82:バカとバカ
とりあえず黒木さんが苦労してるというのがわかって頂ければ。貧乏くじを引くタイプなんですよ。
とりあえず、当面の敵は黒曜蝶って暴走族らしい。
前回の敵がヤクザで今回が暴走族ってデフレ起こしてるんじゃない? このまま行くと最終回とか園児相手になったりしないよね? いや、別にバトル漫画じゃないけど。そういやハンターのやつってまだやってんのかね?
まあともかくその族を調べる為に地元の族に接近してみたいところだけど……特に伝とかないからなあ。さすがに顔の広い楓ちゃんでも無理だろう。
「あ、私、そういう悪党は見つけ次第叩き潰す主義なんで」
うん、さっきの見事な攻撃見たら分かったよ。
まあコネがない以上は手当り次第という事になるんだけど……
「なんであんたはちょっと目を離した隙に問題起こしてんだよ!」
あ、黒木さん。
「という訳なので誰か暴走族に知り合い居ませんか?」
「という訳じゃわからんが暴走族の知り合いなら部下にはおる」
「へー、じゃあその人に聞こうか黒曜蝶の事」
ガタッ
「黒曜蝶だぁ? なんであんな所に手ェ出してんだよ!」
知ってるのか雷電!?
「ウチが広島制圧しきれねえ理由の一つだからな。まあそれ言うと瀬戸内は手強いのばっかりなんだが」
「苦労してるのねえ……」
「分かったら大人しくしといてくれんかね。仕事というか厄介事が増えるのは遠慮したいんだが」
黒木さんはタバコを咥えながら肩を落とした。
「うーん、でもねえ、今回の件はどっぷり首突っ込んじゃったしねえ」
と、地べたに視線を向ける。そこには魚河岸のマグロの様に転がった男達が居た。
「学生だな。こいつらがどうした?」
「女の子使って売春させてお金巻き上げてた」
黒木さんは頭を抱えた。
「あー、そりゃ地元組織が動いてないのが不思議なくらいだな。取り込まれてるかもしれん。下手に動くと全面戦争だな」
「いや、さすがにそんな事させたくないから私が出張ってるんだって」
正直な話、引く気は全くない。女の子を食い物にする奴らなぞ滅びてしまえば良いのだ。
「で、それにいつもの面々が乗っかってる訳か……で、兄さん、アンタは誰だ?」
「あ、僕ですか? 中村豊と申します。妹の楓がお世話になっている様で……」
「お兄、この人ヤクザだから大して世話になってないよ」
「やっ!?」
そこ、兄妹でコントしない。
「ああ、黒木さんは私たちに敵対する気もこの街で悪さをする気もないから大丈夫ですよ、豊さん」
「そ、そうなのかい? いや、驚いてしまって申し訳ない」
「……なんか繋がれてる犬の気持ちが分かるような気がするな」
私としてはそのまま繋がれててくれるといいんだけど。
「それで、部下の人は呼べますか?」
「ああ、その辺で集金しとるやろうからすぐ来れるやろ」
「集金?」
「ノミ屋だよ。競馬のな。オートレースや競艇もやるけど競馬が一番食いつきがいい」
そう言って呼び出したのは少しでっぷりしたチンピラ。あれ、どっかで見たような……
「アニキ、呼びましたか……ひぃっ!」
私ではなくて澪ちゃんを見てビビってる。
「あら、私の初ドロップキックの相手ですわね」
あー、思い出した。遊園地で澪ちゃんにドロップキックくらったモブBさんだ。
仕方ないから仮面を取り出して……
「愛と正義の美少女、はんにゃ!」
「うひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
半狂乱になって頭を擦り付けて震えてる。やり過ぎたかな?
「あのな、話を聞く為に読んだんじゃなかったのか?」
そうでした。
それからモブBの人が落ち着いて話が出来るまで一時間近く掛かりましたとさ。てへ、失敗失敗。




