96:逆転姉妹(スール)
次回、新キャラ登場です!
キャラを増やすと訳が分からなくなるからやめろとあれほど……
別荘のある島で一夜をすごした私たち。
殺人事件とか起こらず平和な朝を迎えました。
人狼の被害者などいない!
……人狼っているのかなあ? エルフの私が居るんだから人狼とか居ても不思議ではないけど。
打ち上げ花火が終わった後に私たちは別々の部屋に別れて眠った。うん、ベッドはとても柔らかくて気持ち良かった。羽毛布団恐るべし。
で、だ。
なんであなたがここに居るのかな、澪ちゃん?
「ふわぁ、お姉様おはようございます」
眠そうに目を擦りながら澪ちゃんが今しがた横たわっていた私の寝てたベッドから起き上がった。
「おはよう澪ちゃん。この状況を説明してくれるかな?」
ニッコリと私は笑う。
「今日の朝食は身体のことを考えて胃に優しいメニューにしてもらってますわ」
「それはありがとう……じゃなくて!」
「今日は沖の方で釣りなどいかがでしょう? クルーザーもありますからもっとゆっくりも過ごせますけど」
「そうね、さすがに二日連続で動き回るのは体力が……でもなくて!」
「でしたら……」
「なんで、今、あなたが、ここに、居るかを、聞いてるのだけど?」
「お、落ち着いてください。ちゃんと説明しますから」
尋問 〜水無月澪が居る理由〜
「昨夜は花火がたいへん綺麗で私、感動しました」
「お姉様にお逢い出来たことの喜びをかみしめながら部屋で眠りに就きました」
「夜半すぎにその、催してしまって……」
「それで間違えてお姉様の部屋に迷い込んでしまったのですわ!」
「異議あり!」
思わず私は叫んだ。
「ここはあなたの別荘でしょうが。間違えるはずがない。毎年来てるって前に話してくれたものね。それに部屋に行く方向は全くの別。それはどう説明するの?」
「ちっ……こほん。そうそう説明し忘れてたことがあったんです」
今舌打ちが聞こえた様な……エルフの耳は敏感(意味深)なんだぞ。
尋問 〜証言の追加〜
「確かにここの別荘は毎年来ております。私の部屋もあります。それでも私はこの部屋に引き寄せられるのです」
……それって私が居るからとかいう理由じゃないよね?
「ここは、母と一緒に来ていた頃に使っていた部屋でした」
え?
「私はこの別荘に来たばかりの頃、一人で寝るのが怖くてしょっちゅう母の所に来ていたんです」
……
「母は優しく私を受け入れてくれました。優しく抱きしめて頭をポンポンと叩いて寝かしつけてくれました。母の子守唄は今でも忘れられません」
それは……
「母がいなくなった時、私は泣きじゃくりました。向こうの家に母の痕跡を残すことは出来なかったから。でも、ここは、ここだけは、母とすごした思い出が残ってたんです。それで、つい、この部屋に……」
うー、そんな話聞いちゃうと叱りきれない……ん? 待てよ?
「ねえ、そんな大事な部屋なのになんで私の部屋にしたの?」
「お姉様が母と同じ匂いがしたからですわ」
匂い、か。まあそういうのを求めるのは動物の本能だからある意味仕方ないのかも。
「あの、お姉様、このまま抱きしめて貰えませんか?」
こ、これは、断るのがかなり難しい。回避不可だ!
ここでダメだって言うほど私は他人に無関心では無いし、何より澪ちゃんの事は決して嫌いじゃないからね。
「澪ー、あー、ここに居た!」
バタンとドアが開いて楓ちゃんが顔を出した。
「ここだと思ったんだよね。あ、ひとみさんおはようございます」
「うん、おはよう。どうしたの、急いで?」
「朝早くだけど澪にお客さんだって。お母さんって言ってたけど」
「はぁ? なっ、このタイミングでお母様が!?」
澪ちゃんはベッドから飛び降りるとそのまま玄関へと掛けて行った。
え? どういう事なの?




