表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!  作者: にのまえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/63

45話

 この屋敷に来てからひと月が経った頃、兄から手紙が届いた。その内容は「元気にしているか?」の一行だけだった。


 たったそれだけの手紙だったけれど、兄にとって“邪魔者”扱いだった僕には、それだけでも十分に嬉しかった。すぐに「僕は元気にやっています。心配はいりません」と返事を書き、早馬で送った。


 ここに移り住んでひと月も経てば、魔法での屋敷の修繕はほとんど終わり、隣の部屋にキャンプ道具を並べることができた。


 この日の朝、朝食を作ろうと部屋を出たとき、足元に手紙と魔導書、それから薬の小瓶が置かれているのに気づいた。


「あれ、チェルシーからだ」


 手紙には「手荒れに効く塗り薬をおすそ分け。魔導書は読んだら私の部屋に置いておいて」と、いつもの丁寧な字で書かれていた。


 最近は薬作りが忙しいと聞いていたけれど、それでもこうして、気にかけてくれるのがありがたい。


 そういえば数日前、生姜焼きを振る舞ったとき、チェルシーは転移鏡を使ってやってきた。可愛らしく整えた部屋を見て「すごい、すごい、可愛い!」と目を輝かせていた。


 あのとき気に入った、人をダメにするクッションを何個か森の家に持ち帰って、今は屋敷の自室にも置いているらしい。



 今日は手荒れに効く塗り薬か。前に貰った腹痛の薬、足の匂いをとる塗り薬とか、すごく効いた。僕にも薬を作れないかなぁ。薬となると薬草、知識が必要になる。本を読んで知識はあるが、薬草には詳しくない。


 ――そうなると「薬草知識」「錬金術」「調合」のスキルが必要かな? 今度、神様にもらえるか聞くかな。


 朝食を作りに庭へ出ると、焚き火台に火をつけていたラテがこちらに気づき、手を止めた。


「ノエール様、おはようございますっす。今日の朝食後は、何をしますか?」


「あ、おはようラテ。今日も昨日と同じで、朝食の後に畑の収穫と温室の苺、それからこの前植えたコーヒーの木を見に行こう。お昼ご飯が終わったら、夕飯まで自由時間にしよう」


「わかりましたっす。俺っちは、読書して、お昼寝するっす」


 ――お昼寝もいいけど。僕はそろそろ、キャンプ道具の整理をするかな?


 そう思いながら、僕もラテの隣に腰を下ろし、朝食の準備に取りかかる。


「ノエール様、今日の朝ごはんは何を作りますか?」


「ん? 今日はホットサンドメーカーで、ポテトサラダのホットサンドを作ろうと思う」


「ポテトサラダのホットサンド! 俺っち、それ好きっす!」


「僕も好き。飲み物はインスタントのコーヒーにしよう」


 アイテムボックスから食材を取り出す。さすがに一ヶ月も過ぎれば、保存していた食材や調味料もだいぶ減ってきていた。


 食料が、一年はあると思ったのだけど……食べすぎたな。


 今、野菜は畑でどうにかなるけれど、元々は一人暮らしの小さな部屋にあったストックだ。ネットでまとめ買いした保存食も、減ってきた。


 ――どうする? 僕は戦闘にはあまり自信がないけれど、そろそろ近くの街に行って、冒険者ギルドに登録するかな。


 魔物を狩って、肉を調達しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ