46:ともだち
ちょっと心の闇が見えちゃった葵さんですが、ちゃんと解決しますのでご安心ください。
今日はデートなのです。ええ、ええ、相手は男性じゃありませんとも。先日の婚活パーティーで知り合った葵さんとお出掛け、というかお買い物に付き合って欲しいと言われたのでホイホイお誘いに乗りました。待ち合わせ場所は駅前。うん、出入口一個しかないから迷いようが無いんだよね。さすが田舎。待ち合わせ場所に着いてみると次の電車まで20分くらいあるのでガラガラだ。ぽつんと座ってる女性がいる。
「あ、ひとみさん」
葵さんは私を見つけると手を振った。バルーンスリーブの白いブラウスにデニムのロングスカート、そしてスニーカー。バランスもいいし、可愛いのに動きやすい。なるほど、いいセンスだ。私? タンクトップにジャケットとズボンだよ。普通普通。
「お待たせ。待った?」
「いえ、今来たところですから」
デートかよ!
「じゃあ行きましょうか」
「はい」
駅そばにある総合買い物施設でしばしウインドウショッピング。何故かある健康関係のお店がいつも謎なんだよねえ。こういう所のセレクトショップのお陰で私たち田舎の民は何とかやっていける。いや、こだわらなきゃ近所のいまむらとか我が地元企業ウニクロでいいと思うんだけど。服とかじゃなければ通販でもいいんだけどね。選択肢増やしたかったら隣の県まで行くけど。片道一時間くらいだしね。
「すみません、今日は付き合って貰っちゃって」
「いや、私もちょうど予定空いてたから構わないよ」
うん、ハルもたまには自分で掃除してもらわないとね。
「自分一人だとなかなか出かける機会ないし、出かけるまでのハードルが高いので助かります」
ん? という事は葵さんズボラなんかな? でも待ち合わせ場所には私より早く来てたし(あ、ちなみに私はちゃんと十分前だったよ!)律儀な人だと思うんだよなあ。
「こういうアクセもいいですね。迷っちゃうなー」
と入っていくのはファンシーショップ。うん、可愛くていいよね。なんというか背が低い(150あるかないか)なのでこういう小物は似合うと思う。……一部不釣り合いな部分もあるんだけど。ハルといい、葵さんといい、なんで世の中はこんなに不公平なんだよ! え? 澪ちゃんと楓ちゃん? こ、高校生は大人と比べるものじゃないし。万一負けてたらやだし、ううっ、言ってて悲しくなってきた。大丈夫。ステータスだ。希少価値だ。
「? どうかしました?」
たぷんと音を立てながら(多分幻聴)葵さんが覗き込んでくる。
「あ、いえ、なんでもないです。それよりもそのイチゴのアクセいいですね」
「そうですか? えへへ……」
「今日の記念にプレゼントしましょうか?」
「いや、さすがにそれは……私も働いてますし」
そう言えばどこで働いてるか聞いてなかったなあ。
「仕事って何してるんですか?」
「保母さんやってます。子ども好きなんですよ」
あー、身長はともかく見るだに包容力はありそうだよね。
「あ、私も子ども好きですよ」
ちゃんと礼儀正しくて、歳上を敬って、騒がずに大人しく出来る、イタズラしない子どもならね! うーん、まあ精霊の相手するのも子どもの相手をするようなものかもだけど。
「子どもは……直接ぶつかって来ますから」
おや? なんかこれは闇抱えてそうだねえ。読心術とか出来たらいいんだけど無理だしね。自分に自信もてないのもそこから来てるっぽいし、何とかしてあげたくはなるな。
「あの、もしかしてなんか悩んでます? 私で良ければ聞きますけど……」
「あ、ご、ごめんなさい。そういうつもりじゃなかったんですけど。その、すみません、なんか迷惑かけてしまって」
「いえ、こちらこそ余計な気を回しただけなので。じゃあフードコートで何か食べましょうか」
「そうですね。あ、迷惑掛けたお詫びに私が出しますよ」
「いえ、私も仕事してますし。ドーナツでも食べましょう」
と二人でドーナツにパクついてそのままその日は解散となりました。




