19話
「はい、はい、二人とも涎を拭いて落ち着く! 夕飯はみんなで食べよう」
「はいっす!」
「いいんですか?」
「ああ、たくさん作ったから遠慮なく食べて」
僕は頷き、女の子が座るアウトドアチェア、シェラカップ、箸をアイテムボックスから取り出す。その僕の姿を、瞳を大きくして見ていた女の子は。
「アイテムボックスを持つ人間って……ほんの数人しかいないと聞いていたけど。あなたは若いのに、その数人の人なのね」
と頷きながら話す。その女の子に言葉に「ふへっ? そうなの?」と変な声が出た。このアイテムボックスを持つ者が、ほんの数人しかいないだと……。
あ、いや、それもそうか。僕は神様から貰った、お詫びだ、優れているに決まっている。なんなら、他の魔法もそうだろう。
「うわぁ! さすが、俺っちのご主人様――ノエール様はお若いのにすごいっす」
「ほんとそうね。アイテムボックスを持ち、私よりも魔力が高いだなんて……師匠には私から話しておく。ノエール君、この子を――ラテをよろしく」
「え、いいのかい?」
「仕方がないわ。自分が蒔いた種だもの……でもたまに、ここへ遊びにきてもいい?」
「それは構わないよ。はい、ご飯とお味噌汁が出来たよ。えっと、ここに座って」
女の子ようの椅子をテーブルの近くに置き、座るようすすめた。
「珍しい椅子ね、ありがとう。私の名前はチェルシーよ。これからよろしくね、ノエール君」
彼女がチェアに座って夕食が始まったが。
チェルシーは器用に箸を使いご飯を食べて「何これ?」と驚き、味噌汁を飲んで「このスース、美味しい」とさらに驚く。
「どれも美味しいわ。この生姜焼きも最高! 人間の世界に、レタスよりも美味しい食べ物があるなんて知らなかった。前に食べたのなんて、味の薄い鶏肉だったし」
「はい。硬いパン、味の薄いスープ、硬い肉……どれも食べられたもんじゃなかったっす」
――硬いパン? 味の薄いスープ? 硬い肉? 僕が伯爵家で食べていた食事は普通だったけど。あ、ラテの歳は百八十五様だった。一体、いつの話をしているんだ?
ラテの元主人――チェルシーは少女にしか見えないが、まさかと、僕はこっそり鑑定魔法を使った。
名前 チェルシー(百一歳)
種族:魔族
職業:カジロベの森の魔女
……
とチェルシーのステータスを見ていた僕に、チェルシーは「ノエール、女の子の秘密を見ては失礼ですわ」と指をぱちっと鳴らして、見ていたステータス画面を消した。
「あ、ごめん、バレないと思っていたよ」
「ふふ。バレバレね。だって、あなたは魔法を使うと体が光っているもの。これは叔父様と同じ」
「僕の体が光る? ……ごめん、気になって鑑定しました」
「素直に言ったから許すわ。それより、あなたの光は私よりもすごく大きいから、相当な魔力量を持っているのね。でも安心して、魔力を持つ者にしかその光は見えないから。んん~この生姜焼き、美味しい! ご飯がすさむ!」
チェルシーはそういい、生姜焼きを美味しそうにぱくついた。




