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快適なエルフ生活の過ごし方  作者: ぺるがもん
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89:友達と海。

はくねつしたばとるがくりひろげられるよ!(棒読み)

 ともかく海である。

 見渡す限りの砂浜に澄んだ水。さんさんと照らす太陽が心地よく肌を焼いている。焼いて……あっ、日焼け止め塗ってない!

 いつもはハルと二人なのでその時のくせでつい口にしてしまった。

 「ハル、日焼け止め塗ってくれない?」

 獣が二頭動いた。

 「いいよー、喜んで」

 「お姉様、日焼け止めなら私が」

 その時の私は刻一刻と肌を焼いていく太陽光に気を取られて配慮を忘れていた。

 「どっちでもいいから早くしてよ」

 私はメイドさん達が用意してくれたパラソルに寝っ転がって待った。


 「どちらがお姉様に日焼け止めを塗るか勝負です!」

 「望むところだ。だけど澪ちゃんが私に勝てるかなー?」

 「では、勝負は海ですし、泳ぎ勝負でどうでしょう?」

 「……さりげなく自分の得意なものに持っていく姿勢は嫌いじゃないよ。さすがに県のレコードホルダーが相手だと私の分が悪いよねー」

 「知ってましたか」

 「当然。だから砂浜でダッシュ勝負。これなら公平でしょー?」

 「……VIP会員としてトレーニングジムに通ってる元陸上部のアスリートが何を仰るのですか?」

 あー、そういやハルって陸上部だったなあ。走るだけだから楽だと思ったとか言っててやたら速かった記憶がある。

 「知られてたかー。探ってんのはひとみんだけじゃないんだねー」

 「ふふふふふふ……ともかく埒があきません。砂浜でダッシュしてその後泳いで戻ってくる。それでどうですか?」

 「まあいいでしょう。大人の本気を教えてあげる」

 「子供だからと甘く見られては困ります。若さは強さですわ」

 砂浜に二人が並ぶ。

 コースは走ってヨットハーバー(そんなのもあるんだ……)まで行って飛び込んで沖のブイを一周まわってヨットハーバーまで戻ってきてゴール。

 メイドさんが地面にスタートラインを描いてくれた。

 二人はスタートラインへ立つ。

 頭にあるのはただ、相手よりも速く。

 だといいんだけど多分妄想してるよね、あの顔は……

 どこから取り出したのかスタート用のピストルをメイドさんが鳴り響かせ、戦いは始まった。


 まずはスタートダッシュ。

 澪ちゃんはなかなか鍛えこまれているが、砂浜の走り方を知らないのか足を取られている。

 一方でハルは綺麗なフォームで力みのない走りをしていた。差は開くばかり。

 そのまま決められた場所から海に入って泳ぎ始める。

 遅れながらも澪ちゃんも海に入った。差は割と絶望的と思われた。

 アスリートというものを甘く見ていた。澪ちゃんが選んだ泳ぎ方はクロール。彼女は背泳ぎのレコードホルダーなのだがクロールの方が速いと判断した様だ。

 そして事実速かった。一搔き事に澪ちゃんの身体がグンっと勢いづいて行くのを感じた。ゴールの砂浜にたどり着く辺りでは二人はほぼ一直線だった。

 最後のデッドヒートが始まる。

 僅かにリードしてるのはハル。だけどセイフティリードではない。澪ちゃんは凄い勢いで追いついてくるのだ。

 ハルの回転数が上がった。どうやらスパート用に体力を温存していたらしい。澪ちゃんもそれに気づいたようだ。少しだけ速さが増した気がした。

 ゴールのヨットハーバーまであと少し。タッチはほぼ同時だった。

 「「どっち?」」

 「えーと、ちょっとだけ澪ちゃんの方が速かったように見えたよ」

 正直に話をした。うん、やっぱり若さって強いよね。

 「で、では私がお姉様に日焼け止めを……」

 「あ、もう葵さんに塗ってもらったよ」

 「「え?」」

 そりゃあ早く日焼け止め塗ってもらいたかったのに勝手にレース始めてるんだもの。葵さんが「良かったら私が塗りましょうか?」って言ってくれたからそのまま甘えただけ。

 塗られてる最中に背中にズシリときたものがあったのは割とダメージだったけど。

 「それは無いのですわ……」

 ガックリと肩を落とした澪ちゃんだった。

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