189:愛よ消えないで!明日へのテンカウント
ターゲットロックオンって感じですかね?
勧善懲悪始まります。
「いや、そいつら弱かったけどどうやら割といいとこのお坊っちゃんだったみたいでさ、怪我させたことをネチネチ行ってきたんだよ」
うん、まあ、男にやられたら「悔しい」くらいで済んでも女にやられると「ダセー」になっちゃうからね。
男女同権な世の中だというのにこういう偏見は無くならない。
「それでさ、オトシマエをつけろって言うの」
「オトシマエですか?」
「そう。豊さんはいくらでも殴れって言ってくれたんだけどそれじゃあ治まらないみたいでさ」
まあ女にやられたってのが問題なのであってそれはメンツの話なんだろうな。ん? てことは.......
「私が仕事辞めるのが条件。そんで一晩付き合ってくれたらいいってさ」
なんですと?
「さもないと豊さんの会社に掛け合って豊さん首にするって言うから.......」
「豊さんは?」
「殴られて気絶してたから知らない。警備の人がすぐ来たからその場で連れていかれることはなかったんだけど」
「それでなんで婚約解消だなんて.......」
「そんな風に抱かれた女は豊さんには相応しくないもの」
バンッと音がした。見ると楓ちゃんがテーブルを叩いていた。
「乙女さん! うちのお兄をなんだと思ってるんですか!」
「うん。ごめんなさい。だからもう関わらないように.......」
「うちのお兄がそんな事で乙女さんを手放す訳が無いでしょう。何があっても守るって言うに決まってますよ!」
それを聞いて下唇を噛んで先輩は答えた。
「私だってそう思うわよ。でもそうしたら豊さんは.......だから.......」
自己犠牲とか本当にこの人はベタ惚れなんだなあ。私の大事な大恩ある先輩にこんな真似してタダで済むと思うなよ?
「先輩、安心してください。私たちが何とかします」
「え?」
「だから全力で全部元通りにしますから安心して待っててください!」
「ひとみっち?」
私は拳を握りしめて先輩に力強く視線を送った。
「もちろん私も手伝います。絶対に許せないんだから!」
「楓の義理の姉になるかもしれない人なら私にとっても身内。是非とも手伝わせてください」
楓ちゃんと澪ちゃんもやる気十分だ。
「それで、そいつらはどんな奴なんですか?」
「うん、ひとりは地元の大病院の息子でね.......」
うちの市、不相応にも病院の数多いんだよね。英語苦手でも入れる国立の医大があるからなのかな?
あと、土地も安いから病院開業しやすいんだよね。
という訳で大病院もいくつもあるのです。どの病院だか分からないから詳しく教えて貰った。
マンションは医大の近くに借りてるらしい。
近いんだから実家から通えば良いのに。まあ好き勝手したいんだろうね。
あとの奴らは身元がよくわからないけどお偉いさんの子どもらしい。市会議員の息子とか何とか言ってたそうだ。
.......二十万も人口いない市の市会議員とか偉いの?
まあ市議なら市内では強いんだろうね、それなりに。
他にも土建屋の息子だの会社の役員の息子だの色々居るハイソサエティな集団で出来ないことはないって嘯いていたそうな。
このド田舎でハイソサエティとか言われても笑うしかないんですが。
それでも地方都市に限って言えば出来ないことはそんなに無いのかもしれない。
まあお世話になった先輩を取り戻すために私は頑張っちゃうよ!
先輩のお部屋のうさぎのぬいぐるみに誓って!
.......忘れろ?
はい、ワカリマシタ(棒読み)




