「346話」
夏風邪ひいてしまいました。
本日の更新は休みます。。。(´・ω・`)
あとバレンタインのイベントは実話です。
幼いころは良くわかってませんでしたが、今思うとかなりやばいイベントですねw
だいぶ控えめな表現だと思います。
「よく思い出せ島津」
「何をよ」
変なことを言い出した中村にさっきから冷たい視線を向けているが、一向に堪えた様子はない。
それどころか胸元でぐっと拳を握り締めると、なにやら語り始めるしまいだ。
妙にきりっとした顔をしているもんだから、うっかり笑いそうになるじゃん。
やめてよねっ。
てか思い出せって何をだよ。
冬の海? 釣りした記憶しかねーど。
存在しない記憶を創り出せとでも?
「俺たちの学び舎を青春を……あの男だらけのむさ苦しい夏を」
「いや、女子もいたじゃん」
そっちかい!
数名だけどいたよ。ちゃんといた。
……まあ男だらけでむさ苦しいってのは否定せんけどさあ。
一応突っ込んだけどたぶん聞いてないんだろうなあ、こいつ。
「このままでは俺たちの10代の夏はむさ苦しいままで終わってしまう。それでいいのか? いや、そんな訳があってたまるか!」
「……」
やっぱ聞いてない。
あと、中村は12月にひっそり誕生日迎えているからすでに10代の夏は終わっていたりする。
こっちは突っ込まないであげよう。俺ってば優しい!
うん……とりあえず中村の考えていることは分かった。
10代の夏……今は冬だしどっちもすでに終わっているけれど、最後の夏を海でエンジョイしたいとかそんなんだろう。
いや、おかしいだろ。
夏をエンジョイしたいってのは分かるよ? 俺の記憶にある夏だって、せいぜい野郎だけで海でキャンプして釣りして、あと泳いだりもして……中村が離岸流で沖に流されたのは良い思い出? ま、まあ……なんだかんだで楽しんではいたけれど、大体むさくるしい思い出ばかりだ。
だからって冬に海で泳ごうぜ! とは普通ならんじゃろ。
100歩譲って仮に海に泳ぎにいったとして、俺とか中村は泳げたとしても他に泳いでる人なんておらんぞ? いるのはマス狙いの釣り人ぐらいなもんだろう……いやだよ? 釣りあげられる中村の姿なんか見るの。棒で絞められたりさ。
ちょっぴり面白そうではあるけど。
……まあそんな訳で、冬に泳ぎに行くのはなしだな。
変に未練を残しちゃあれだし、ここははっきりとお断りしておこう。
俺はノーと言える日本人なのだ。
つーかそろそろ周りからの視線が痛すぎてやばい。
これだけ衆目にさらされた状態で熱く語れる中村……割とメンタル鋼だな?
俺にはとてもまねできにゃい。
「そんなわけで行こうぜ! 沖縄!」
「え、やだよ」
「ふぐゅぅぅぅううんっ」
即答したら中村がその場に崩れ落ちた。
周りがざわざわしてる。すっごいざわざわしてる。
思わず深く考えずに即答しちゃったけれど……そっか、沖縄かー。
冬でも気温20度以上だっけか? それなら泳げなくはないけど……地元の人はたぶん泳いでないよな? そうなると広い海岸を二人で独り占めに……嫌すぎる。
地元の人に指さされちゃう。ひそひそ言われちゃう。
「ほら、みろよあいつら。こんな真冬に泳いでやがるぜ。ぜってー道民だよ」とか「お二人はん、こないな冬に泳いでどないしはったん?」とか言われちゃう。
やっぱ断って正解だな!
つーか、いい加減周りの視線が痛い……とりあえず中村を立たせて飯屋にでも拉致るか。
「ほれ、釣りなら付き合ってやっから元気だせよ。とりあえず飯でも食おうぜ」
「……おう」
宥めてどうにか立たせるが、中村は意気消沈して……というか今にも泣きだしそうな雰囲気だ。
俺が中村の手を引いて歩く光景は、さながら泣いた子供の手を引いて歩く親子のようで……最悪だ。なにせどっちも成人しているからな!
「まあ、あれだ。沖縄は夏になったら行ってやっから」
「……親友!」
しょうがないにゃあと慰めてやったら、急に抱き着こうとしてきたのでグーパンしておいた。
みぞおちに。
てか、なんかこいつ精神不安定になってない? だいじょうぶ?
「訓練はやらなくて大丈夫?」
「おっ断りよお!!」
ポーション飲んで飯食った中村は、訓練へと引き込もうとする皆の手から逃げるように帰っていった。
夏には沖縄行くと約束したからか、さっきまで落ち込んでいたのは噓のように元気である。
「まじで大丈夫かな」
元気なったり落ち込んだり忙しいやっちゃ……で済ますにはちょっと落差が激しいような気がしなくもない。
なんだろうねえ……俺の知らない間に誰かに告白してふられたとか、デートさそって断れたとか?
今度海に泳ぎにいきませんか! とか言って。
んま、そのうち様子見つつ話しでも聞いてあげようかな。
親友!なわけですし。ふふふん。
とか考えていたら。
「ああ、なるほどね」
その日の帰り道、コンビニよったところで恐らく原因であろうものがわかってしまったのである。
「だから変だったのかー……」
まだ少し先の話ではあるが、すでにコンビニではバレンタインデーに向けた商品が並んでいたのである。
それを見て精神的に追い詰められた中村はああなってしまったと……南無。
まあ、俺は遥さんからもらえる……よな?
バレンタインチョコとか家族以外からもらった記憶が……一つだけあったけれど、あれは幼稚園とかの時だったのでノーカンでいいだろう。
男子を並べて全員後ろ向かせて、女子がチョコを上げたい子の足元に置くという……結構えぐいイベントだった記憶がある。
どう考えても足元に置かれたチョコの数と女子の数があってなくて、あれって貰えなかった子に先生がチョコ置いてたんだろうな……果たして俺の足元にあったチョコの個数はいくつだったのだろう。
……なんか嫌な記憶が呼び起されそうで……おのれ中村ゆるすまじ。
バレンタインデーとか意識してなかったのに、俺まで精神不安定になりそうじゃんかよう……。
今やったら下手すると炎上しかねないイベント('ω')




