98:囁かれし者(ウィスパード)
ほとりさんですがシリアスモードとおふざけモードがあります。見分け方は簡単ですのでどうぞ見抜いてください(笑)
前回までのあらすじ
澪ちゃんのお母さんにエルフ疑惑
ってそんな落ち着いた状況でも無いような気がするんですがそれは……
「この子達言ってますよ。私たちの主が来たって」
主って……精霊さん達そんな事思ってたの?
「あの、ほとりさんは見える、んですか?」
思い切って聞いてみた。
「ええ、小さい頃から見えるし話せるわ」
ほとりさんは水面を眺めながら話してくれた。
「でもただ話せるだけ。魔法などの特別な力は使えない。本当に些細な力」
手を受け皿のように上にやるとそこに風の精霊が降り立った。何か嬉しそうな感覚がする。
「だから私の事を気が狂ったとか狐憑きだなんて言ってたものね、みんな」
「あっ……」
澪ちゃんの居る柳一族は上流社会の本流とも言うべき家。そんな家に「狐憑き」が産まれたら……恐らくは隔離され、存在を秘匿され、表の世界には関わらせなくする。そして子でも宿そうものならその子を……
恐ろしい考えになってしまったが決して間違いではないだろう。
「あ、もしかしたら澪ちゃんは……」
「ええ、処分されそうにはなりました。幸いにも既に私が水無月になっていた事とお父様が澪を可愛がってくれましたから今の私たちがあるんです」
「それは……今も続いている、と?」
「……ご存知ですのね。澪の存在を知る後継者候補は澪の事が邪魔な様ですから」
思ったより重い話を聞いてしまった。
「あの子にはあまり他人と関わらないように言ってきました。あの子の中にも私と同じ血が流れていますから、何かの弾みで見える様になるかもしれませんし」
でも澪ちゃんは頑張った。頑張ったんだ。
「あの子は近寄り難い雰囲気を作り上げて上手く立ち位置を得ました。このまま大人になるまで孤高を貫くものと思っていたんです」
私に会うまでの澪ちゃんはそうだった。
「ほとりさんが澪ちゃんと一緒に居ないのはもしかして……」
「私がいる事で同じ様な能力が発現する可能性が高いと精霊さん達に言われたので」
ああ、それでこの人は家に居ないのか。
「まあ、旅行というか食べ歩きが趣味ではあるんですけど」
あー、それは朝食の食べっぷりで分かりました。
「ところが、今ここに来てみたらあなたが居た。精霊を友と出来る私と同じ、いえ、私以上に凄いあなたが。そして同い年の友だちも」
楓ちゃんを見ているようだ。
楓ちゃんは澪ちゃんと釣果を勝負してるらしく楽しげな声が聞こえてきていた。
「だから……改めてありがとうございます。あの子のそばにいてくださって」
深深と頭を下げられた。本当に感謝されているのだと強く思った。
「あ、でも、私と一緒に居たらそういう能力目覚めるかも知れませんけど、それでもいいんですか?」
「あらー、その時は〜責任を取って〜いただけるのでしょ〜う?」
はあ?
「見たところ〜、あの子もあなたに〜友情憧れ以上の物を抱いてるみたい〜ですし、ちょうどいいと〜思いますよ〜?」
いやいやいやいやいやいやいやいや
それは私も感じるけども、怖いくらいに!
「能力の発現は?」
「ひとみさんぐらいの力なら精霊さん達はみんなひとみさんの方に行ってしまいますから殆ど心配要りませんよ。もし〜、万が一〜、発現した時は〜、病める時も〜、健やかなる時も〜、支えてあげてくださいねぇ〜」
楽しそうにほとりさんが笑った。




