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滅びの魔女の謀~破滅しかない魔女に転生したけど、知略を駆使して生き延びます~  作者: 空野進
プロローグ

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1/8

1.転生

【作者からの報告】

全体の調整をさせていただきました。

一話当たりの文字数も見直し、展開も調整しております。

調整が終わったものから随時更新させていただきます。

 異世界転生なんて物語の中だけだと思っていた。


 なぜか森の中を逃げている私、イリス・レインは意識が覚醒した瞬間に武器を持った兵士たちに追われていた。


 ズキズキと身体中が痛む。


 逃げながら今世での記憶を思い返す。

 魔女のお姉さんと共に人里離れた森の中で暮らしていた記憶。

 私自身も魔女の卵で、弱いながらも魔法を使うことができた。


 いつか私も偉大な魔女に――。


 小さな夢を胸に修行に明け暮れていた。

 『魔女』が忌み嫌われる存在であることを知らずに――。


 ある日、私はいつも通り食事用の木の実を採りに行っていた。

 特に変わった事のない平凡な日常。


 そのはずなのだが――。


 魔法で成長させた木の実を持って帰ってきた私を待っていたのは、これまで暮らしていた家の燃えている姿と……、お姉さんが槍で刺されている姿だった。



「ど、どうして……」



 思わず口を押さえ、声を上げないようにする。

 怒りやら悲しみやら、感情が溢れてくるのを抑えられない。


 溢れ出る感情は黒いモヤという目に見える形で私の体を覆っていた。

 そんな私はすぐに兵士に見つかってしまう。



「まだいるぞ。魔法を使っている……。魔女だ! 殺せ!」



 先端の宝石が白く光る杖を出しながら指を差してくる。



「まだ子供ですよ。こいつも殺るのですか?」

「当たり前だ! 魔女は滅ぼさねばならん!」



 すぐに私へ剣が向けられる。

 しかし、それに目を向けることなく私はゆっくりとした動きで立ち上がる。

 恐怖を感じた兵士たちから一斉に武器を突きつけられる。


 激しい痛みと共に感情が爆発する。

 次の瞬間に周囲を巻き込む形で黒いモヤが広がっていく。



「なんだ、これ。離れな……ぐはっ」

「に、逃げろ。魔女の魔法だ!」

「ほ、滅びの魔女だ! こんなのどこに逃げれば……」



 辺り一帯を包み込んだ黒いモヤは、周囲のものを消し去ると全て少女に吸収されていった。

 私の意識もそのまま消えていく。

 すると、次の瞬間に白い光の柱が立ち上がり、私は前世の記憶を思い出していた。



 ――うん、私はたくさんの兵士を消し去った『滅びの魔女』。

 仲間をやられた兵士たちが諦める訳ないよね。


 冷静に考えると納得はできる。

 でも、そのまま殺されるわけにはいかなかった。

 なんとかこの場は逃げ切らないと!



         ◇ ◇ ◇



 色々と思うところはあるものの、いったんは逃げることを優先する。


 私は十歳くらいの小柄な少女で、武器もなにもなし。

 一方追いかけてくる兵士たちは大人で身体能力に勝り、しっかり武装を整えている。


 まともにやりあっては勝てるはずもない。


 唯一あるのはこの森で過ごした記憶……地の利だけだった。

 迷わずに走る私に対して、何かを警戒して進みが遅い兵士たち……。


 もしかして、さっきの魔法を警戒してるの?


 これ幸いと私は更に速度を上げて森の中を進んで行く。


 息は荒く、肺が酸素を欲している。

 それでもなお私は走り続けた。

 その結果――なんとか兵士たちを撒くことには成功していた。



 一旦木を背もたれにして、呼吸を整えながら状況を整理する。



 今の私はあまりにも弱い。

 あの魔法が何度も使えるなら話は変わるのだが――。



「……使えないよね」



 なぜか私は魔法を使えなかった。

 今まで使えていたはずの植物を成長させる魔法すらも。


 つまり、今の私にはなんの手もない。

 あまりにも悲劇的な状況に頭を抱えたくなる。


 しかし、それで状況が良くなることはない。

 四方八方を兵士で囲まれているのだから、いずれは捕まって殺される……。



「ちょっと待って……」



 そもそも兵士の統率がとれているってことはそれをまとめ上げている人間がいるはず。

 私が逃げるためにすべきことは――。



「兵を統率している人を狙うこと?」



 あくまでも兵士たちは命令の通りに動いているはず。

 指揮官さえどうにかすれば、混乱が生じて、私も逃げることができる。


 もっといえば、『魔女を狙っている理由』も指揮官なら知っているかもしれない。

 でも、誰が指揮官かわからない――。


 そこで頭がチクリと痛む。


 どうして私たちが魔女ってわかったんだろう?


 なにか魔女と判断する何かがあったはず……。

 そこで思い出したのは光る宝石のついた杖だった。


 武器を持っている兵士たちはたくさんいたが、あの杖を持っていた人物は一人だけだった。

 おそらくは高価なものなのだろう。



「あの杖を持った人を狙えばいいんだ……」



 敵を再認識した瞬間に後ろから声をかけられる。



「ほう、私を狙うのか?」

「っ!?」



 慌てて振り返る。

 すると、そこには杖を持っている背の高い黒髪をした男性がいた――。

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