「348話」
「後部座席がキャベツで埋まった……」
ばあちゃんに孫に何しとんのだテメーと説教くらっているじいちゃんを尻目にキャベツを車に積み込んだんだけど、やっぱ多いぞこれ。
荷台どころか後部座席も占領しちゃってる。
このままじゃ帰りに買い物しても置く場所に困ってしまう……助手席? クロが使うからねえ。
こりゃ早々にキャベツをおすそ分けして荷物減らさんといかん。
「実家からキャベツいっぱい貰ったんでいりませんか? っと」
ってな訳で早速遥さんにメッセージを送ったんだけどー……直前じゃなくてもうちょい早めに予告しときゃよかったなと思わなくもない。
今日は一応カレンダー的に休日ではあるのだけど、すぐつかまるとは限らないし……返事がすぐこないようなら渡すのは明日以降だなあ。
とりあえず帰るまでに連絡とれなければ、家にキャベツおいて買い物かなー。
「お、もう返事きた」
じいちゃんばあちゃんに挨拶して車に乗り込み、ちょっと走らせたあたりでスマホがぶいーんと震える。
運転中なのでクロに確認して貰ったが、どうやら自宅にいるようで『とりに行けばいいー?』と聞かれたので、帰りがてらにキャベツ持っていくと伝える。
……ちなみにメッセージを打ったのもクロである。
もう慣れちゃったけれど、改めて考えると凄いことしとるよなこれ。
「んじゃ、遥さん家にキャベツ渡しに行って、何もなければ買い物してあとはまっすぐ帰るけど……クロはどこか行きたいところある?」
遥さんの家にキャベツを置いてけるから車内スペースはばっちり空くかんね。
キャベツに合いそうなものを買って……なんじゃろ。豚肉かってホイコーローとか? あとはお好み焼きとか、塩だれかけてもしゃもしゃ食べるとか? 千切りキャベツとか、あれはあれで付け合わせだったりに良いものだけど、なんか違うし。
ちょっと凝ったものだと、ロールキャベツとか作るの大変そうだし……あれ、キャベツのレシピあんま知らないな、俺。
……とりあえず豚肉かってホイコーローだな!
豚肉なら冷凍庫に入ってるし買い物しなくても良いっちゃ良いし、クロがにゃーにゃーと希望を訴えてるのでそっちを優先するか。
買い物はキャベツのレシピ調べてからにすんべ。
「また渋いところを……んじゃ戻ったら買いにいこうか、漬物も切れてたしついでに買っちゃおう」
クロ曰く『天かま食べたい。普通のかまぼこでも良い』とのこと……お酒のあてにでもするのかな??
どちらもダンジョンで買えるので、買い物は中止で戻ったらダンジョンに行くとしよう。
予定がころっころ変わるけど、まあこんな日もあるよね。
とりあえず遥さんの家に向かうとしよう。
滑るの怖いから安全運転でなっ。
「きました」
「いらっしゃーい」
遥さんの家についたら、玄関前で遥さんが出迎えてくれた。
その手にはママさんダンプがあり……車をとめるスペースを確保するために、雪かきしてくれていたようだ。ありがてえ。
遥さんだけにやらせる訳にはいかんので俺も降りて手伝うとしよう。
なんならブレスで溶かして……ダンジョン外でブレス吐けるんだろうか? 半分冗談のつもりだったけど、ちょっと気になってきた。
ただ試すのも怖いんだよな。ダンジョン外だからブレスは出ないか、出ても威力が大分下がると思うんだけど……元が元だからねえ。
「どしたの?」
「キャベツのレシピ考えてました」
「おー……ホイコーローとか?」
あほなこと考えていたら遥さんに気が付かれた。
とりあえず誤魔化しておいたけど……どうやら遥さんのキャツレシピは俺と同レベルらしい。
「うわー。いっぱいだねえ」
「ええ、なのでいっぱいもらってください。俺は二つもあれば十分なんで。越冬キャベツなんで甘味あって美味しいと思いますよ」
雪かきも無事終わり、車からキャベツを引っ張り出して遥さんに袋ごと渡す。
一袋、二袋……中に入っているものがでかいせいか、二袋で限界のようだ。
俺も残りのキャベツを手に取るが……うむ。大きい。
遥さんのおっ……じゃなくて頭よりずっと大きい。
お義父さんもお義兄さんも、それに遥さんもかなり食うけど……それでも食切るの大変かも知れない。
「あらあらまあまあこんなにたくさん!」
さすがにもう少し持って帰るかー? と思っていたら、玄関から出てきたお義母さんがうっきうきしながら出てきて、遥さんからキャベツを回収しだした。
そして俺のキャベツは遥さんに回収された。
とりあえず喜んで受け取ってくれたようで良かった。
んじゃ家に戻ってダンジョンでクロ所望の天かまとか買いに行きますかねー。
「ささ、あがってあがって。せっかくだからご飯食べていきなさいな」
とか考えてたら、後ろにすすっと回ってきたお義母さんにぐいっと背中を押される。ぐいぐいと。
押しが強いなっ??
もちろんご飯に誘われるのはうれしいことなんだけど、今日はクロも一緒なんだよな。
皆にクロを紹介するいい機会ではあるんだけど……どうするかなーと後ろを振り返ったら、車の窓からこちらを半目でみるクロの姿が目に入った。
ちょっとおねむっぽいな??
いやじゃいやじゃ
休出なんぞでとうないc(,Д、と⌒c)つ彡ジタバタ




