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時空戦艦『大和』  作者: キプロス
第7章 戦時の大和~1943年
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第67話 春の嵐作戦(後)

 第67話『春の嵐作戦(後)』



 1943年4月14日

 フィンランド/南スオミ州

 

 『バルト海の乙女』の別名を持つフィンランドの首都ヘルシンキは、政治・経済・流通の中枢部だったが、国防を担うフィンランド軍にとっては煩わしい存在に過ぎなかった。バルト海最奥、フィンランド湾北、多島海のヘルシンキ湾に面する沿岸都市であるが故に海からの砲撃・空爆に晒され、地上からはソ連の粗暴な兵隊達がこの首都の壮麗さと酒、そして花束を持ったフィンランド娘を略奪せんと行進する。それを守るためにフィンランド軍は『マンネルヘイム線』に張り付き、首都へ至る道を防衛しなければならないのだ。が、それでは地の理に勝るフィンランド軍は柔軟なゲリラ戦を展開出来ない。とはいえ、軍は政府の管理下にある訳だし、マンネルヘイム線はフィンランド人にとっては一種の『安全』を約束する存在でもあった。それに、対内外宣伝を重視するEUにとっても必要な防衛線であった。

 その重要な防衛線が月末中にも陥落するという見解が示されたのは、2日前のソ連海軍による『ヴィープリ上陸作戦』の前哨戦が勃発してのことだった。フィンランド第2の都市であり、マンネルヘイム線を越えた所に位置するヴィープリにソ連兵が上陸するかもしれないというこの前哨戦の際してEUは、対内外イメージの悪化を懸念した。そこでフィンランド軍最高司令官のカール・G・マンネルヘイム元帥に『マンネルヘイム線』について、問い質そうと考えたのである。そしてマンネルヘイムはフィンランド大統領のリスト・H・リュティ直々の出頭命令――無論、EU上層部の働き掛けによる――に従い、フィンランド軍最高司令部のある田舎町ミッケリから首都――ヨーロッパ同盟軍北欧方面総司令部のあるヘルシンキへと無理矢理呼び出された次第だった。

 フィンランド軍最高司令官のマンネルヘイム元帥、フィンランド軍参謀総長のエリック・ハインリッヒス大将は、目を赤く充血させ、髭は方々に伸び、軍服は皺だらけで、見るからに疲弊している様子だった。ハインリッヒス大将はフィンランド軍の作戦・諜報を担う最高責任者で、マンネルヘイムに同行してヘルシンキにやってきていた。

 「…………」

 「大丈夫ですか?元帥閣下」 

 「あ、あぁ……問題はない。心配するな」

 ヘルシンキ中央駅の3番ホール、フィンランド軍専用の装甲列車から下車した所で突然、駅ホール上のベンチに腰を下ろした最高司令官は、小さく手を振ってハインリッヒスの介抱の手を断った。疲労の色が顔に浮かんでいる。それはここ数日眠っていないこともあるが、そもそもマンネルヘイムは高齢であった。そんな老人に国家の命運を背負わせているのがフィンランドであり、そのフィンランド――祖国を守ろうと暗中模索しているのがマンネルヘイムその人だった。

 2人はヘルシンキ中央駅を出て、ヘルシンキのメイン・ストリートであるエスプラナディ通りを歩いた。要人専用車が駅前に停車しており、それに乗ればすぐに宿泊先のホテルまで直行出来たのだが、マンネルヘイムはヘルシンキの変貌ぶりをこの目で見ておきたかった為、ホテルへ向かうことを断った。

 エスプラナディ通りは初春の色を見せ始めていた。まだ地面には雪が残り、肌を刺すような風が絶えず吹いていたが、渡り鳥の囀りと通り一杯に生い茂っているもえぎ色の街路樹は春の訪れを示していた。また今日は天候に恵まれ、心地良い陽射しが通りに差し込んでいた。本来ならオープンカフェや通りに面して隣接するエスプラナディ公園で日光浴を楽しみつつ、午後のティータイムとしゃれ込んでいたことだろう。しかし、通りにはドイツ陸軍の兵員装甲車や軍用トラックが忙しなく行き交い、ドイツ兵やイギリス兵が規則正しく一列に並んで行進を続けている。これが戦争の結果だと思うと、マンネルヘイムは気分が良くなかった。

 いまやヘルシンキはEU軍によって統括・管理されている軍事都市だった。陸軍はもちろんのこと、海軍・空軍も市内や郊外に司令部や飛行場を持っているので、ヘルシンキでは航空機の爆音が絶えなかった。フィンランド政府は殆どEU――特にドイツ――の傀儡政府のような状態で、EU主要加盟国や軍部からの要求の多くを呑んでいた。リュティ大統領だけはフィンランドという国家の尊厳を守ろうと尽力していたが、EUの支援を受けれなければ祖国が赤化されるという事実には逆らうことができず、最近では沈黙を続けている。

 「これじゃあまるで、EUの軍事基地じゃないか」

 マンネルヘイムは唖然とした様子で言った。

 「しかし、そのおかげでヘルシンキが空襲に遭っても被害が軽微に済んでいる……という事実もあります」ハインリッヒスは言った。「ヘルシンキの市民を迅速に退避させることが出来たのも、EUの車や飛行機、船、列車、それに馬があってのことですから」

 「だがな、ハインリッヒス。首都に軍事機能と政治機能の全てを置いておくのは、間違いなんだ」マンネルヘイムは言った。「クラウゼヴィッツも言ってるじゃないか――『政治的交渉の延長が戦争である』と。首都占領は政治目的としては最高の勝利条件だ。そこに軍事目的である軍事拠点や司令部、戦力がオマケとして付いてくれば、モスクワにいるスターリンやその取り巻きの政治家共も笑いが止まらんさ。政治的・軍事的な双方の条件をソビエト側に握られでもしたら、我々はともかくとして内閣、そして我が国の外交官達はその敗北を認めざるを得ないのだ」

 クラウゼヴィッツの『戦争論』曰く、戦争とは『政治的交渉の延長』に過ぎない。この冬戦争も元々はソ連側の外交官が要求してきた提案をフィンランド側の外交官が断ったがために起きた戦争であり、なにも両民族がいがみ合って起きた戦争ではないのだ。

 「それにだ。この戦争は“制限戦争”でもある。我々も奴らも、敵戦力を殲滅するような戦争は望んではいないのだ。故に政治的・軍事的な勝利条件によって、今後の和平交渉において優位性が決まってしまう。だからこそ、奴らはここを狙う――何度も何度も」

 「それは敵の動向を見ても明らかですね」

 ハインリッヒスは言った。「奴らはこの首都占領を対内外宣伝に利用するつもりなのでしょう。突然の戦争にソビエトの国民は疲弊していますし、スターリンはヨーロッパとの全面戦争を意としていないのでしょう――現在のところは」

 マンネルヘイムは静かに頷いた。おそらくハインリッヒスの考えは正しく、ソ連はこの戦争を早期のうちに終結させてしまいたいのだろう。無論、自分達の完全勝利という形を望んでのことは明白だった。だからこそ、彼らはフィンランド北部や中央部に対して戦力を送らず、マンネルヘイム線の位置するカレリア地峡に戦力を一極集中させ、大戦力をもってヘルシンキへと直行する気なのだ。その間に居るであろうドイツ軍やイギリス軍などには目もくれず、あくまでも首都占領を優先させる。そうして戦争をソ連側の勝利に持ち込ませたいのだろう。

 「EUのお偉方からは何を聞かれると思いますか?」

 ばかげた質問だとは思っていたが、ハインリッヒスはあえて訊いた。

 「そうだな……まぁ十中八九、『マンネルヘイム線』のことだろうよ」エスプラナディ通りの東端、カウパットリ――マーケット広場――に面する小さな広場で、マンネルヘイムは『バルトの乙女』(ハヴィス・アマンダ)に目を向けて言った。この乙女像は1908年に建造されたもので、ヘルシンキの誕生の象徴である。デンマークのコペンハーゲン市民にとって『人魚姫の像』が誇りならば、ヘルシンキ市民にとってはこの『バルトの乙女像』が誇りなのだ。

 「君がそれを聞くのは再確認のためかな?」

 「それもあります。しかし……」

 ハインリッヒスは口籠り、意を決して告げた。「実はそのことについて、進言致したいのです」

 「なるほど……」マンネルヘイムは当惑したような表情を浮かべる。「なら、言ってみてくれないか。君の意見は私を裏切ったことはないのだ。そして今回もそうであると、私は信じている」

 「はぁ……では」ハインリッヒスは姿勢を直した。「元帥閣下、私は『マンネルヘイム線』を放棄すべきであると、進言致します」


 

 マンネルヘイムは驚愕のあまり、口をあんぐりと開けてしまっていた。マンネルヘイム線を放棄する?フィンランド軍の最終防衛線を放棄するというのが、聡明実直なフィンランド軍参謀総長の口から出てくる言葉なのか?マンネルヘイムは驚きと不安を顔に滲ませながら、胸の内に呟いた。

 「ご説明致します。戦争初期のソ連軍は生半可な戦略と数週間を戦えるかも分からない兵站を軸に戦ってきました。その結果はご存知の通りでしょう。その軸は巨大な軍隊を支える程に堅牢なものではなく、我々とドイツ軍の戦略・戦術をもってして呆気なく折れました。食糧は底を尽き、暖を取ることもままならずにソ連兵は戦う前に餓死凍死。また、稚拙な戦略と戦術によって戦力は大きく分散、若しくは集中してしまい、我が軍のゲリラ戦法とドイツ軍の機甲部隊・航空部隊によって各個撃破されてしまいました」

 ハインリッヒスはそこで言葉を切った。「しかし、今回は違います。ソ連軍は学習し、十分な兵站と戦力の一極化によって大部隊を編制し、今度こそ我々を数で圧倒しようと画策しております。事実、北部や中央部では、ソ連軍の動きが全く報告されてきません。だから現在、他の地域からカレリア地峡に向けて戦力を再配備していますが、敵の大攻勢には間に合わないでしょう」

 「君はソ連軍の大攻勢にマンネルヘイム線が持ちこたえられないというのか?」

 マンネルヘイムの問いに、ハインリッヒスは頷いた。

 「クラウゼヴィッツを引き合いに出しますと、『時間による戦力の優勢』において、戦力の優勢とは、保有するすべての戦力を同時に使用することなのです。すべてが1回の行動と決定的な瞬間に集中されればされるほど、より完全なものとなるのです。その一方で――」

 「戦力の逐次投入は保有する戦力の喪失を招くのに最善の愚策――かね?」

 ハインリッヒスは頷いた。「そこまで皮肉ぽくは言えないのですが……そこまで承知して頂けているのであれば、こちらとしても話が早いです」ハインリッヒスは言った。「更に言えば、マンネルヘイム線は全体戦力が広く薄く配置されています。これでは大軍で襲い掛かってくる敵には敵わないでしょう。だからこそ私はマンネルヘイム線を一旦放棄し、ソ連軍の大攻勢を挫くための『短期決戦』を提案致します」

 それは大きな賭けでもあった。なにしろ、その短期決戦で万が一にもフィンランド軍が負ければヘルシンキに至る道はがら空きとなり、ソ連軍は一直線に首都へと足を伸ばせるからだ。そうなれば、EU軍はヘルシンキで最終決戦を挑まざるを得なくなる。しかし逆に勝利すれば、猛攻撃を続けるソ連軍を停滞されるとともに、大きな痛手を味わわせることができるだろう。

 「数に劣る我が軍が、予備戦力まで総動員して突撃してくるソ連軍に総力決戦を挑むのか?」マンネルヘイムは渋面を浮かべて言った。「危険ではないか?」

 「そうとも言えません。カレリア地峡の交通網は脆弱で、大部隊の移動には向いていません。ソ連軍は戦力の集中配備ができないでしょう」ハインリッヒスは言った。「それに加えて空間の問題もあります。双方の軍の全体戦力が10だとして、我が軍が10をもって戦いに挑んだとしても、大規模な戦力を有する敵軍は空間的余裕に恵まれず、その戦力配置を持てあますことでしょう。交通網の観点を考慮すれば、敵軍は半分の5かそれ以下の戦力しか決戦地に配備できない筈です。すると敵軍は戦力の逐次投入という愚策に頼らざるを得なくなり、我が軍は全体戦力をもってして各個撃破を狙えるという訳です」

 マンネルヘイムは頷いた。「その決戦地はどこに設定する気かね?」

 「個人の意見としましては、ヘルシンキを望みます。EU軍の本体も駐留し、守りに富んだ都市ですから」ハインリッヒスは言った。「しかしそれではリスクが大き過ぎる。そこでヴィープリか、その以西のヘルシンキに向かう上で交通の要衝となる都市を決戦地に設定するのが妥当かと私は考えております」

 「まぁ……確かにそれが妥当だろう」マンネルヘイムは言った。「問題は我が軍だ。いくら地の理があるとはいえ装備と物資、それに人員の面ではソ連軍に負けている。その点は?」

 「EUの陸上戦力と航空戦力に頼らざるを得ないでしょう」ハインリッヒスは申し訳なさそうに言った。「決戦地と敵の前哨軍事拠点の間に地雷等の遅延工作とEUの航空戦力をありったけ投入し、地上戦力で反撃出来るところまで、ソ連軍の前進を遅らせます。これで敵戦力を削り、増援部隊到着の時間を稼ぐとともにEU軍本体の連携を出来る所まで盤石化させられれば、決戦において我が軍が勝利する公算は見えてくる筈です」

 ハインリッヒスの提案はマンネルヘイムを深く悩ませるものだった。一歩間違えればフィンランド軍の主力が壊滅し、ソ連軍は首都に向けて何の心配もせずに向かうことが出来る。しかし、『春の嵐作戦』におけるソ連軍の進行スピードを見れば1週間足らずでマンネルヘイム線が陥落することは必至で、それを考えれば『決戦』というのも妥当の提案といえた。問題は、フィンランド軍最高司令官という立場において、どちらがフィンランド国民の生命と未来を保障するのかを見極めることだった。

 「……宜しい。明日のEU北欧軍との会談の場で、この案を上申してみよう。たとえ協力が得られなかったとしても、我が軍はその提案通りに事を進めるからそのつもりでいてくれよ、ハインリッヒス」

 ハインリッヒスは久々に見たマンネルヘイムの笑顔に、当惑していた。「は……了解しました。明日にでも具体的な戦略内容を作成し、1週間以内には全軍に公布できるよう尽力致します」

 ハインリッヒスは軍帽のつばにピシリと手を当て、敬礼した。


 

 翌日、EU軍北欧方面総司令部に出頭したマンネルヘイムとハインリッヒスは、懐かしい顔に再会した。『雪原の狐』ことEU軍第3軍団第1緊急即応集団司令官、エルヴィン・ロンメル大将である。ドイツ陸軍の若き大将、フィンランドの英雄である彼はこの2人とはミッケリの司令部での深い親交があり、温かく迎え入れてくれた。また、ノルウェーの第6緊急即応集団司令官を務めるカール・G・フライシャー少将も隣国という関係上から、2人には好意的だった。

 しかし、それ以外の出席者が必ずしも2人に優しかった訳ではない。EU第3軍団から増援として派兵された第3機甲集団司令官のヴァルター・モーデル大将――『ヒトラーの火消し屋』――やEU第2軍団北欧派遣軍を指揮するイギリス陸軍のクルード・J・E・オーレンキック大将は、先のヴィープリ前哨戦のことを芳しく思っておらず、マンネルヘイムの指揮能力に疑問を抱いていた。

 「マンネルヘイム元帥、今日はぜひ今後のフィンランド軍の戦略についてお伺いしたい」

 オーレンキックは勿体振った手振りを見せながら言った。

 「それについては、こちらのハインリッヒス参謀総長から提案があります」マンネルヘイムは言った。「お聞き下さいますか?」

 「……うむ」オーレンキックは腕を組み、席にふんぞり返りながら言った。その間、ハインリッヒスは自身の『短期決戦案』を語った。

 「概要は大きく2つに絞られます。まず、EU空軍は敵前哨拠点と決戦地の間に対地攻撃を連続して行い、我が軍は後退と前進を行います。すなわち、前線のフィンランド軍とドイツ軍は決戦地まで後退し、後方のEU軍は出来る限り早く前進します。これによって定数かそれ以上の戦力を集め、ソ連軍に対して決戦を挑むのです」

 「だが……万が一にでも負ければ、ソ連軍はヘルシンキに一直線ではないか」オーレンキックは言った。「そもそもマンネルヘイム線は難攻不落の要塞防衛線ではないのかね?そこをみすみす放棄して野戦を挑むなど、愚策ではないか」

 「オーレンキック大将の言う通りだ」防御戦の天才、モーデルは言った。

 「確かに。しかし、マンネルヘイム線は必ずしも無敵という訳ではありません」マンネルヘイムは自身の名を冠する要塞防衛線に対して、苦言を呈し始めた。「なにしろ木と石でできた間に合わせの防衛線です。現在、大陸で建造しているというコンクリート製の『西の壁』ならともかく、このマンネルヘイム線はソ連軍の砲弾1発で呆気なく崩壊してもおかしくない程、脆弱な造りなのですから立てこもっていればいずれは撃破されるでしょう。私はそのようなことで我が軍の機動戦力を失いたくはないですし、ソ連軍の鼻っ面にパンチの1つでも喰らわせてやりたいのですよ」

 「モーデル大将、オーレンキック大将」

 それまで沈黙を続けてきたロンメルは、ここで口を開いた。「私はハインリッヒス参謀総長の案に賛成です。たとえフィンランド軍が負け、ヘルシンキが戦場になったとしても、それ以前に決戦を仕掛けておけばソ連軍の戦力を著しく削ることが出来ましょう。ならばヘルシンキを要塞化して防御戦に転じるなり、EU軍の全戦力で総力戦を仕掛けるなりにしても、大助かりというものです」

 「まるでフィンランド軍を捨て駒のように思っている言い草だな」モーデルは言った。

 「ドイツ軍やイギリス軍にとっては“合理的”というのが正しいのでは?」ロンメルは言った。「私は明日にでも第1緊急即応集団を後退させ、決戦に備えさせるつもりでいます。無論、私は前線に出て、陣頭指揮を執るつもりです。モーデル大将にはヘルシンキで全体の状況を把握し、支援に努めて頂きたい」

 「……分かった。マンネルヘイム元帥、私は貴方の案を認めましょう」モーデルは半ば観念したように言った。「オーレンキック大将、貴方はどうです?」

 「うむ……私も賛成だ」オーレンキックは渋々言った。

 

 

 1943年4月15日、こうして決定された『短期決戦案』に従い、EU北欧方面軍とフィンランド軍は行動を始めた。フィンランド軍は『マンネルヘイム線』を放棄、ドイツ軍前線部隊はヴィープリへの後退を始め、フィンランド軍との合流を目指す。その間、フィンランド軍は地雷やトラップ等の遅延工作を張り巡らし、EU空軍は主要幹線道路や鉄道網、補給拠点に対して対地攻撃を実施する。これにより著しく進軍速度が低下したソ連軍は停滞を始め、フィンランド軍とドイツ軍は決戦地の前哨拠点であるヴィープリまで後退することが出来た。両軍は再編成と補給を行いつつ、決戦の時を待つのだった。

 

 

 

 

 


 

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