25話
次の日の早朝、僕とラテはキッチンにいた。壊れたキッチンを直すために、創造魔法を使った僕は出来上がったキッチンを見て苦笑いを浮かべた。
――これって、僕が前に住んでいたアパートのシステムキッチン……そのままじゃないか。
違うのは、魔石に触れることで火と水を出せるところくらいか。ラテはというと、見たことがないキッチンに釘付けだけだ。
「ラテ、朝食は直したばかりのキッチンで作ろう」
「朝食? いいっすね。俺っちも手伝います」
「ありがとう、いま準備するから待っていて」
「はいっす」
――朝食はなにを作るかな? 卵をスクランブルエッグにして、焼いた食パンに乗せて、ケチャップをかけて食べるか。
アイテムボックスから六枚きりの食パンと、卵を取りだした。二股コンロにフライパンを二つ置いて、魔石を触り火をつけ、パンとスクランブルエッグを焼きはじめた。
ラテはコンロの前に立つ僕の隣で、フライパンの中で卵がジュウ、と音を立てて焼けら音にぴくりと耳を動かす。
「いい匂いっすね! ノエール様、スクランブルエッグなら俺っちも、作れるっす」
「じゃ、スクランブルエッグはラテに任せようかな」
スクランブルエッグはラテに任せて、僕は隣でパンをきつね色に焼く。フライパンの中でパンがきつね色になったところで、僕はラテが作ったスクランブルエッグを乗せて、その上からケチャップをかけた。
――美味そう! 焼きたてのパンとスクランブルエッグ、ケチャップは食欲をそそるなぁ。
ラテにも同じものを作り皿に乗せ、庭に出て、昨日片付けたテーブルとチェアを取り出してその上に置いた。飲み物は昨日飲んだ炭酸ジュースか、牛乳でいいか。
「出来た! ラテ、食べよう」
「うわぁ、美味しそう。いただきまーすっ!」
並んでチェアに座り、スクランブルエッグ乗せパンをかじる。ラテもいっしょに一口かじると、ぱっと顔を明るくせた。
「めっちゃ、美味しいっす。俺っちが作ったスクランブルエッグはふわふわで、焼いたパンはサクサク、ケチャップがよくあうっす!」
「ほんと、美味しいね」
二人でペロリと一枚食べて、二人で見合い「もう一枚、食べよう!」「はい、食べるっす」とキッチンに戻り、スクランブルエッグ乗せパンを作る。
「ラテ、もうここで食べよう!」
「俺っちも、食べるっす!」
出来立てのパンをかじった。




