「364話」
杉を……杉を伐採したい
家の中で眼球が行方不明になっても困るので仕方なく、本当に仕方なく転がった眼球を回収した……クロがボール代わりに遊んでたりとか、トラウマなりかねんからな。
「……本物か」
そのついでに生首を鷲づかみにして、アマツさんの視界に入るように動かすと……アマツさんの表情が露骨に引きつった。
「変なことに私を使わないで貰いたいんだがねえ?」
知らんがな。
……口では嫌がってそうな風に言っているが、その顔に浮かぶ笑みを隠し切れていない。
なんつーか、アマツさんも災難だなあと思わなくもない。
でも眼球持ってきたから、そんな思いもさっとどこかに行ってしまったよ。残念だね。
「…………はぎ取れたとして。絶対やりたくないけれどはぎ取れたとして……それ使い道あるんです? 呪われそうな気がするんですが」
一応ゲームとかそっち方面の考えで行くと、眼球って割と素材とかになっていたりはするよね。
でも実際に眼球……しかもほぼ人と変わらないのをさ、はい素材だよ! って感じで出されても困る。
これがでけえドラゴンの瞳とかだったらそうでもないんだろうけど、やっぱりもろに人の成りをした奴の眼球となると忌避感とかが強くなる。
お互いに憎しみあってというか、良くない感情を抱きあってその結果ぶち殺した相手となるとなおさらだ。
絶対よくないこと起こるでしょこれ使ったら。
「はははっ!! 彼にそんな力はないから安心していいよ!」
本当かなぁ~?
てかさりげなくディスってないか、アマツさん。
「せいぜい枕元に立つぐらいじゃないかな!」
「安心できない!!」
そういうのが嫌なんだってば!
まじ勘弁してくれ……切った張ったで解決できないことは苦手なんだよ。
特にホラー系。
「されはさておき。使い道だったね!」
「おかないで欲しいんですが」
真顔で突っ込むもアマツさんには気にした様子はない。
眼球口に突っ込んじゃうぞこんちくしょうめ。
「特殊な加工をすることで、装備につけることができるよ!! 効果は素材によって変わるけれど……ネタバレになるから言わないでおこうかな! とりあえず眼球は特におすすめだとだけ言っておくね!」
「えぇ……つけたくないんですが」
おすすめされても困る。
クーリングオフできないのこれ……もうさ、本人に返してあげた方が良いんじゃないかな? かな?
きっと眼球なくて困っているよ……眼球以外もなさそうだけど。
「んー……困ったねえ」
いや、困っているのはこちらなんですが? 目を細め……いつも細いけど、頬を掻くアマツさんにそう返したくなるが、続く言葉に開きかけた口をつぐむ。
「今後、彼みたいなのを相手にするなら絶対あったほうが良いんだけど」
そう困り顔でつぶやいた後、おっとネタばれになっちゃうかな。とおどけて見せるアマツさん。
それは……ダンジョン限定の話だよな?
ダンジョンの外であんなのに来られちゃ勝ち目なんぞ無いんだけど。
普通の人間よりはそりゃ強いだろうけど、せいぜい羆をボコれる程度であって……あんな文字通り人外を相手できるようなもんじゃない。
ま、ネタばれと言った以上はダンジョン内の話だとは思う。
ただ、変なのうろついているの見ちゃったからなあ……眼球、ねえ?
あいつの眼球はちょっと使いたくないんだよね。
……こっそりアマツさんのも混ぜているって話だよな確か。
まさか……ねえ?




