つのか……! それなら、あとで米から種を生成しておこう。
〈他になにかありますか?〉
いいえ、大丈夫です。神様、ありがとうございました。と神様との会話をが終わった。
いやぁ、これで、アイテムボックスの中の食料が尽きても大丈夫だ。畑で収穫できる野菜と米、温室で育てている苺とコーヒー、そして〈一日恩恵〉さえあれば、当面の生活には困らない。
訓練して冒険者になれば、冒険の報酬で肉も手に入る。魔石やお金も得られるだろう。
そのお金で本を買って、ラテにも読ませてあげたい。畑では野菜だけでなく薬草も育てて、錬金術で薬を作れるようになりたい。いずれは立派な魔法の杖だって、自分の手で作れるかもしれない。
畑で米を作る、薬作り、魔法の杖かぁ。
いいな、やることがたくさんだ!
「ちょっと、ノエール? さっきからニヤニヤして、何を考えてるの?」
「そうっすよ、ノエール様」
「え?」
二人に言われて気付く、お昼のご飯の準備中。僕は神様との会話を思い出して、知らず知らずのうちに顔が緩んでいた。
「……ああ、ちょっと考えごとしていただけ。あ、そうだ。チェルシーに、ひとつ聞きたいことがあるんだ」
「私に聞きたいこと? なにかしら?」
「そろそろ、溜まったゴミをどうにかしたくてさ。まとめて処理できるやり方を、知らない?」
ここに来てからの、カップラーメンの容器やら、日用品のゴミやら。今はアイテムボックスに突っ込んでいるけど、そろそろ片付けたい。中身が腐らないのはありがたいが、やっぱり気になる。
チェルシーは何か思い当たる節があるようで、軽く頷いた。
「それなら、スライムを使った、スライム液入りゴミ処理箱がいいわ。スライムの液が、なんでも溶かしてくれるの。私も使っているから、効果は保証するわよ」
「ゴミを溶かす……スライム液入りのゴミ処理箱!? それ、すごく欲しい!」
「作りたいなら、まずスライムを五十匹捕まえてきて。ゴミ箱を材料に必要だから」
「え……スライムを五十匹!?」
今、異世界にスライムがいると知ったばかりなのに、早速そんなに大量に捕まえることになるとは……。いったい、どこに行けば会えるんだ?




