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快適なエルフ生活の過ごし方  作者: ぺるがもん
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93:愛縁奇牛(あいえんきぎゅう)

決して葵さんのおっぱいがうしちちとかそういう魂胆では……否定しきれませんが(笑)

「ハルも知ってるんだ。実はね……」

「ホリックホック。それは伝説」


 ん? なんかハルが語り出したぞ。


「日本最大の同人誌即売会、コミックケージングに於いて選ばれた壁サークルに現れるという伝説の同人作家」


 大袈裟な話になりそうだ。とりあえず聞いててみよう。


「イラストは公式より美麗でキャラの特徴をしっかりと捉えているもの。あるいはプロのイラストレーターではないかと言われているが該当する絵は未だに見つかってない」


「SNSとかやってませんから……」


 ボソリと葵さんが言う。


「限定五十部という少数しか出さない為にオークションでも品切れで値段は天井知らず。しかも委託らしく当日になるまでどこのサークルで出るのか、そもそも出品してるのか不明。かく言う私も二冊しか持ってません」


 あ、そこはどうでもいい。というかハルも持ってるんだ。


「見てよほら、このイラスト。色の使い方が超キレイでトーンとかどんなの使ってんのか、製作ソフトどんなのか気になると思わない?」


 興奮した様子でハルが迫る。


「あ、あのー、それは基本的には手描きなんです。トーンとかも使ってなくて。仕上げのソフトだけフリーウエアのやつを使わせてもらって……」


「へ? なんで葵さんそんなに詳しいの?」


 ハルがキョトンとした声で尋ねた。


「あー、そのー、葵さんが本人だから」


 真っ赤になって俯いてる葵さんの代わりに私が言ってあげた。


「え?」

「本人」

「本人って葵さんがホリックホック先生って事?」

「そうみたいよ」


 沈黙が訪れ、ハルが平伏した。

 ってなんでだよ!


「あ、あの、ハルさん?」

「まさか、まさか、ホリックホック先生とはつゆ知らず、数々の御無礼、大変申し訳ありませんでした! 単なるおっぱいオバケとか思っててごめんなさい!」


 そんな事思っとったんかい。……まあ気持ちはわかるけど。


「あ、あの、そんな大層な身分でもないのでどうかそんな……」

「いいえ!」


 ハルが顔を上げてキラキラした目で言う。


「ホリックホック先生のイラストは宝。至宝です! 幻と呼ばれたイラストの数々、もう一度目に……」

「原画だったらウチにありますけど」

「見せてください!」


 再び土下座敢行。本当にどんだけやねん。

 でも、まあ、客観的に見てもあの絵はとても素晴らしかった。


「元々絵を描くのは好きだったんですけど、知り合いがコミケに出すからとゲストで描いたら本にしようって言われて。そしたらその友人の友人みたいな方々が独り占めはずるいみたいな事を言い出して持ち回りで寄稿する事になりまして……」


 流されてる流されてる。


「それで同人誌作ってみたらって言われて最初は千部刷ろうって話だったんですけど印刷代見て卒倒してしまって五十部で許してもらいました」


 逆に五十部だったからこそ話題になったのかもしれないけど、それを抜きにしても凄い。

 ハルの話だと既に一冊万単位の値段がついてるとか。一番高いので六桁って言ってた。


「今年はちょっと頑張ってマンガも描こうかと……」

「なんですとぉー!」


 ハル、いちいち叫ぶな。


「それもこれもひとみさんが色々尽力してくれたおかげです。本当にありがとうございました」


 そんな風に丁寧に頭下げられると照れちゃうけど、次に繋がる一歩進む原動力になれたのなら良かったなって思う。

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