61:カレーにタピオカで、いそがしい
ちょっと存在を匂わせるくらいの感じに留めてみました。あと、登場人物も一旦整理したいなあって思うんですけどね。まああの人は今、みたいな回って事で。
仕方ないのでインド料理には一人で行ってきたよ。まあお昼休みのオフィス街(仮称)だからそれなりに人は入ってる。ナンは美味しいんだけどついつい食べすぎちゃうのがなあ。おかわりとかしないけど一枚が大きいんだってば。私が懸命に食べてるとドアが開いて見慣れた人が顔を見せた。いや、人達。
「あ、中村さん、それに文月さんも」
豊さんと雄一郎さんだ。なるほど、同じ会社だもんね。
「ああ、どうもご無沙汰してます」
「先日はお世話になりました」
という事でしばし歓談。
「へー、じゃあ、すぐ次の現場なんですか」
「そうだね。山奥から山奥だよ。おかげで無駄にお金使わなくて済む」
「文月さんが真面目にやってくれるので僕としてもホッとしてます」
あー、まあ一応紹介者豊さんだもんね。しかしまあよくもまあこんな得体の知れない……い、いや、客観的に見て、ね、オッサンを雇おうと思ったもんだ。豊さんが妹に甘いって話は聞いてたけど。お人好しっていうのもあるんだろうな。
しばらくおしゃべりしてたらまた見覚えある人が。あれは三井さんだ。一緒にいる人は誰だか分からないけどまあお仕事関係なんだろうね。向こうも気付かないみたいだし特に話しかけなくていいかな。でも、一緒にいる人ってなんかこう、カタギって感じしないんだよねえ。
「ねえ、あれ、ヤクザですかね?」
こしょこしょと声を潜めて豊さんに聞いてみた。
「いや、人を見かけで判断するのはどうかと思うけど……まあ片方は怪しくはあるね」
あ、そっか、二人とも三井さん知らないものね。
「一人は丸角不動産の人なんだよね。ウチの店に来る」
「えっ、丸角不動産?」
知ってるのか雷電!
じゃなくて、豊さん。
「ああ、まあ、ここんところ急成長してるところだからね。次々と地上げを成功させていってるやり手の部長さんが入ったとか」
なるほど。
「で、あまり早いからそういうヤクザな人たち使って地上げしてるんじゃないかって話があるくらいだよ」
割と後暗そうな話だよね。まあ飽くまでも噂なんだろうけど。同業者の僻みとかも入ってるかもだし。
お昼ご飯食べて戻って来たが、それから私が帰るまで太田君は帰ってきませんでした。いや、まあ、残業とかしたなら会えるんだろうけど、そんなに会うこともないし、何より、残業したくない!などと考えながら外に出ると
「お疲れ様です、お姉様」
この子がいる訳だ、今日もまた。いや、特に嫌でもないんだけどね。なんだかんだで澪ちゃんは美少女だし。本当に何かが残念なだけなんだよ。
「今日はタピオカを飲みに行きませんか?」
タピオカ?
「実は、楓がこっそりとアルバイトを始めたようでして……」
ああ、なるほど。心配なのかな。まあ澪ちゃんって友だち少なそうだもんね、高嶺の花的な意味で。
「へー、どこで?」
「イ〇ンのフードコートです」
となると車かな。タクシーで行くのもなんだし、私の車は実家に置いてるしなあ……初めは持ってきてたんだけど、よく考えると休日に行くところってハルの家だから車使わないって事に気づいたんだよね。ハルの所での買い出しはハルがタクシー代出すし。
「では、行きましょう、お姉様」
あ、リムジンですか。そうですか。お金持ちですもんね。
「いらっしゃいませ!」
元気な声で挨拶してる楓ちゃんがいた。うん、制服にあってる。
「タピオカミルクティー二つ。しっかり働いてますの?」
「ありがとう、大丈夫だよ。うん、なんか最近みんなタピオカ買っていくよね」
「都会では大流行りって話ですからこっちでも真似したくなるんでしょう」
「そういえばさ、タピオカチャレンジとか聞いた事あるんだけどどんなのだろうね?」
「早飲みとかの類ではないかしら。微妙に飲みにくいですもの」
…………二人とも、世の中には知らない方がいい事もあるんだよ。うん。こぼれたタピオカは元には戻らないんだ……




