80:悪意(ショー)
尋問の時間は次回です。楓ちゃんロケットスタート!
「あいつらだ」
豊さんが窓の外に映った人影を指さした。なんというか見た目は普通の大学生だねえ。
「身元は詳しくわからんがこの辺りの大学に出入りしてるらしい。説得して聞いてくれればいいんだが……」
「いえ、大丈夫です。説得する気はないですよ。お話し合いはしますけど」
「? 何を言ってるのか全くわからないんだけど……まあ妹が楓が任せた方がいいって言うから信用するけど」
おっ、楓ちゃん、お兄さんの信頼厚いんだね私は一人っ子だったから兄弟欲しかったなあ。まあハルが手のかかる妹みたいなものか?いや、弟かな?
ともかくあの三人と接触しなくてはいけない。とりあえずナンパするのはあまり好きではないし……うーん。とりあえず尾行するか。認識阻害掛けて移動する。
「本当にこれで見えてないのかい?」
「はい、周りの景色を歪めてますので。まああまり大きい音が出ると気づかれる可能性はあります」
飽くまで視覚のカモフラージュだからね。まあ普通気づかれないけど。
「路地裏に入っていきますわね」
こっそりついて行くとそこには二人の女子中学生っぽい子が居た。
「あ、あの、写真、消してください!」
「金は持ってきたんだろうな?」
おずおずと中学生がお金を出す。
「……ちっ、足りねえじゃねえか」
「だって、もう、これ以上お金、持ち出せなくて……」
「ふざけんなよ。ウリでも何でもすりゃあ良いじゃねえか。綺麗な身体でもねえんだしよ。なんならまたここで犯してやろうか?」
「やだ、やだ、やめてください……」
急に凄んだ大学生たちに中学生たちは崩れ落ちた。
「なんなら優しくしてくれて金払いもいいオッサンとか紹介してやるからよ、すぐ稼げるぜ?」
もう中学生は半泣きだ。隣で澪ちゃんの顔が険しくなっていくのがわかる。この分だと楓ちゃんも……あれ、楓ちゃんは?
「死ねー、腐れ外道!」
いつの間にか飛び出していった楓ちゃんのドロップキックが大学生の顔面に突き刺さった。おお、助走ありとはいえなかなかの高さ。ちゃんと受身も取れてるね。慣れてる?
「あれ、痛いんですよ……」
しみじみと豊さんが言った。まあそんなこと喋ってる場合じゃない。飛び出していった楓ちゃんをフォローしないと。
「いってー、なんだ、テメーは?」
「うるさいクズども、その子たちが可哀想と思わないのか!」
大学生たちはいやらしく笑って言った。
「正義の味方気取りかい? そういう勇ましいのはいいけど、痛い目見るぜ?」
「おー、よく見りゃなかなか上玉じゃね? こいつもやっちまおうぜ」
楓ちゃんは私の大事なお友達。その子に手を出すと言うなら私も抑えるつもりは無い!
「グラビトン」
重力波を向こう側だけにかける。急に身体が重くなり地面に這い蹲るような感じになった。
「な、なんだ、何しやがった、誰だよお前!」
「通りすがりの正義の味方、とでも名乗っとこうか?」
「はあ?」
「ちょうどあなた達には聞きたいことがあってね? 一緒に来てもらおう。拒否権はないよ」
「なんだと、てめえ、ふざけんなよ!」
状況を、を弁えず憤ってるみたいだったので圧を上げてやった。全身の骨が軋むはずだ。鍛えてないと折れちゃうかも。
「言ったよね? 拒否権はないって。あ、そこの中学生たち、あとは私らがやっとくしとりあえずこいつらの金抜き取って渡すからお家に帰りなさい」




