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聖書の値段は一冊3150G(税込み)です。

 教会………普段、俺達が使っている教会という台詞はただ単に宗教施設の事を指すが、厳密に言えば建築物だけを直接指したい場合は教会堂と言うらしい。

 では教会という言葉は何かというと、もちろん教会堂の事を指す場合にも使われるが、そこに関わる共通の信仰を持つ人々の総体も表すらしい。

 唐突に何を言っているかさっぱり分からないと思うが、俺も人から教わった話だから分からない。では誰に教えて貰ったのかと言われれば、目の前にいるシスターを指指して答えるだろう。


「という訳で、ここに来たのも何かの縁です。貴方もセクト教に入団しましょう!」

「いやいやいや、俺は宗教とかに興味無いから!」

 レアメタルの在処を聞いただけなのに、この無駄なやり取りを何度した事だろうか!俺はただ単にレアメタルを手に入れたいだけなのだ。宗教だのカルトだの断じて興味はない。

 俺はレアメタルの情報をこのシスターから得ることを諦め、教会の中央までやってきた。内部構造的な話は興味は無いので名称は分からないが、何かベンチみたいなのが沢山置かれている所だ。辺りを見渡せば幻想的な装飾が施されたステンドグラスが見える。天井も嫌味な位高い上に宗教画かこれでもかという位書き記されていた。どうやら、このセクト教が誕生するまでの歴史が描かれているようだ。これだけの規模の物を作るのに一体どれだけ金が掛かったのやら。全く、金持ちの考える事は分からんな。

 

天井を見上げていると、ベンチに座っていた男が俺に話しかけてきた。身なりから察するに異国の商人といったところだろうか。

 通常、自国民が礼拝に訪れるのは珍しくも無いが、異人が訪れるのは珍しいのではないか?

 ふとそんな事を思ったが、このセクト教の名は広く知れ渡っているので、異人が入団していても可笑しくはないのかもしれない。

「アナタハ神ヲ信ジマスカー?」

 片言の聞き取りにくい言葉で紡がれる台詞に、こいつもかと辟易した気分で答える。もしかして信者には特定の勧誘ノルマとかあるのだろうか?よく分からないが、入信者を増やしたいなら俺以外を当たるんだな。

「信じているのは己自身だけだよ」

「ソレハイケマセーン。コノバイブルヲ買ウノデース」

「……………」

 単なる押し売りだったようだ。しかもよく見たらコイツ、紫峰山に来た初日の日に露店の真ん中で客に向かって十字架振り回してた奴じゃねぇか!

ヤバそうな雰囲気を感じて俺は早々に立ち去った。



 とはいえ、このままではどうにもこうにも埒が明かない。どうにかしようと思った矢先、神父らしき人物を見つけたので邪魔が入らないうちにさっさと話しかける事にした。

「すみませーん」

 俺に呼ばれてこちらに振り返った男は、若干いぶかしげな表情で俺を見つめた。

「……?新しい信者の方ですかな?どうなされましたか?」

「いや、信者じゃないんだけど、ちょっと聞きたいことがあってね。レアメタルって知ってる?」

「レアメタルといえば、この紫峰山で採掘される希少鉱物ですね。今や我らセクト教が採掘と流通の管理を行っておりますが、それが何か?」

「いやー、単刀直入に言うと、そのレアメタル欲しいんだよね、依頼で手に入れなきゃならなくなって、どうやったら手に入るのか教会関係者なら分かるかなーと思ってさ」

「残念ながら、有用性が高い希少鉱物なので一般の方にはお売り出来ないのですよ。今の所、王家や貴族の方々、そして一部の商人にのみお売りしている状況なので手に入れることは難しいでしょうなぁ。それより、ここに来たのも何かの縁でしょう。是非あなたもこのセクト教に」

「失礼しましたー!」

何か言われる前に俺は教会から逃げ出した。


「くそー!やっぱりそう簡単に手に入る訳ねーよなぁ。仕方ない。諦めて恥かいたギルドにでも寄ってみるか」

俺はゲンナリしながら、ギルドを目指して歩いて行った。

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