41:じゅうまんぼるとだ!
黒幕へのお仕置きは一話延びてしまいました。今回も雑魚蹴散らしみたいな感じです。と言っても前回はほとんどなかったからいいよね?
経緯は省略するとして色々判明した。誘拐に見せかけて攫う手筈とか、失敗しても祖父の子飼いの奴らを排除するために屋敷を襲撃するとか、妾の子なんて妹として見てないから部下たちのおもちゃとして報酬になる予定だったとか……まあ、色々酷いけどこれで容赦する必要は無くなったよね。
「それにしても私ってそこまで嫌われてたんですね……」
ちょっとブラックな澪ちゃん。
「えー? でも薄々は気付いてたんでしょ?」
「あ、はい。まあ少なくとも好かれてるとは思ってませんでした。本家の人もみんな私を疎ましく思ってると思います。だからこの街に居るんですよね」
「澪ちゃん……」
「あ、後悔はしてないですよ。むしろ嬉しいです。お姉様とお会い出来たのもそのおかげですし」
「なんなら私たちと手を組んで日本征服する?」
ハルがとんでもない事を言い出した。
「それは良いですね。とりあえずこの辺りの地方都市占拠しましょうか。お姉様が乗り気になってくれれば直ぐにでも」
と二人でなんか勝手に話進めてるけど、そんな日は来ないからね! 大事なのは平穏、平穏だよ! ……まあ今回のは降りかかる火の粉を払うって事で。
日が暮れて夜の帳が降りる頃、そいつらは動いていた。暗視ゴーグルにダークなボディスーツを身につけたいかにも工作員といった感じの現代の忍者。見事なまでのプロの技術で気配を完全に消しているようだ。少し離れた車の中では武闘派のお兄ちゃんが吉報を待ってふんぞり返っている。もう勝ったも同然とばかりにワインを嗜んでいる姿は本当に悪役っぽい。……うん、全部見えてるんだよね。熱源探知と水鏡で映像は全て共有できてる。当方に迎撃の用意ありだよ!
「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
ハルと澪ちゃんに声をかけて窓から出る。夜風が気持ちいい。敵の位置は全て分かるから片付けていこう。
先ずは茂みの辺り、数人潜んでるのでその部分を沼にした。
「な、なんだ、身体が沈んでいく」
「どうなってんだ、こりゃ?」
反応できた人たちは素早く飛び退いた。呼吸は出来るようにしてるけど捕まった人たちは動けないはず。コンクリートを筋力だけで砕けるなら出れるだろうけど。
「くっ」
武器を構えてるのがわかる。サイレンサー付きの拳銃だ。銃の種類はよく分からない。ハルに聞けば分かるんだろうけど。まあどっちにせよ物騒ではあるので壊させてもらおう。銀行強盗の時とは逆に火の精霊に頑張ってもらって暴発させる。あちこちで小さな爆発音と悲鳴が上がった。
「うわっ」
「暴発!?」
銃が暴発すれば指が吹っ飛んだりするとは思うが、その辺は勘弁してもらおう。私たちに敵対したのが悪い。
「銃は捨てろ!」
リーダー格と思しき男が指示を出す。手に持ったのは特殊警棒。確かに便利な武器だ。ちなみに私はまだ姿を見せてないので全周を警戒しているようだ。
「やあ、どうも、こんばんは」
私は悠々と歩みを進めて彼らの前に姿を現した。顔は般若の面でおおってある。はんにゃは女の怒りの顔だそうだからぴったりでしょ?
「な、なんだ、貴様は!」
「私は澪ちゃんの友だち。彼女に手を出す奴らは許さない」
人間は話の通じる相手だと恐怖が和らぐらしい。平静さを幾分か取り戻したリーダーは言った。
「知ったことか! こちらに渡してもらおう」
そう言って各々が武器をかざして襲いかかってくる。
「フラッシュ」
初手目潰し。暗視ゴーグルには効くだろう。
「ストーンバレット」
続いて石つぶて。まあ大きさ的につぶてって大きさでなくて握り拳大の石が飛んでくるんだけど。何人かはそのまま沈む。
「貴様!」
ボキャブラリーの少なさは三流悪役の性なのだろうか、再び向かってくる奴らに今度は風を打ちつける。
「エアハンマー」
吹っ飛んでいく人達。そして最後にその攻撃を交わし続けていたリーダー。かなりの手練なんだろう。
「なんの小細工をしたかは知らんが俺には通じん。さあ、捕らえたぞ」
手を掴まれた。仕方ない。
「十万ボルト」
「グギャ!」
まあ実際にはそんな電圧は出てないわけだけど電気を流すならこうだよね。あ、取り扱い講習とかは受けてないから違反になるかな? でも、この電気精霊由来だしなあ……まああらかた片付いたから次は彼のオシオキタイムだね!




