28話
ラテの能力を見て、正直な気持ち羨ましい。
でも、ここで神様に頼めばお詫びで、その「緑の手」のスキルは手にはいる。……だけど、そのスキルを手に入れたら? ラテの仕事を、僕が横取りした感じになる?
――ラテとは、これから一緒に楽しく過ごんだ。すごく、気になるスキルだけど、やめとこう。
僕はアイテムボックスからジャガイモ、半分のニンジン、四分の一のタマネギを取り出した。いまから種生成魔法で、これらを種にして畑に植えようと思う。伯爵家からも一応、異世界の野菜は何個か拝借したけど、やっぱり植えるなら前世の野菜がいいよな。
――味も美味いし。
僕はシートを引いて野菜を乗せ「種生成」と唱えて、ジャガイモ、ニンジン、タマネギの種を生成する。魔法により、シートの上に置いたジャガイモ、ニンジン、タマネギが種に変わる。
そうだ。ついでにバラの種も生成してと、隅に置いたバラの種も生成した。今、バラの種は使わないから、アイテムボックスから、チャック付きのプラスチック製の袋を出して中にしまう。
「お、まぶっ……野菜たちが種になったっす。ノエール様、凄いっす!」
僕が魔法を使ったから眩しいのだろう、瞳を細めにした、ラテが種が乗ったシートをのぞく。
「ふふ。そんなことないよ。僕よりも、この種生成魔法が凄いんだ」
「はい、ノエール様の言うとおり魔法はすごいっす。それを簡単に唱えて、出来てしまうノエール様も凄いっす」
「……え、そうかな、ありがとう。さぁ、ラテが作った棚を畑に植えようと。――あ、土を盛り上げて、そこに種を植えるんだったかな?」
土を盛り上げるのには農具が必要だけど、僕は持っていなかった。どうするかな? そうだ、神様に聞いてみよう。
(神様、この土地に種を植えたいんだけど、いいやり方がありますか?)
僕の質問に、神様からの答えがすぐに帰ってくる。
《あります。ノエールの創造魔法、土魔法を使い、畑を作って、土を盛り上げてみるのはどうですか?》
(おお、そうか、土魔法と創造魔法で土を盛り上げればいいのか。やってみます、ありがとうございます)
僕は、神様への質問を終えて僕は創造魔法で創造して、土魔法を使う。畑は子供の頃に行った田舎の父方の実家でしか、しっかり見たことはないけど、多分これであっているはず。
ラテがふわふわにしてくれた土を、細長く直線状に盛り上げて……。よし、よし上手くいっている。ここがジャガイモの畑、隣がニンジンの畑、タマネギの畑だと土を盛り上げた。
「よし、上手く出来た! ラテ、あとはここに種を植えるだ、植えよう!」
「はいっす!」
ラテは緑の手を使い、僕は……魔法を使わず、一つずつ種を植えた。




