21話
屋敷と庭の修繕、畑、魔法の修行とやりたい事だらけだ。僕は夕飯を食べる二人を眺めながら、わくわが止まらなかった。
――前世と合わせると結構な歳だと思っていたが、百歳を超える、この二人から見れば僕はまだ、まだ子供のようだな。だけど、二人との出会いを神様に感謝ないと。
あの事故はそれなりに恐怖だったが。異世界に来なければ、貴族になることも魔法を体験することも無かった。全てはゲームの中だけの世界だった、それが現実になるなんて、なんて面白いんだ。
――それをつまみに、冷えたビールが飲みたくなる。
「ごちそうさまっす」
「はぁ、美味しかった。……あら? なんだか、体がに力がみなぎってきている?」
「チェルシー様もそう思いましたか? 俺っちもさっきから魔力がみなぎると言うか、体調がすこぶるいいっす」
二人が一斉にステータス画面を開き、数値が上がったのか瞳を大きくしている。
「たまたまじゃ、ないか?」
変な言い訳を言いながらあせる。
――ちょっと待て、調理した食材がすべて前世の食べ物だからか? ということは、転生した僕にも何か影響が? いや、僕は……無限大だ。って、いやいや、そんな効果は求めてないよ、神様。いまある食材を食べてしまったら、終わりなのに……
《そんなことありません、ノエール様。必要な食材を購入する機能が必要ですか?》
ああ? 必要なものがいるかだって? それは神様通販⁉︎ 鑑定魔法を後から付属してもらえたんだ……神様になら出来るんだろうな。
――神様、その機能の付属は、切羽詰まったときにお願いしたいです。今は十分な食材もありますし、畑もやって見たいので、お気持ちに感謝だけします。
《わかりました。必要になったらお伝えください》
欲しいものが買えるなんて、楽ができて、面白そうな機能だけど。神様にもらった種生成魔法を使いたいし、ゆったりキャンプがしたい。キャンプに必要な道具はある、まだ食材もある。
ーーよし、二人の気をそらそう。
「ラテ、チェルシー、まだお腹に余裕はあるかい?」
「あるっす!」
「あるけど、次は何が出てくるの?」
「見て、聞いて驚いて!」
そうかえして、僕はアイテムボックスの中からホットケーキの粉と卵、牛乳を取り出した。
――卵? 牛乳? 両方とも賞味期限はきれていなかったけど。いままで、アイテムボックスの中にあったから使えるのかな。……クンクン、まぁ大丈夫だろう。
「ラテ、チェルシー、今から、パッククッキングでホットケーキを作ります!」
「ホットケーキ?」
「ホットケーキ⁉︎」
僕の策略に、ラテとチェルシーはホットケーキに食いつき、瞳を輝かせた。




