31:訪問!
話がきな臭い方向にいきそうですが、作者の趣味的に酷い目に合うのは悪人サイドだけなのでご安心ください(謎)
その家は少し薄暗い雰囲気を身にまとっていた。築何年、いや、何十年というレベルだ。塀に囲まれているためか詳しくは見えないが、隙間から見える庭の草はある程度は刈ってあるものの大半は伸びるに任せていた。建屋の造りは普通の日本家屋。サザエさんちみたいな平屋である。なのできっと庭に回れば縁側があるのだろう。裏口から行って「ちわー、三河屋です」みたいなギャグでもカマすべき?
「こんにちはー」
言いながら呼び鈴を押す。鳴っている気配はない。なるほど、確かに壊れてる。仕方ない、庭に回るか。と、その前に……仕事で来たわけじゃないから普通に入ったら不法侵入だよねえ。認識阻害かけとこ。おじゃましまーす。
庭の中は多少荒れてはいたが最低限の範囲は整えられている感じだった。ふと見ると縁側では猫が西日に照らされて丸くなって寝ていた。とても心地良さそうで心が和む。その隣には茶を飲みながらのんびりしている一人の老人がいた。この人がここの主なんだろう。心地良さそうに寝ている猫を幸せそうに眺めているようだった。とてもではないが太田君の言っていたへんくつじじいとは思えない。と、そんな時、庭に回ってくる人が来た。
「こんにちは。ご機嫌いかがですか?」
入ってきたのはスーツ姿の男だった。
「……また来たのか。警察を呼ぶぞ?」
忌々しげに老人は答えた。
「おお、怖い。私は商談に来ただけじゃないですか。ここの土地を売ってください、と」
なるほど不動産屋さんか。
「何度来ようと答えは変わらん。ここの家を売るつもりは無い」
「……そうですか。後悔しなければいいのですが」
何か含みのある言い方。すごく嫌な予感がする。
「そう言えば、息子さん、都会の方で公務員されてますよね? お孫さんもいる」
「それがなんじゃ、何か関係あるのか?」
少し声が震えた気がした。スーツの男は続ける。
「離れて暮らしてますと何かあった時に困りますからね。そう、例えば交通事故ですとか……」
「脅す気か?」
「いえ、とんでもありません。飽くまで可能性の話ですよ。では、今日は失礼します」
そう言うとスーツの男は立ち去ろうとした。老人も気になるけど、あんな脅しまがいの言葉を聞かされたらそっちの方が気になるよ! 後をつけてみよう。
「あ、山城さん」
しばらくするとスーツの男に話しかけて来た三人のチンピラ。あれ? どっかで見た事あるような……
「ああ、これは……いつもお世話になってますね。あまり往来で話し掛けて欲しくはないんですが……まあ頼みたい事もあったので今は好都合です。ちょっと近日中にお仕事をお願いするかもしれません」
「誰を脅すんで?」
「人聞きの悪い……身の程を弁えて貰うだけですよ。まあ詳しい話はそのうち連絡しますよ」
そう言うとスーツの男はそのまま三人と別れた。そしてビルに入っていく。丸角不動産。どっかで聞いたような……あっ、あのいつもお尻触るあの社長の会社だわ! これはあれだね。ギルティだよ、ギルティ! 何をするつもりか分からないけどとりあえず何とかした方が良さそう。




