「362話」
復活(´・ω・`)体重ごそっと落ちててわらた
体内に異物が混入して喜ぶやつなんぞいてたまるか。
中には喜ぶ変態もいるかも知れんが、俺にはそんな趣向はない。
「晴れて人外の仲間入りをした気分はどうだい?」
痛む頭を鎮めるためこめかみをぐりぐりしていると、そんな言葉が生首から飛んできた。
「…………今更」
よく考えればアマツさんの因子とやら、それに生首に打ち込まれたあれ。
それに普段から人とかけ離れた姿で戦っているのだ。
ほんと、今更だよ。
いやだけど。
「なんだよ」
「別にい?」
ちらりと生首に視線を向けると、喜びを隠しきれないそんな表情を浮かべる生首と目が合った。
相変わらず腹立つやつ……ここで反応するとかえって喜ばせるだけだ。
感情は表に出さないようにして、と。
「てかさ時間経過で治るんだろ?」
「……さあ?」
いや、そこで素っぽい反応されると困るんだが。
アマツさんの因子云々は時間経過で……って話だったよな?
まてよ。アマツさんの場合はドラゴン経由で、生首とあいつは直接……やめよう。
深く考えるのはやめよう。
「ところでさ、さっきの半透明なやつはなんでお前みて逃げたん? てか外から見えてた?」
「なんでと言われてもねえ……」
とりあえず話題を変えよう。
これも割と大事な話な気はするんだよ。だって、外から見えてたら割と大惨事だし……まあいくら生首でもその辺りは分かっているだろうから、見えないようにはしているとは思う。
でもそうならなんで外にいたやつは逃げ出したんだって話になるわけで。
「人には分かりにくいだろうけど、一番最初に私と会った時のことを覚えているかね? その時私を見てどう思った?」
「え、気持ち悪い」
ずっと見ていたら発狂しそう。
「……」
って、なんで微妙にいじけた感じだしてるのよ。
聞いたのそっちじゃん! しかもちゃんとオブラートに包んだというのに……。
ちょっと悪いことしたかなー……なんて思っていたら、さっきまでいじけていた生首がこっちをニマニマしながら見ていた。
夕飯抜きにしたろか。
「神相手だとそれがもっと酷く感じるんだよ。相手の格によって程度は変わるけれど、格下ならそれこそ近づけない程には感じる。ああ、それと私たちがみえているものは人とは違うからね。安心したまえ」
「ほーん」
みえているものが違うと……ようはあの半透明っぽいのが本体とかそんなの? 人には肉体部分しか見えないけどーとか?
なるほど。
本体ね……ちょっぴり興味はある。
以前、ちらっと見えたアマツの本体っぽいのを思い出すに、見えないほうが良いのかもだけど。
「君に分かりやすく例えると……同格相手だと玄関前にひっくり返った蝉が3匹ぐらい居る感じかな」
「嫌すぎる……」
家になかなか入れないやつだ。
クロよんで退治してもらわんと……そういや、俺ってアマツさんに生首を投げ渡したことあったよな。
あれってアマツさんからしたら、セミファイナルを投げつけられたようなもんってことになるのか……そりゃ反射的に叩き落すわな。
悪いことをした……今度クロの肉球……は怒られそうだから俺の肉球? を触らせてあげよう。
しっかし、同格相手でそれとなると格下相手だとやばそうだな。
あの……なんだっけ、本当に名前忘れちゃったけど顔色の悪いあの男さ、生首見て叫んでたけれどあれってもしかしてそういうことなんだろうか。
「格下……この前戦ったやつだと?」
「食べてたシチューに髪の毛が1本入っていることに気が付いて……」
「ふん?」
気持ち悪いの方向性が変わったぞ!
生首の髪の毛かあ……それは嫌だけど、叫ぶほどか?
「取り除こうと引っ張ったら肉片付きの大量の髪の毛がついてきた……ぐらいかねえ」
「想像しちゃったんだが……発狂もんだろそれ」
そら叫ぶわ。
色々と無理すぎる……嫌な汗かいてきたよ。
なるほどねえ……それであんだけ狼狽えていたと。
あの場に生首が現れたのって、かなり影響でかかったんだな。
……ん?
……俺はいちおうあの半透明なの見えるわけで、神様的な視界が備わっているってことだよな。
「……晴れて人外の仲間入りをした俺は、なんで無事なんだ?」
そうなると生首とかの本体? それも見えてないとおかしい気がするが……どうみてもただの生首しか見えないな。
「知りたいかい?」
「……」
急に普通の笑み浮かべるのやめて。
理由については……なんとなく予想はつく。
こいつと混ざっているのと……俺に対しては、というか人に対して加減してるんだろう。
むかつくが、一応は神様……それもたぶん国津神。
祟り神でもありそうだけど……やだなあ、こいつを祀りあげるの。
「…………」
知りたいけど、聞きたくない気持ち。
そのほか色々考えがせめぎあい、しばしお互いに無言が続く。
だが、そんな沈黙は予期せぬ来客により中断されることとなる。
突如として聞こえてきた、破壊せんとばかりに激しく玄関をたたく音。
それに続く――
「島津くん居るかい!!?」
―――アマツのくそでかボイス。
「チャイムならして……いや、やっぱやめて」
スピーカーと鼓膜が壊れそう。




