表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!  作者: にのまえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/63

37話

「ふわぁ、よく寝た~」


 朝からカレーをたらふく食べて二度寝。目を覚ましたら、もう夕方だった。まだ眠っているチェルシーとラテを起こさないよう、そっとランタンに火を灯し、ライトもつけて辺りを明るくする。


「お、もう夜っすか⁉︎」


 気をつけて歩いたつもりだったけど、耳のいいラテには聞こえたようで、目を覚ましてしまった。その声につられて、チェルシーも目を開け辺りを見回した。


「え、嘘、もう夕方? このエアーベッドが気持ちよすぎて……つい寝ちゃった」


「おはよう……お腹すいたね」


「おはようございます。腹ペコっす」

「おはよう。そうね、お腹空いたわね」


 寝起きの髪を手ぐしで整えながら、チェルシーが慌てて身支度を始める。僕は大きなあくびをひとつ。夜ごはんは、カップラーメンにしようかな。


 そう決めて、アイテムボックスをごそごそ探って、大盛りのカップラーメンや焼きそばを取り出す。前世でネット通販のバラエティパックを買ったおかげで、種類は豊富だ。


「これ、初めて見るっす!」


 ラテが目ざとく焼きそばを手に取る。それは僕のお気に入りでもあるが、ひとつしかない。ラテから一口もらおうか、半分こにしようか、それとも譲ってあげようか……ちょっと悩む。


「あっ、ラテずるい! 私もそれ食べたい。でもひとつしかないみたいだから、みんなで分けて、他のを食べましょう」


「それはいい案っす。みんなで分けるなら、俺っちは味噌ラーメンにするっす」


「私はこの醤油ラーメンにするわ」

「僕も醤油にしようかな。お湯を沸かしてくるから、ちょっと待ってて」


「「はーい!」」


 火を落としていた焚き火に薪をくべ、再び火を起こす。ヤカンに魔法で水を注ぎ、火にかける。足りない分は鍋にも水を張って焚き火台へ。


 薪のはぜる音と、ゆらめく炎が心を和ませる。近くにチェアを置いて腰を下ろすと、隣にラテが椅子を持ってきて座った。手には、しっかり味噌ラーメンのカップを抱えて。


 ――ラテは癒しよりも食い気かな? いや、今の僕も同じだけど。


 しばらくして、ヤカンと鍋の水が沸騰した。みんなでカップラーメンや焼きそばのフタを開けてお湯を注ぎ、三分待つ。


「そろそろ三分かな? 僕は中で、焼きそばのお湯切ってくるね」


 僕が湯切りをしている間に、ラテはみんなのラーメンを準備してくれていた。


「ラテ、ありがとう」


「いいっすよ。さあ、食べましょうっす!」

「ああ、食べよう」

「初めてのラーメン! あっち! ……んん? この細い麺が、すごく美味しいわ」


「うん、美味しいね。でも火傷には気をつけるんだよ」


 夜の静けさの中に、ズルズルと麺をすする音が響く。


「つるつるの麺に、味噌のコク、ピリッとした辛味がたまらないっす!」


 カップラーメン慣れしているラテは、スープまでしっかり飲み干した。チェルシーも僕も同じように飲み干し、空いた容器に焼きそばを三等分して分け合う。


 ラーメンとはまた違う焼きそばの味に、みんなが驚き、「美味しい、美味しい」と声を揃えて完食した。


 食後はしばらく休憩して、みんなで使った調理器具や食器をキッチンへ運び、僕が洗い、ラテが流して、チェルシーが風魔法で乾かしてくれる。


「これで、洗い物は全部かな?」

「はい、終わりっす」

「片付いたわね」

「ありがとう、ラテ、チェルシーご苦労さま」


 僕は食器をアイテムボックスにしまい、焚き火の火を消しにいく間、ラテはチェルシーに屋敷の中を案内していた。


 ――そういえば、転移鏡を置くって言ってたっけ。奥の部屋を見にいったのかな?


 しばらくして、チェルシーとラテが戻ってくる。


「ノエール、空いてる部屋に転移鏡を置かせてもらったわ。ありがとう。今日はこれで帰るわね」


 そう言うと、来たときのホウキは出さず、そのまま屋敷の中へと歩いていく。……どうやら転移鏡で帰るみたいだけど、なんだか不思議な感じだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ