85:狩人の季節
戦闘話が続いてますが、解決したら夏休みに海でキャッキャウフフが待ってるぞ(書くとは言ってない)
大体時代劇とかだとこういう時に悪人はペラペラと喋ってくれるもんなんだけどなあ。
ほら、「越後屋、お主も悪よのう」「いえいえ、お代官様には敵いません」とかさ。
「悪い事をすると身体が疼くの。ねえ、この後時間ある?」
「平日の朝っぱらから何言ってやがる。まあでもそういうのも嫌いじゃねえよ」
そんな会話が聞こえて男は女の腰を抱いて自分の方に寄せた。
いや、いや、私も大人の女だからそういう耐性はあるけどさすがにダメだよ! 検閲に引っかかるよ! ハルに見せられたDVDはすごかったよ……
じゃなくて!
「ちょっと待ったぁ!」
ガラガラと我慢できずにベランダの扉を開けた。二人の視線がこっちに突き刺さる。
「な、なんだ? どこから入って……いや、それ以前にお前は一体なんなんだ?」
半裸の男に頭の中が熱くなった。
「エアハンマー!」
空気で作ったハンマーを上から叩きつける。ビジュアル的にはきっと「100トン」とか書いてあるに違いない。
「ぐべぇ」
ハンマーに潰されて男はカエルのような悲鳴を上げた。
「な、何すんのよ!」
女が戸惑いながらも懐からナイフを出した。
あー、女性は刃物使うって本当だったのか。あとはあれだよね、手にカミソリとか。誰だ、ヨーヨーとか折り鶴とか言ってる人は?
女はそのままナイフで斬りかかってきた。
近接戦闘におけるナイフは銃よりも早い。拳銃は、抜いて、構えて、引き金を引くという三動作であるのに対してナイフは切るという一動作で終わる。近接戦闘のナイフは最強の武器と言って差し支えない!
いや、戦闘のプロが対人間で使えばの話だけどね。
振るうのは多少喧嘩慣れしてるとはいえ正式な軍隊で勉強した訳でもないだろうし、何より相手が私だ。
刃物を振り回すだけでコンパクトに振るうということが無い。
こういう時の対処法は外から切りつけて来たナイフをやり過ごし、身体が流れたところで肘をきめる。もしくは手首や手のひらなどを狙って攻撃を置いてナイフを落とさせるなどだ。
ちなみに私が選んだのは
「バインド」
うん、観葉植物があるのは高い部屋の特徴だね。おかげであっさり捕まえられた。
両手両足を蔦で絡めとって口にも太い蔦を入れて喋れなくする。
あれ? そう言えばこれって今まで女性にやってなかったから気づかなかったけど、かなりえっちぃのでは?
……うん、女性にやるのはやめとこう。今日のところは捕まえちゃったから仕方ないけど。
そのまま二人を寝室へと運んだ。ありがとうドライアド。
寝室は布団のシーツが乱れており、起きてそんなに時間が経ってなかったんだなと言うところが見てとれた。
いやまあそれはどうでもいいんだけど。
「とりあえず私の質問にはちゃんと答えること。黙秘権はありません」
私は男に告げた。
「話すと思ってんのか?」
ふてぶてしく男は言う。
「これでも修羅場はくぐってきてるんだ。ちょっとやそっとじゃ仲間を売らねえよ」
「あー、そういうのいいから」
私は男の身体に電流を流し込んだ。
「言っとくけど、悪人を手に掛けるのに私は躊躇しないよ?」
アメリカでは銃を持つ時にこう教えられるそうだ。
人に銃口を向けてはいけない。
もし、銃口を向けてくる人がいるならそれは人の形をした獣だから撃ちなさい、と。
私も自分や身の回りの親しい友人に害が及ぶのなら躊躇うつもりはない。
まあ穏便に済むならそれにこしたことはないんだけど。




