69:告薄 -guilty-
前回に引き続いて天使のあどけなさをお楽しみくださいm(_ _)m
いや、ちゃんと話は進んでますから!
殺風景な部屋。余計なものは何も無く必要最低限のものしか置いてない。でも少女は逃げられない。肉体的ではなく精神的な鎖。その鎖に囚われて逃げる事も能わず、ただ少女は顔を歪めて口を開けて叫び続けるしかなかった。
「おいちー!」
とまあ今日何度目かの簡単の声を上げたのははなちゃんです。私が作ったシフォンケーキを顔をくしゃくしゃにしながら頬張ってます。ここは滅多に使われない澪ちゃんちの客間。ソファとテーブルしか置いてないのはどうかと思うけど。
「あの、なんなんでしょうか、これは」
委員長、優子ちゃんは戸惑っている感じ。まあそりゃそうだ。
「大丈夫。毒とかは入ってないから」
「そんなことは心配してません」
「おねーた、おねーた、あのね、あのね、甘くておいちいの!」
うんうん、そうだろうそうだろう。クリームもしっかり作ったし、シフォンケーキには紅茶の葉っぱ混ぜて隠し味に使ってるからね。香りと甘さと柔らかさのトリプルコンボだ。
「よかったね、はな」
うん、こうしてると「お姉ちゃん」だし、変な事する子には見えないんだよね。
「それで、詳しく話してくれないかな? このガングロさんがあなたってのはバレバレなのだから」
だんまりを決め込んで何も喋らない。うーん、口止めされてる?なら引っ張り出すまでだ。
「脅されてるの?」
「……あなたには関係ありません」
なるほど。否定も肯定も無しか。
「あなたもはなちゃんもここにいる限りは私たちが守ってあげるわ」
「そんな訳ないじゃないですか! はなは悪くないのに……」
「まるで『あなたは悪い事した』みたいな言い方ね」
「……え?」
少し表情が固くなった。図星かな?
「ここでも守れないと言うことは……何か弱味を握られている。そうじゃない?」
目に見えて汗の量が増えた。かなり焦ってるのがわかる。
「そうね、女子高生を脅すネタなんていくらでもありそうだけど、羞恥につけ込むか罪の意識につけ込むかよね」
俯いて黙ってしまった。
「羞恥なら痴漢、裸の写真、先生との不倫関係……」
反応はない。
「罪の意識なら、万引き……」
「違う、私やってません!」
バァンとテーブルを叩く音がした。
「ねーた? ふぇ……」
「ごめん、はな。ちょっとびっくりさせちゃったね」
しまったあ! ちっちゃい子を泣かせるつもりはなかったのに……
「ごめんなさい。ちょっと卑怯だったわね」
とりあえずはなちゃんを楓ちゃんに連れて行ってもらう。そろそろ葵さんも来る頃だから大丈夫だろう。
「でも、やってないなら大丈夫なんじゃないの?」
「……分かりました。でも、この事は内密にお願いします。他の人に知られたら、私……」
「わかった。約束するわ」
そう言って優子ちゃんが話してくれたのはある本屋での事。出口から出ようとするとブザーが鳴った。最初、優子ちゃんは自分に何が起こったのか分からずパニックに。そこに店員さんが来て裏に連れていかれたとか。そこでカバンの中を調べられたら見覚えのない本が中に入っていたという。実際にモノが出てきてしまうと抗弁するのは難しい。そこでオーナーから見逃す代わりに、と言われたのが「ガングロに扮して女の子を誘き出す」ことだった。その子は親に反発しがちな感じで、いつも不満ばかり言ってるから話を合わせれば仲良くなれるだろうと言うことだった。それが誘拐の片棒を担ぐとは知らずに……
「それで、気付いたら誘拐されてる事になってまして、あの子が寝てる間に私はもう帰っていいと言われました。お金まで渡されたんです……」
口止め料か。
「最初は受け取りたくなかったんですが、お母さんの入院費で一生懸命な父を見てると助けになるかもと思ってしまってそのまま……」
うーん、これは割としっかりリサーチされてて断れずに口封じ出来そうな優子ちゃんを狙ったんだろうな。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
そしてそのまま優子ちゃんは泣き崩れてしまった。よし、行きがけの駄賃だし、このままお母さんの事も解決してあげよう!




