51:徘徊する銀玉(ついでに目標も)
パチンコ回です。作者パチンコやらないのでおかしいとこあったら遠慮なく言ってください。
結論だけ言おう。何の成果も得られませんでした! いや、人生経験少ないと悲しいね。だって、ギャンブルで失敗してる人間とか初めて会ったんだもん。そもそもギャンブルなんぞに手を出してる知り合いはハルだけなんだけど。
「とりあえず、リサーチすることから始めましょう」
そうだね。どれくらいの中毒性があるのかを示さないといけない……んだけど適任者はハルしかいなさそう。未成年にそんなことさせる訳には行かないし、葵さんだとミイラ取りがミイラになるかもだからね。
「よし、じゃあパチンコ行こう!」
という訳で翌日ハルと私の二人でパチンコ屋へ。葵さんはお仕事に行ってもらった。見るのも嫌だろうし。しかし、初めての有給申請の理由が「ギャンブルを一通りするため」になるとは思わなかった。希望理由は親類の葬儀にしたけど。ウソは良くない? いや、方便って大事なんです。有給なんてなんの理由でも大丈夫だけど、上に睨まれるかどうかってのはまた別の話。わからない人が多いんだよね、有給の意味。副支店長だけが確認するならどんな理由でも大丈夫だけど。普通にひなたぼっこするからとかでも大丈夫そうだし。
「着いたよー」
その場所は喧騒で包まれていた。あのね、皆さん忘れてるかも知れませんが、私の耳は実際には大きいままなんですよ。そして、よく音を拾うんです。つまり……
ジャンジャンバリバリうるさい! いかん、頭痛くなってきた。
「じゃあどこに行けばいいかな?」
「じゃあ先ずは適当な……」
「あ、歌姫ギアの台じゃん! これやりたい!」
という訳でハルの好きなアニメの台があったのでそれをやる事に。
二時間後。
「それー、やれー、いけー、絶招技だ!」
何度目かのリーチが外れて虚しくリールが止まる。費やした金はいくらなのか分からない。カードから直接引き落とされてるとか……って大丈夫なん、それ?
「いや、ギャンブルは金の多寡を気にしたら負けだから。賭けれる奴が強いんだよ」
とまあこう言って平然と玉を注ぎ込む。するとランプが光って大きい音が鳴った。えっ? この台なんか動いてるんだけど?
「おおっ、エグゼクティブモードだ! カッコイイ!」
ハルの琴線には触れたらしい。リールが回って演出が次々と画面に映る。チカチカして目が回るよ……ハルは大興奮してるけど。
「やったー!」
見るとリールが777で止まっていた。大当たりのようだ。なんか再抽選がどうとか言っててそれからしばらくうるさくてピカピカ光るのが続いた。玉はどんどん溢れてて店員さんがいくつか箱を持ってきてくれた。
しばらくして精算すると四万円のプラス。
「どうだった?」
「いやー、やっぱり歌姫ギアは熱いよね!」
そうじゃねえ!
「でもまあ、正直あれだけ遊んでお金が出てくるなら楽しいんじゃないかな? 私はお金稼ぐってよりゲーム的な感覚だけど」
それはギャンブルとは言わないしなあ。と会話してると隣のおっちゃんが話し掛けてきた。
「ねーちゃんたち、まだやめれるうちにやめた方がええぞ。じゃないと使った金を取り戻すことばっかり考えてな、いくら負けてても「あの時何万勝ったからまた勝てる」みたいな考えに取りつかれたりするからな」
まあ見た目私たちの父親世代だから娘にでも見えたんだろうか。
「おじさんもそうなんですか?」
「ああ、お前さん達くらいの娘が居るんじゃが申し訳なくて帰れんのよ。せめてある程度勝てるまで、借金返すまではとか思っちょるんじゃがなかなか上手くいかんでのう」
「おじさん……」
すごく悲しそうにおじさんはポツリポツリと語りだした。
「十年前に妻に先立たれて娘を育てるのに苦労したんじゃ。それから工場をクビになって生活費を借りて生活してたんじゃが上手くいかんで……」
……………………あれ? なんかどっかで聞いた話なんだけど。
「あの、おじさん、もしかして、文月雄一郎さん?」
「ん? なんでアンタらワシの名前を知っとんじゃ?」
「…………確保ー!」
という事で思わぬ所で本人と遭遇してしまった。さあ、連行だ!




