「345話」
3連休きたらきっと元気になる(´・ω・`)
「中村じゃん。どうしたの? 訓練しにきたん?」
「んなわけねえべ」
違ったらしい。
それは残念だ……ほんと残念。
俺的に中村もいけると思うんだよ。
なんだかんだで戦闘慣れしているしさ。もちろん最初は戸惑うかも知れないけれど、一度斬りあってしまえば……。
「え、なに。こわっ」
と、ちょっと湿度高めの視線を中村に向けるとさっと距離をとられた。
「……ちょっと前に動画アップされててよ。そこに島津っぽいの映ってたから覗きにきたんだよ」
「動画……ああ、アマツさんか。本当に上げたんだ、あれ」
鳥肌でも立ったのか、腕をさすりながら話す中村の言葉を聞いて、思い浮かんだのは炎上という言葉であった。
あの光景はどこをどう切り取ってもグロ画像にしかならんと思うんだ、俺。
まあ、いいや。
炎上するのはアマツさんだし、それよりもほかに気になることがある。
「……じゃあ、あれか。何か今日は見学してるの多いなって思ったけど、その動画が原因かな?」
「たぶんそう」
「へぇ……」
炎上するといったばかりだけど撤回しなきゃ。
ちゃんと宣伝効果あったようでなにより。
ここに普段より多く集まった人たちは俺たちの訓練を動画で見て、興味を持ったということだ。
よきかな。
「参加すりゃいいのに」
「いや、無理だろ。映像と実際見るとじゃえらい違うし……なんでこっち見る? 絶対やらねえからな!??」
うっかり本音がもれてしまった。
俺の視線からも何かが駄々洩れしていたのだろう……中村は自分を抱きかかえるようにして再び俺から距離をとる。ひどい。
だってしょうがないじゃない。
斬り合いするのは何時ものメンバーだし……もちろん楽しいんだけど、たまには他の人とやりあいたくなるのが人情ってもんじゃない?
なのにたまーに見学している人たちに声を掛けても「あ、自分先約があるんで……」とか「ちょっと通りすがっただけです」とか「後生です。見逃してください」とか言ってどっか行っちゃうし。
あとは初日に見かけた色んなところに声かけていた人ら居たじゃん?
また見かけたからさ、じゃあ俺らとやろうぜーと誘ってみたんだけど……一戦したらいつの間にか居なくなってたんだよね。
おかげでみんな新たな対戦相手に飢えているんだよ。
ほら、みてよ。みんな期待の眼差しを周囲に向けてるじゃない?
「人増えたら合戦出来ると思ったんだけどなあ……やりたいなあ。合戦」
「その顔やめーや……」
人が増えたら斬り合い以外にもやれること増えると思うんだ。
甲冑つけて、槍と弓も持って合戦とか楽しそうじゃない?
ダンジョン出来てから武器はもちろんだけど、甲冑なんかもそれなりに需要あるそうでさ。いつものメンバーに刀鍛冶が一人要るんだけど、知り合いの甲冑師がぜひ鎧つけて合戦してほしい! って熱烈なアプローチしてくるんだそうな。
本人はもちろん、俺含めてほかのメンバーも割と乗り気なんだけど……人が足らんがネックになっている。
せめて100人規模でやりたいよねえってのが俺たちの希望である。
もし今ここに居る見学人を巻き込めたら人数揃うんだけどなあ……むう。
「それはそうと島津。今週末ひま?」
顔をもみもみとほぐしていると、中村がそんなことを訊ねてきた。
そういえばまだ肝心な用事を聞いてなかったな。
「今週末なら……うん、大丈夫。また撮影とか実況?」
「いや、海でもいかね? ってお誘い」
「別にいいけど。……今時期って何釣れたっけ」
実況かと思ったら釣りのお誘いか。
BBQ広場の海とかろくな目に合わんし、たぶん近くの海でってことだろうけど。
たしかマス系が釣れた気がする……あとカレイもいけたかあ?
あまり多く釣れるイメージないけど、まあたまには良いかな。
鍋と袋ラーメンでも持ってこうかな。寒い中で食うラーメンはきっと旨いに違いない。
「いや釣りじゃなくて」
「ん?」
釣り以外で冬の海に行く……?
流氷でも見たいとかだろうか、結構距離あるから日帰りはきついぞ。
「泳ぎに」
「んー???」
いきなり何言いだすんだこの坊主頭は。
「控えめにいって頭おかしい。まだ冬だぞ。 ポーションいる?? 病気用のやつ」
「もっと控えて???」




