57:この女触れるべからず
カジノで大暴れ編です。ちょっと色々試してます。書き方試行錯誤しながらやってます。ひとみの性格というか根っこは変えないけどね。ご意見ご感想などいただけると嬉しいです。
「たーのもー」
バタン! と扉を開く。廃ビルの一階に設置してある扉。見た目は扉ではなく壊れたグランドファザークロックだ。大きなのっぽの古時計だよ。
「な、なんだなんだ?」
中には今まで賭け事に熱狂していた人々が突然の侵入者に慌てふためく。ガサ入れか? そんな情報は入ってない。でも強襲なら我先に逃げ出さねばならない。概してこういう所に来る人間ってのは自分の保身第一の人間ばかりである。
「なんで侵入者が? 見張りは何をしてやがった!」
見張りの皆さんは催眠ガスでおやすみです。今日のお手伝いは眠りの精霊サミアど……もといサンドマン。お目目ぱちくりしててなかなか可愛かったよ。
「あー、全員そのままー。特に危害を加える気はありません」
高らかに宣言するが、顔は前にも使った般若の面。というか意外と使い勝手いいんだよね、これ。表情全部隠れるし。ひとーつ、とか言っちゃおうかな?
「このっ、このっ」
銃声が響き……渡らないね、うん。サイレンサー付けてんのかな。もっとこう派手な音だと思ってたよ。まあ当たらないよね、滅多には。いや、当たっても蒸発するけど。銃弾くらいなら火の精霊が溶かしてくれる。
「私の目的は、このカジノの不正の証拠、イカサマの解明です。知り合いがここで巻き上げられたのでその証拠を確認に」
「な、なんだと!?」
黒服の男たちは目を白黒させているようだが無視して進める。
「お客様の中におかしいんじゃないかとかイカサマじゃないかとか思った方はいらっしゃいますか?」
我ながらひどい言いがかりだとは思うが、言質さえ取れればあとは遠慮なくやる。で、こういう場所だから当然ながら負け込んでる人とかいる訳で。
「わ、私は、何度も逆の目がルーレットで出た!」
あー、赤黒ならコントロールされやすそう……でもないような気もするけどディーラーの腕次第っていうからな。
「ポーカーで相手がこちらの手を分かってるかのようにコールとレイズしてたわ!」
それはイカサマっぽいね。通しかな?
「スロットで揃えようとしたらいつも滑るのよ、サギだわ」
あー、まあスロットはそういうものだと思うんだけどまあ裏ROMって可能性もあるもんね。ともあれ証拠は色々出たな。
「えー、みなさん、ありがとうございます。つまり、このカジノは有罪って事になりました。ですので……」
仮面の下でにっこり笑う。もちろん誰にも見えてはいない。
「潰します」
指を鳴らして精霊を呼び出す。待機してもらってたのは……グレムリン。
「出番かい? いっちょひと暴れしちまうか!」
そう言うと周りの機械が変な音を出し始めた。グレムリン・エフェクト。精密機械に誤作動を起こさせるその力は現代文明の天敵。私は魔法があるから良いけどね。
「こ、これは一体……」
呆然としていた黒服たちだったが、彼らもプロ。直ぐに私を取り押さえに来た。拳銃は効かないと分かったので素手での捕獲を試みる。
「グラビトン」
次の精霊を呼ぶ。
「応!」
力強く答えてくれたグラビトンはその場の重力を重くする。体感二倍くらい。つまり、自分の体重と同じ重さの重りを背負ってるような感じである。もちろんこの程度だとまだ動ける。
「とりあえず五倍くらいかな?」
「御意」
さらに力が強まり、全員が床に這いつくばる。ガタイ良さそうな人が多いよね。80キログラムとして400キロの重りを背負ってる計算だ。人間の骨が耐えれる限界は500キロぐらいだと何かで読んだことあるのでまだ大丈夫だろう。あまり続けると内臓潰れちゃうかもだけど。
「こんなもんかな」
周りに動くものがいなくなった様なので奥の部屋に行って書類を手に取る。証文がいくつもあったからまとめて懐に入れた。後で本丸行く時に使うからね。とりあえずここはこれで完了。って思ってたら電話。ユミさんを確保したとの事。ユミさんって誰だ……あ、園長先生騙した人か!




