388話
「どちらさま……ってなんだ島津さんか」
隊員さん達は俺をじろじろと見た後、足元にいるクロに視線をむけ緊張をといた。
……俺の顔みても分からなかったのだろうか? そういや顔どうなってんのかなこれ……デフォでアルカイックスマイル浮かんでたりしないだろうな?
「わー、どうしたのその恰好? イメチェン?」
「イメチェンではねえですね」
ざわざわと騒ぎになったからか、遥さんもいつの間にか見にきていたようだ。
誤解されてもあれなので、とりあえずかくかくしかじかとこの姿になった経緯を説明しておく。
イメチェンにも程があらぁ。
「新しいスキルか」
「全身土蜘蛛? ……無茶苦茶強力なスキルじゃないか」
「イメージがそれってだけで、実際の威力とか、強度とかそのへんは土蜘蛛よりは劣るっぽいですけどね。それでもかなり強力っす」
大抵の防御はぶち抜ける攻撃力と大抵の攻撃を防げる防御力。
どちらも兼ね備えているので非常に強力なスキルだ。
ただ仮に俺が□□権現状態で土蜘蛛をくらったとしたら、あっさりぶち抜かれると思う。
今まで土蜘蛛でぶち抜けなかった事はないし、相手の攻撃で傷ついたこともない……土蜘蛛だけなんか違うんだよな。
あんな浅い階層で出て良いものじゃない気がする。
貰ったからにゃありがたく使わせて貰うけどな!
「それより座らんのか?」
「あー、実はですねえ……」
隊員さんと話している間ずっと立ちっぱなしだったので、座るよう勧められるが……たぶん壊れるよなあ。
重さの部分については言ってなかったから、そっちも話しておこう。
てかふと思ったんだけど、まわりこんだけ人がいるとうっかり足でも踏みそうで怖いね。
プレス機並みの大惨事になりそう。
肩が触れ合っただけで、えぐったり……さすがにそれはないか。
「スキル発動した部分が重くなるか……」
「そんな重いのー?」
「腕だけで個室のベッドがバッキバキになりました」
「へー」
バッキバキのバキバキよ。
スマホとか巻き込んでたらもう泣いてたね。
……うん?
何やら遥さんが俺の背後にすすすっと移動して……急に抱き着いてきた!?
まだ真昼間だよっ!
「……おっも!」
あ、違う。これ持ち上げられるか試してるだけだ。
てか普通に今持ち上がったな!?
全身に使っているから、間違いなくトン単位のはずだけど……それだけ遥さんのレベルが上がってるってことか。
「どれどれ」
なんか遥さんの反応をみて、色んな隊員さんが寄ってたかって俺を持ち上げようと奮戦する流れになったぞ。
持ち上げられたのは10人にも満たない……てか何時もの隊員さん達だけだね。
あともうちょいな人も結構居たから、全体的にレベル上がってるんだなーって改めて認識した。
海外は10~15階ぐらいまでしか進んでないってこの前どこかで聞いた気がするし、やっぱ世界的にみても隊員さん達が一歩抜きんでてる感じなんだろうねえ。
……ところでこれ何時までやるのかな?
え、重さ測ろうぜ? 普通の体重計だと乗った瞬間踏み抜いちゃうと思うけど……。
「約9トンか」
なんで軸重計とかダンジョン内にあるんですかねえ?
つかまじで重いな俺。
「ダンジョン外で使ったら大惨事だな」
「地面割れたり床抜けたりしそー……使えるか知らないけど」
重さ的にはせいぜい中型トラック程度だけど、問題はその重さが足の裏という狭い面積にかかっちゃうことだ。
ずぶずぶと地面に埋まっていく未来しかみえない。
惨事が起きることは間違いないのだけど、それもこれも外でこのスキルが使えたらの話だ。
よしんば使えたとしてもそんな重量では動くことは……おん?
「使えても動け……動けるかも」
「そうか、使っている本人は重さの影響受けないんだったな……」
重さ変わっても俺の動きに一切影響なかったかんね。
何せベッドに座るまで分からなかったぐらいだ。
「ちょっと外に出てみるか?」
「大丈夫かな……まあ本当にやばいならアマツさんが止めると思いますんで、出てみましょうか」
全身凶器がお外にでちゃう。
そんな事が果たして許されるというのか……許された。
「お、おぉぉぉ……う、埋まる」
あっさりお外に出れてしまったが、その第一歩で躓くことになる。
地面を踏んだ足がずぶずぶと地面に沈んでいく。
とっさに手をついた壁もミシィッて嫌な音を立てているし……やべえなこれ。
うかつに誰かの服でも掴んでしまおうものなら……想像するだけでも恐ろしすぎる。
隊員さん達が俺からすっと距離をとったのは気のせいじゃないだろう。
ぐすん。
「この鉄板の上を歩いてくれ」
どうすんべ……と思っていたら、隊員さんの一人が工事現場に使うような分厚い鉄板を持ってきてくれた。
これなら……と、恐る恐る乗ってみると、軋む音はするものの歩くこと自体は普通にできそうだ。
さすが鉄板。土の地面とは違うな。
「アスファルトに足跡が……ん?」
土はダメだけどアスファルトならいけるか? とアスファルトに足跡つけていたら、何やら視線のようなものを感じる。
まさかご近所様に目撃されたか!? と視線のほうへと顔を向けると……そこにいたのは電柱の陰に隠れてこちらの様子をうかがう中村の姿であった。
とりあえず確保しとくべ。
比重だと100ぐらい。
何で出来ているんでしょーねc⌒っ.ω.)っ




